【プログラミング教育って何するの?】学校で学ぶこと[専門家監修]
2020年度に小学校で必修化されて話題となったプログラミング教育。
2021年度は中学校、2022年度には高校へとプログラミング教育の導入が進みました。
そして、2025年1月実施の大学入学共通テストから新設される「情報」では、プログラミングに関する内容も出題されることが決まっています。
「プログラミングの授業って、どんなことをするの?」「小さいうちからの準備は必要?」など、疑問を抱いている保護者のかたも多いのではないでしょうか。
小学生から本格的にプログラミングを学べる「QUREO(キュレオ)プログラミング教室」を運営する上野朝大さん(代表取締役社長)に、プログラミング教育についてうかがいました。2回にわたってご紹介します。
今回のテーマは「なぜプログラミング教育が必要なのか」「学校でのプログラミング教育」です。
文/こそだてまっぷ編集部
どうしてプログラミング教育が必要なの?
そもそもプログラミングって何?
プログラミングとは、簡単にいえばコンピュータに命令を出すことです。
私たちは生活の中で、さまざまな家電製品、ハードウェアを使っています。これらの中にはコンピュータが入っていて、人間が出した命令に基づいて動いています。
プログラミングを学ぶことは、「コンピュータを自分の思うままに動かすための指示の出し方を学ぶこと」といえるでしょう。
IT化、デジタル化が進む社会で必要になるスキル
プログラミングのスキルがどういうものか、グローバル化における英語の技能をイメージするとわかりやすいと思います。グローバル化が進む社会では、英語の技能は必要な素養です。英語の技能を身につけることは、進学や就職、人生の過ごし方の選択肢を増やし、豊かにする方法のひとつです。
プログラミングのスキルも同じで、IT化、デジタル化の時代にあって、ITやデジタルの基本的な技術であるプログラミングを学び、技能として身につけることは必要なことであり、子どもの強みにつながることなのです。
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小中高校で学んでいる内容とは?
多くの国で必修化が進む
テクノロジーの進歩により、私たちの生活は便利に、そして豊かになりました。その進歩のスピードは加速度的に速くなっており、今の子どもたちが社会に出るときには、ITやデジタル技術の重要性はより高まっているでしょう。そして、そのような社会では、プログラミングは基本的な素養になります。
プログラミング教育を小学生にあたる年齢から公教育で行う国や地域は多く、イギリスでは2014年からプログラミングが5歳以上のすべての子どもに必修となり、フィンランドでも2016年から小学校で必修となっています。
小学校での取り組みは、学校によって異なる
日本では2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修化されました。
しかし、新しい教科は設けられておらず、履修する学年や教科、時間数も定められていません。学校によって授業内容は異なります。
[小学校での導入例]
◯ 算数で、定規とコンパスを使って多角形の作図をしたあとに、同じことをコンピュータに指示を出してやらせてみる。
◯ 理科で、乾電池と豆電球をつないで光らせる実験をするときに、コンピュータを間につないで、少しずつ明るくなるようにしたり、点滅させたりする。
◯ 総合的な学習の時間で、紙芝居で行っていた発表を、プログラミングを使ってアニメーションで行う
中学校ではプログラミングに関する内容が倍増
中学校には、技術・家庭科の中に「情報の技術」という単元があります。
2021年度から、これまでのプログラミングによる計測・制御に加えて、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングについても取り上げることとなりました。
[中学校での導入例]
◯ メッセージのやりとりができるチャットアプリを作成する。
◯ センサーを搭載したロボットを使い、動きをセンサーで計測しつつ、その数値に基づいて動きを制御する。
高校では「情報Ⅰ」が必修科目に
2022年度、高校で「情報Ⅰ」が共通必修科目として新設され、高校生は全員がプログラミングやネットワーク、データベースの基礎について学ぶことになりました。
「Python」や「JavaScript」などのプログラミング言語についても学びます。
[高校での導入例]
◯ プログラミング言語を用いてアプリを開発する
◯プログラミング言語を用いて図形を描く
2025年からは大学入学共通テストでも「情報」が新設され、プログラミングに関する内容も出題されます。高校で学んだ内容の知識と技術が問われる試験になるでしょう。
楽しいと思えるプログラミングとの出会いを
目的を考えよう
「大学入試でプログラミングが出題される」と聞くと、早めの対策を考えるおうちのかたもいるかもしれません。単に大学入試の準備を目的とするなら、高校生から勉強しても遅くないでしょう。たとえば、古文や世界史と同じで、幼少期から物語を読んだり、世界の広さを感じたりすることは大切ですが、文法や用語を覚える必要はありませんよね。
一方で、子どもが21世紀という先行き不透明な時代を生きていく上での、強みとなるスキルとしてプログラミングを考えるのなら、小学校の低学年からプログラミングに触れて、ITやデジタルの技術を当たり前のものとして育つ環境は大切だと考えます。
発想を豊かにする学びを
デジタル技術を用いて、生活やビジネスをよりよく変えていくDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されていますが、プログラミングを学んできた子どもたちにとっては、ITやデジタルを活用することは特別なことではなく“前提”です。
運営する「QUREOプログラミング教室」や「Tech Kids School」で学ぶ子どもたちと将来の夢について話していると、夢は「野球のコーチやトレーナー」といっても、統計データを蓄積してプログラミングで分析してチームを強くすることを想定していたり、「パティシエ」といっても、3Dプリンターを活用するアイデアをもっていたりと、既存の職業にテクノロジーをかけ合わせて考える発想が、まさにDXであることがわかります。
大学入試に必要だからというだけではなく、子どもたちにはプログラミングの知識や技術を楽しく身につけて、発想を豊かにできるような出会いをしてほしいと思います。
お子さんの将来に役立つプログラミングだからこそ、意欲をもって自発的に学べるような環境づくりが大切ですね。
次回は「プログラミングを学ぶ方法」や「プログラミング教室の選び方」についてお話しします。
この記事の監修・執筆者
2013年、サイバーエージェントグループの子会社として株式会社CA Tech Kidsを設立し、代表取締役社長を務める。「テクノロジーを武器として、自らのアイデアを実現し、社会に能動的に働きかけることのできる人材」の育成を目指し、小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営。「Tech Kids School」で培ったノウハウを生かし、株式会社キュレオを設立。全国へ向けて「QUREO(キュレオ)プログラミング教室」をスタート。約2800の教室を開校している(2022年9月現在)。
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