海の生物をタイドプール(潮だまり)で観察しよう!

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海の生物をタイドプール(潮だまり)で観察しよう!

自然を楽しみながら生き物を観察することは、命を大切にする気持ちを育み、地球環境の問題に関心を持つことにもつながります。

レジャーなどで海に出かけたときは、親子で楽しみながら海の生き物を観察するよい機会です。海の生き物の観察に適しているポイントのひとつがタイドプール(潮だまり)です。タイドプールではどのような生き物が観察できるのか、どのような準備をしていくとよいかを探ってみましょう。

文/こそだてまっぷ 編集部

目次

タイドプールの世界

タイドプールはどんなところ?

海辺には、磯、砂浜、干潟など、さまざまな環境が見られます。岩場が続く磯や干潟には、くぼみに海水がたまっているところがあります。このように、海水が引く干潮のときにできる水たまりを「タイドプール」、または「潮だまり」と呼びます。タイドプールの大きさや形、深さなどはさまざまです。

タイドプールは、満潮のときも干潮のときも海水がたまっているため、空気にふれることはありません。夏に強い日差しに照らされると水が蒸発して塩分濃度が高くなり、雨が降ると海水がうすめられて塩分濃度が低くなります。また、冬は厳しい寒さにさらされます。

タイドプールは生き物の宝庫

タイドプールがある場所は、陸と海の境目です。磯や干潟は、日光が当たるため、光合成をする海藻や植物プランクトンがよく育ちます。海藻は、魚介類の食べ物になるほか、外敵から身をかくす場所にもなります。

また、タイドプールには、あまり大きな生き物が入ってこないため、小さな生き物にとっては安全な場所です。このような理由から、タイドプールには、魚、エビ、カニ、ヤドカリ、貝類、イソギンチャク、ナマコ、ウニなど、さまざまな生き物がくらしています。タイドプールは生き物の宝庫なのです。

タイドプールの生き物たち

魚類

タイドプールでよく見られる魚類は、比較的小型の種類や、磯近くの海にすむ魚の幼魚です。

「ヘビギンポ」は全長約6cmの大きさで、北海道南部から九州までの広い地域で見られます。岩の間にすみ、海藻などを食べています。夏にメスが海藻に卵を産みつけ、オスがそれを守ります。

「カエルウオ」は全長15cmほどで、暖かい海のタイドプールなどにすんでいます。頭の前端がほぼ垂直で、目が上のほうについているため、正面から見ると「トノサマバッタ」のようです。夏にメスが石の下に卵を産み、それをオスが守る習性があります。

「イシダイ」、「チョウチョウウオ」、「カワハギ」などは、幼魚の時期をタイドプールでくらし、大きくなるとタイドプールから出ていきますが、ほとんどは成魚になっても近くの海でくらします。

岩にはりつくようにくらすヘビギンポ
岩にはりつくようにくらすヘビギンポ
卵を守るモンツキカエルウオのオス
卵を守るモンツキカエルウオのオス

甲殻類

タイドプールでは、エビ、カニ、ヤドカリなどの甲殻類もたくさん生息しています。
「イソスジエビ」は体長4〜5cmの透き通ったエビで、房総半島などで見られます。

「イソガニ」は甲らの幅が3cmほどの小さなカニで、甲らには青緑色と濃い紫色の斑点が、はさみあしには濃い紫色の丸い模様、歩脚(はさみあし以外のあし)には濃い紫色のしま模様があります。

巻き貝などを背負ってくらすヤドカリには、「ホンヤドカリ」、「イソヨコバサミ」、「ケアシホンヤドカリ」などがいます。ヤドカリは、危険を察知すると貝殻の中に引っ込んでしまいます。巻き貝のように見える中には、ヤドカリがいるかもしれません。

透明な体に黒いしま模様が特徴のイソスジエビ
透明な体に黒いしま模様が特徴のイソスジエビ
イソガニ。小石などにまぎれている
イソガニ。小石などにまぎれている

軟体動物など

貝類やウミウシ、アメフラシなどは、軟体動物の仲間です。タイドプールでよく見かける貝は「トコブシ」、「クボガイ」、「ヒザラガイ」、「オオヘビガイ」などです。貝類には、活発に動くもの、潮が満ちると動くもの、ほとんど動かないものがいるので、観察するときのポイントにするとよいでしょう。

