もうすぐ新年度。
お子さんの小学校入学を期に、仕事環境が変わる保護者のかたも多いのではないでしょうか。短時間勤務制度が使えなくなるかたや、新たに仕事に就かれるかたもいらっしゃるでしょう。
子どもの小学校入学は、子ども自身の環境の変化に加えて、保護者の生活が大きく変わる時期でもあるのです。
そこで、多くの共働き家庭・ひとり親家庭が直面する「小1の壁」を、先輩家庭がどのように乗り越えたのか、お話をうかがいました。
今回は前編として、「小1の壁」の概要や入学準備、春に起こりがちな「小1の壁」問題について紹介します。
(夏から冬にかけては、3月17日に、後編でご紹介します)
1.「小1の壁」って、何?
小学校入学とともに、主に共働き家庭やひとり親家庭が直面する“仕事と子育ての両立”に関する問題のことを、一般的に「小1の壁」といいます。
この問題の具体例としては、
- 短時間勤務制度がなくなり、フルタイムに戻る職場もある
- 保育園などと違って延長保育がなく、18時までの学童が多い
- 登校時間が、保護者の出勤時間よりも遅くなることもある
- 地域によっては学童の希望者が多く、入れないことがある
- 夏休みなどの長期休暇は、毎日お弁当の用意が必要
- 子ども一人ひとりへの手厚いサポートが少なくなり、小学校での子どもの様子がわかりづらい
- 保護者の参加行事やPTA活動などが多い
などの問題が挙げられます。
「小学生になるから楽になる」と考えていると、いざ入学してから、意外に保護者の時間や手間の制約が多く、戸惑うことになるかもしれません。
焦らずに新年度を迎えられるよう、共働きの先輩家庭が入学前にどのような準備をしたのかを、次の項目で紹介します。
2.入学前の事前準備
先輩家庭にアンケートをとったところ、入学前の事前準備として主に
- 子どもの預かり先
- 働き方
- 登校の仕方
を検討したという声があがりました。
子どもの預かり先の検討
■小学校で環境が変わり、子どもも緊張すると思ったので、学童はのびのびできる所を選びました。
実際に通っている家庭の話を聞くなど、事前に情報を集めておいたため、ギリギリに焦ることなく決めることができました。
■共働きですが、フリーランスのため、学童には行きませんでした。
仕事で出入りがあるときは二世帯住宅で同居する義父母に頼んだり、夫に早く帰宅してもらったりなど、周りで頼れる人に子どもの預かりをバンバンお願いしていました。
■学童に入れましたが、お迎えなどは保育園時代から引き続いて、近くの実家にサポートをお願いしました。サポートなしでは乗り切れなかったと思います。
ただ我が家は、子どもが保育園の頃のほうが風邪を引くなど休むことが多くて、小1の壁がとてもつらいといった感覚はありませんでした。
共働き家庭では、子どもを学童に行かせていたかたがほとんどでした。
今回お話をうかがった家庭では学童に入れたかたばかりでしたが、地域によっては希望者が多く、待機児童になることもあるそうです。
また、学校の敷地内にある学童や、民間が運営する学童など、さまざまなタイプがあり、選択肢が多くて迷ったというかたも。
その他、働く時間などとの兼ね合いによっては、地域のファミリーサポートを利用する方法もあるようです。
働き方の検討
■仕事の立場上、子どもの帰宅時間などとの調整が難しく、部署を異動しました。
■学童に行っても、保育園よりも帰宅時間が早まるため、小学生の間も会社の短時間勤務制度を活用。
うちの会社はそういった時間の融通は利きやすかったですが、その分、休日出勤をしたり、家で持ち帰りの仕事をしたりしていました……。
部署異動、短時間勤務制度の利用、という声もあがりました。
また、子どもが小学生になるのに合わせて、パートタイムの仕事を始めようというかたなどは、「同じ小学生の子どもがいる保護者の多い職場=お互いに協力しやすい環境」を選んだり、家からの距離が近く、時間での調整がしやすい職場にしたりすることが多いようです。
登校の仕方
■登校班がなく、1人で登下校させるのが不安だったため、それまで挨拶程度だったお隣さん(少し上の学年の子がいた)に声をかけて、一緒に登校してもらうようにしました。
■1人で登下校したり、留守番させたりしないように心を砕いていた気がします。
できるだけお迎えに間に合うように職場を出ようと考えていました。
■登下校のルートを子どもと一緒に歩いて、道を覚えるとともに、危ないことがあったときに逃げ込める場所を把握しておきました。
子どもの登校時間までに保護者が家を出てしまう家庭や、登校班がある地域・ない地域もあります。
近所に同じ小学校に通う小学生がいる家庭に声をかけて一緒に登校したり、子どもが慣れるまでは保護者が小学校まで送ったりするなど、1人で登校させない工夫をされた家庭が多いようです。
集団登校がある地域でも、集合時間に間に合わずに保護者が子どもを送り届ける場合や、1年生が入ってしばらくは保護者が付き添う場合もあります。
