「目が悪くなる!」
「スマホ依存が心配…」
「コミュニケーション不足になるのでは?」
など、スマホ育児への疑問&不安を感じているパパ&ママはたくさん。
そこで、ご自身の子育て経験から
「適切な使い方をすれば、子育ての強い味方になる」
という高橋暁子さん(ITジャーナリスト・元小学校教諭)にお話をうかがいます。
スマホ育児のメリット・デメリットを確認し、ポイントをおさえた「適切な使い方」をいっしょに学びましょう。
お話:高橋 暁子さん
「スマホ育児の悪影響」は、科学的に証明されていない?
スマホ育児に関するアンケートで、みんな何を心配に思っているか聞いてみたところ…
◆目(や姿勢)が、悪くなるのでは?
◆依存性が高く、手放せなくなるのでは?
◆(受け身の情報が多く)自分で考える力が失われるのでは?
という3点が特に多く挙がってきました。
そのほかにも、「電磁波が心配」「運動不足になりそう…」「コミュニケーションがとれなくなる?」など、さまざまな声が。
そこで高橋さんにこの点をうかがってみたら…なんと!
“スマホ育児は子どもに悪影響”というのは、実は証明されていないんです。
科学的なエビデンス(※)は、ないんですよ。
※エビデンス:証拠、根拠、証言など
これまで高橋さんが取材してきた、小児科医や小児専門の眼科医も
「時間を区切った、短時間の利用であれば問題ない」
という意見がほとんど。
あくまでも問題なのは、「長時間の利用」や、それが習慣化している状態で、いわば「使い方の問題」といえそうです。
メリットは豊富なアプリ~知育系から生活習慣など
では、スマホやタブレットを子どもに与えることのメリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリットは、その豊富なアプリです。
ひらがなや数字、英語が学べる「知育系」のアプリから、歯磨きや着替えなど「生活習慣」を身につけられるもの、電車や星座、絵を描いたり動画の編集ができるなど、子どもが好きなことや感性を伸ばせるアプリなど、種類やバリエーションが豊富。
知育系のアプリには、正解すると「ピンポンピンポン!」と音が鳴って知らせてくれるものもあるため、子どものモチベーションがアップ!
※アプリ:学研の幼児ワーク ひらがな・カタカナ~もじ判定つき(AppStore/GooglePlay/Amazonで販売中)
また、動画による解説は、文章だけよりも、子どもにとって理解しやすいことも。
楽しく遊びながら、お勉強にもなる…親にとってはホクホクですね。
高橋さんご自身の経験ですが、今10歳になる息子さんは、初代iPadを0歳児の頃から使っていた、デジタルネイティブ世代。
まだ「スマホ育児」という言葉すらなかった時代で、デジタル端末の悪影響についても、全く言われていませんでした。
知育アプリを使っていたおかげで、英語の発音はいまだに得意とか。アプリなどになじんだ結果、最近はプログラム学習も好んで利用しているそうです。
デメリットは、はまり過ぎること!?~小さい子ほど依存傾向が強い?
デメリットは、子どもの年齢やタイプにもよりますが、依存し過ぎる恐れがあること。
これも高橋さんの経験ですが、息子さんが3才頃の時のこと。
電車での移動中に飽きてしまったので騒がないようにと、パパがスマホを渡してゲームをさせていました。
息子さんは気に入って楽しんでいたのですが、はまり過ぎてしまって…
「もう、おしまい」と言っても、「もっとやりたい! もっともっと…」
その様子に、大きな衝撃を受けたそうです。
「低年齢期には刺激が強すぎた。これではいけない」と反省し、スマホのアプリはアンインストールし、息子さんには「もうできないよ」と説明。
それからは、安易にスマホを渡さない、スマホやタブレットには必ずロックをかけるよう、徹底したそうです。
低年齢の子どもほど、強い刺激に影響を受けやすく、また依存傾向も高まってしまう恐れがあります。
子ども自身ではまだ自分でそれを制御することは難しいため、まわりの大人が、きちんとそれをコントロールしていく必要があるのですね。
「スマホ育児」の、おさえるべきポイント5つ
育児にスマホをうまく取り入れるポイントは5つ!
①時間を決めて使う
例えば、電車での移動時間や、家事を済ませる間(15~30分程度)だけと、子どもと約束をしてから使います。
最初のうちは、時間がきてもなかなかやめられないこともあるでしょう。
しかし、出かける前やスマホを渡す際に必ず約束をして、時間になったらやめるということを繰り返していくうちに、少しずつ守れるようになっていきます。
また、スマホやタブレットのiosなら「スクリーンタイム」、Androidなら「ファミリーリンク」などを利用して、時間がきたら切れるよう設定しておく方法もおすすめ。
これらの機能を利用すれば、子どもが、何をどれくらい利用していたのかも確認することができます。
②子どもに渡しっぱなしにしない
スマホやタブレットを子どもに渡し、そのまま使わせっぱなしにしないことも大事です。
例えば、好きな動画を見終わったら「どうだった?」「何がおもしろかった?」と感想を聞いたり、「○○を10個探してね」とお題を出したりして、やりとりをするようにしてみてください。
見終わった後に感想を言葉にして伝えることで、子どもたちの表現する力やコミュニケーション力が鍛えられます。
③親が、選んで与える!
子どもが好きなこと・興味のあること、また、親が子どもに興味をもってほしいことなどから、使ってみたいアプリを親が探して与えるようにします。使う場面を想定して、いろいろ試してみましょう。
絵本が好きな子なら、読み聞かせアプリがおすすめ。何冊も絵本を持って行くのは大変ですが、アプリならラクラク。ママも知っているお話なら、「どう思った?」などと聞いたりして会話も弾みます。
なにか作ることが好きな子には、絵が描けるアプリや、人形を使って撮影して動画が作れるアプリも!
今年から、小学校で始まるプログラミングの授業に向けて、キッズ向けのプログラミングアプリもあります。
④スマホ以外のアイテムも!
電車などでの移動時間が長い場合に備えて、スマホ以外のアイテムも用意しておきましょう。
スマホだけに長時間集中しないような工夫が必要です。
例えば、あやとりや手遊び、しりとりなど、場所をとらず、その場でできるもの。
一緒に楽しめて、子どもも興味をもちそうなことを探してみてください。
⑤ひとりで自由に使わせない
子どもは3~4歳くらいになると、スマホをうまく扱えるようになり、知らないうちに自撮りをした画像がたまっていたり、勝手にSNSに投稿したり、ダウンロードや課金などをしてしまっていることも…。
そうならないためにも、スマホなどは常にロックしておくこと。
使いたい時は、「お母さん(お父さん)と一緒に使おうね」と、約束しておくといいですね。
最後に、「スマホ育児」というと、どうしても後ろめたい気持ちを感じる人も多いでしょう。
だからといって、電車の中で飽きて騒いだり、泣き出してしまった子をそのままに…という訳にもいきません。
スマホやアプリなどの便利な道具を上手に利用することで、子どもも楽しく、パパ&ママの心の平穏を保てるならば、利用しない手はありませんね。
使用のマナーと、親子で決めたルールをきちんと守れば、大丈夫ですよ。
一概に悪いものと決めつけずに、子どもも親もハッピーになれる使い方を!
この記事の監修・執筆者
たかはし あきこ/書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』『ホンマでっか!?TV』などメディア出演多数。
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