2~3歳児にオススメ! 梅雨の時期にピッタリな絵本/こそだてまっぷの絵本棚【6月号】

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梅雨まっただ中の6月。雨の日が続くと、じめじめと湿気が多く、空も薄曇りで、大人は何となく気分が晴れません。でも、子どもは、お散歩中に水たまりを見つけるだけでも大興奮! 雨の日でも、ワクワクすることを上手に見つけて楽しんでいます。 
今月は、そんな雨の日をさらに楽しくしてくれそうな、この時期にピッタリな絵本を年齢別に3回に分けて紹介します。
絵本のセレクトは、絵本講座主宰・JPIC読書アドバイザーの大久保徳久子さん。
今回は、2~3歳児さんにおすすめの絵本です。

目次

2~3歳児にオススメ! 梅雨の時期の絵本

『ぴっちゃんぽっちゃん』

作・絵/accototo ふくだとしお+あきこ  992円  大日本図書

<あらすじ>

愛らしいグレーの子猫「プチュ」の視点で、雨の一日をたどります。ぽつぽつと雨が降る中、あり、ちょうちょ、かえる、かたつむり、小鳥など、小さな生き物が雨を楽しんでいる姿を見かけます。プチュは、じっと観察したり、「どこ行くの」と声をかけたり。最後にみんなで、「おひさまが出ますように」と歌うと、くっきりとした大きな虹が現れます。

 

<オススメポイント!>

子どもは、お散歩中に水たまりをのぞいたり、ありが気になったりしますよね。子猫のプチュが見る世界は、幼い子どもが見る世界と、同じです。プチュといっしょにお散歩している気分を楽しんでください。お気に入りのページを何回も見たがったら、「ここが好きなのね」「今度、いっしょにかたつむりさん探そうね」などと、共感を言葉にして伝えてみてください。お散歩を楽しむヒントにもなり、絵本と体験が結びつきやすい、すてきな絵本です。


ワニのバルボン『バルボンさんのおさんぽ』

作・絵/とよたかずひこ  1,430円  アリス館

<あらすじ>

ワニのバルボンさんちは、ピンクの屋根のかわいいおうち。雨の中、おうちから最初に出てきたのは、お父さんのバルボンさん。ドアに向かって「でかけるよー」と声をかけると、息子のトマソンくんが出てきました。トマソンくんも「でかけるよー」と呼ぶと、今度はお母さんと、ももちゃんが出てきました。傘をささずに雨にじっとりぬれながら、みんなで仲よくおでかけです。

 

<オススメポイント!>

大人は雨が降ると、「洗濯ができない」「傘を持って行かなくちゃ」などと、マイナス感情になりがちです。でも、この絵本では、雨が肯定的に描かれていて、それがとてもあっけらかんとしていて気持ちいいのです。雨が降ると、お花も喜ぶし、かえるもウキウキとでかけます。そして、バルボンさん一家も久しぶりの雨をたっぷりと味わうようにでかけるのです。「恵みの雨」を子どもにわかりやすく伝えてくれています。おでかけに誘うのシーンでは、「○○ちゃーん」とお子さんの名前に置き換えたりもいいですね。


 

『ゆかいなかえる』

文・絵/ジュリエット・ケペシュ 訳/いしいももこ  1,100円  福音館書店

<あらすじ>

ゼリーのような卵がおたまじゃくしになり、うしろ脚、前脚が生えてきて、無事に4匹のかえるになりました。4匹が、跳ねたり、泳いだり、遊んだり…。水辺で楽しく過ごしていると、天敵のサギやカメに狙われます。4匹は大きなハスの葉の陰に隠れたり、カメの背中に乗ったりして、上手に逃げました。こうして夏場、楽しく過ごしたかえるたちは、冬になると土の中で春まで眠りにつくのです。

 

<オススメポイント!>

色数を抑えたシックな色合いとシンプルなタッチが、目を引きます。かえるになった4匹が、水の中を動き回っている様子が、のびのびしていて気持ちよさそう。「いい子」というより、「ちょっとやんちゃでゆかい」なかえるたちです。子どもたちも、この自由な空気感が好きみたいで、長く愛され続けるロングセラーである秘密も、このあたりにありそうですね。「脚が生える」「もぐる」「とびちる」など、普段の生活では耳慣れない言葉に出会えるのも魅力です。

 


『あめあめぱらん』

文/木坂 涼 絵/松成真理子  1,430円  のら書店

<あらすじ>

「あめあめぱらん ぽつぽつぱらん」「うかぶははっぱ はっぱはみどり」「みどりはかえる かえるはうたう」など、言葉のリズムが、まるで雨音のよう。黄色の傘に黄色のレインコートの子どもが、あじさいの大きな葉っぱの上で、かえるが歌うのを見つけます。楽しそうな姿に思わず、その子もうれしそうに歌い出すのです。やがて空には薄日がさしてきて、きれいな虹が顔を出しました。

 

<オススメポイント!>

水分をたっぷり含んだ空気感や、すべてがぼんやりと見える雨の日の様子が、にじんだ水彩で描かれています。どのページもうっとりするほど、きれいです。詩人の木坂さんが書いた文章は、リズミカルで心地よく、声に出して読むことで、この絵本のよさがもっと感じられるはず。雨も、子どもも、雨の一日すべてが愛しく思える絵本です。文章は少ないですが、絵も語りかけてくる絵本ですから、一度読んだあと、もう一度ゆっくりと絵を見せてあげてください。

 

来週の「今月の絵本棚 6月号」は、3~4歳児向けの絵本を紹介いたします。

ぜひ、楽しみにお待ちください!

この記事の監修・執筆者

絵本講座主宰・JPIC読書アドバイザー 大久保徳久子

出版社勤務など30年以上絵本の編集に携わる。現在は、「絵本の可能性を広げる」をモットーにオリジナルの絵本講座を開催。全国の赤ちゃん~小学生の保護者、保育士、図書館司書など、これまで1,500人以上に絵本の魅力と可能性を伝えている。
https://lit.link/ookubotokuko

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