事前準備を押さえたところで、次からは、入学後に「こんなことに困った、対応した」という声が多かった実例を、季節ごとに紹介します。前編の今回は、春の実例です。
地域や学校、職場によって異なるので、一例として参考にしてください。
3.~春の陣~学校生活と登下校のフォローを
今まで子どもへのフォローや連絡が手厚かった保育園・幼稚園よりも、小学校では日々、どのように過ごしているかがわかりづらくなり、保育園・幼稚園を卒園した翌日から通い始める学童への対応が大変だったという回答が目立ちました。
子どもにとっても、保護者にとっても初めてのことが多い春には、さまざまな心配事やわからないこと、困ったことが多かったようです。
学校・生活編
【学校生活】
■登校班はなく個別に登校していたので、1年生のうちは心配で学校まで送っていました。
■学校との連絡が連絡帳だけになるので詳細がわかりにくいことがありました。
連絡帳をすり合わせても理解しづらい部分は、先生に時間を作ってもらって話をさせていただくこともありました。
■毎日の連絡帳がなくなり、朝夕の送迎もないので先生との接点もなく、初めのうちはそれが心細かったです。
子どもが帰ったら、できるだけ今日あった出来事を聞く時間を作るようにしていました。
■4、5月は特に学校で使う用具の名前書きや、学校からの配布物が多く、手いっぱい。
学校の配布物は煩雑な部分もあるので、確認と処理に必死で、夏休みまでかなり忙しかったです(2人目では慣れて、だいぶ適当になりました(笑)。
■知り合いがいなかったこともあり、5月の運動会や行事に関わる保護者の手伝いはなるべく参加しました。
LINE交換など、やや面倒に思うこともありましたが、他の保育園や幼稚園に通っていた子の話や、子どもから聞くだけではあやふやな友だちのことなどを、学校に行くついでにのぞけたのもよかったです。
■それまで勉強をしたことがない子どもに勉強をさせなければならないことが、大きな壁でした!
宿題のフォローに時間がかかり、友だちのことや、その日あったことなど、子どもの話を聞いてやれなかった日もありました。
■一緒に帰ってきた友だちをそのまま家に連れてくることがあって、焦りました。
子ども同士ではまだ遊ぶ約束ができなかったため、親が間に入らなければいけないことがあって、こういうものだとわかるまで大変でした。
【保護者の委員・係】
■保護者が担当する委員や、6年間のどこかで担当しなければならない係について、どの学年で、どの係なら仕事と両立しやすいのかといった情報を集める時間が少なかったです。
■役員を経験し、月1で会議がありました。
家庭や職場の協力もあり、会議には2か月に1回の出席にさせてもらいましたが、一体、何回休むのかと気が気でなかったです。
学童編
■3月31日までは保育園。4月1日から急に学童!
保護者も切り替えるのが難しく、毎日のお弁当作りにてんてこ舞いでした。
■保育園は急な延長が可能でしたが、学童は18時までで延長はなし!
事前に申し込んでいる子だけ19時までだったため、電車が遅延するとどうしようかと心配で、いつも走るように会社を出ていました。
■1人で帰らせるのが心配なので迎えに行っていたのですが、暗い中でも1人で帰っている子がいるのがなんだか心配で、子どもと一緒にその子を送ってから帰っていました。
■慣れない小学校で疲れるためか、子どもから学童のお迎えの時間を早くしてほしいと言われたため、お迎え時間を1時間早めました。
■下の子が保育園児だったため、学童のお迎えと2か所に行かなくてはならず、保育園の頃よりもむしろ早く会社を出る必要がありました。
■学童での保護者の係がある上、月1で父母会があります。
学童の環境や、手作り給食・おやつがあるところはありがたいのですが、父母会に毎月時間を割くのが大変でした。
■うちの学童員は年配のパートさんがメイン。子ども同士のトラブルなどの対応が手薄な印象でした。そのときは、学校の担任が間に入ってくださったので解決しましたが、学童との信頼関係や、場合によっては学校との連携も大切だと感じました。
1年生になりたての子どもは、一生懸命、話をしてくれますが、まだ学校での様子を保護者が理解できるよう話すのは難しいことも多いものです。
ママ友同士で情報を交換したり、機会があれば積極的に学校へ行ってみたりするのもよさそうです。
新しい生活が始まり、慣れない環境や今までになかった宿題などに、子どもたちは少なからずストレスを抱えていることもあるので、日々の出来事を聞き取りたいもの。
とは言え、保護者も忙しい毎日です。
特別、時間を割くことが難しい場合は、送り迎え中やお風呂の時間、料理中などの【なにかをしながら】子どもの話を聞いてみましょう。
「聞いてもらえた」「わかってくれた」と安心感をもてることでしょう。
いかがでしたか?
春以降の「壁」は、3月17日(木)更新の、後編【退職したくない!「小1の壁」夏・秋・冬の乗り越え方&対策】でご紹介します。
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