タイドプールには、波にさらわれないように岩にはりついている生き物がいます。触手で小魚などをとらえるイソギンチャクや、スポンジのような体のカイメンなどです。
このほかに、アメフラシ、ウミウシ、ヒトデ、ウニ、ナマコなどの生き物がすんでいます。

海の生き物を観察しよう

準備

タイドプールで生き物を観察するには、いつ、どこに行くかを決めることが必要です。いきあたりばったりで海に出かけてもうまくいきません。
タイドプールの観察ができる場所は、インターネットや雑誌などで探すとよいでしょう。トイレや売店などがあるかどうかなど、詳しいことは、行き先の観光課に問い合わるのもよいでしょう。

観察する場所が決まったら、その場所の満潮、干潮の時刻を調べます。満潮のときはタイドプールの観察ができないので注意してください。最も潮が引く時刻の2〜3時間前くらいから観察できるように出かけるとよいでしょう。


服装は、日焼けを防ぐためのつばのある帽子、水着の上に上半身は大きめのTシャツか風通しのよい長袖着など下半身は水切れのよい素材のスパッツか短パンが適しています汗拭き用のタオルも忘れずに
ビーチサンダルはけがをするおそれがあるため、足先全体をカバーできる靴にしましょうぬれてもよい運動靴などを用意しましょう

水中の生き物を観察するには、箱めがね(取っ手つきの観察用の道具)があると便利です。ただし、やや重いのでプラスチック製の虫ケースでもOK。生き物をつかまえるには、魚をとるための網(虫とり網はこわれやすいので向いていません)やバケツを用意してください。岩や石でけがをしないよう軍手を、熱中症を防ぐために水分補給用の飲み物も用意しておくとよいですね。

タイドプールで観察するときの服装や持ち物
タイドプールで観察するときの服装や持ち物

観察の方法

タイドプールをのぞくと小魚などが見られるかもしれません。箱めがねや虫ケースで水中をのぞくと、水面での乱反射がおさえられて、水の中の様子がとてもよく見えます。たくさんの魚が泳ぐ様子を観察してみましょう。

すばやく動く魚などは観察するのが難しいので、網でつかまえ、虫ケースやバケツなどに入れて観察するのがオススメです。2本の網で魚を追い込むようにするとつかまえやすいですが、慣れないとかんたんにはつかまえられません。そんな体験も魚の性質を知ることにつながります。

タイドプールの生き物の多くは目につきにくい場所にいます。岩の奥やかげになっているところものぞいてみましょう。「マツバガイ」、「ヒザラガイ」、イソギンチャクなどが見つかるはずです。
さらに、石をゆっくり引っくり返してみましょう。石の裏側に貝類やヒトデ、ウニがくっついていたり、エビ、カニ、ヤドカリが飛び出してきたりする様子が見られるかもしれません。引っくり返した石は、そのままにしておくとかわいて生き物が死んでしまうので、観察が終わったら必ずもとにもどしておきましょう。

観察の注意点

タイドプールでの観察にはいくつかの注意点があります。

満潮になる時刻をしっかり把握しておくこと。潮の満ち干は意外に速いので、観察しているうちに潮が満ち、海岸にもどれなくなることがあるので危険です。子どもは大人の目の届く範囲で観察させるようにしましょう。

タイドプールは主に岩場にあり、すべりやすいので、走ったりとんだりしてはいけません。慎重に行動しましょう。また、海の生き物の中には毒やとげを持つ危険なものがいます。ハオコゼ、ガンガゼ、カツオノエボシ、ヒョウモンダコ、ゴンズイ、アカエイが代表的なものですが、それらの姿を見かけたら絶対にさわらず、すぐに海岸に避難してください。

ハオコゼ
ハオコゼ
ゴンズイ
ゴンズイ

自然を観察する際のルールとして重要なことは、自然を損なわないことです。観察した場所はもとどおりにし、ごみはすべて持ち帰るようにしてください。

手軽に海の生き物を観察できるタイドプール。ルールとマナーを守って、自然との素敵な出合いを楽しみましょう。

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