子どもにとっては、はじめての学校生活。楽しく充実したものにしてあげたいと思うのが親心ですよね。お受験をがんばると決めたご家庭も、地元の公立にすると決めたご家庭も、後悔しない小学校の選び方をフォレスト幼児教室代表の武田澄子先生に教えていただきました。
小学校選びのポイントは「子どもの性格」ではなく「親の方針」
編集部
子どもが通う小学校を考えたときに、親としてはまず「子どもの性格と校風が合っているか」ということを気にするのではと思うのですが。
武田先生
中学受験や高校受験と違って、小学校受験をするのは、幼児。「子どもの性格」と一言で言っても、まだこの年ではなにもわかりません。いわば真っ白な状態なのです。
ですから、「子どもに向いている学校」を探すのではなく、親が、子どもにどんなふうに育ってほしいのかをよく考え、そこにあった小学校を選ぶことが大切です。なぜなら、子どもは入学した学校のカラーに染まっていくからです。
親が学校見学に行って、気に入った学校にお受験があれば準備が必要です。
また、小学校は地元の学校に通わせて、中学や高校に上がるときに、子ども自身に「この学校に行きたい」という思いが生まれてから受験に挑む、という考え方もあるでしょう。
この選択を、幼児に決めさせるのは難しい話ですよね。ですから、まずは親が「わが家はどんな教育方針なのか」を考えなくちゃいけないんです。
入学準備のためのワークは毎日少しずつがおすすめ
編集部
お受験をするご家庭は、いつごろから準備を始めるものなのですか?
武田先生
わたしはよく、準備期間は短くても1年間は必要と言っています。余裕をもつなら2年。
子どもはまだ、集中力が続きませんし、同じことを何度も繰り返して覚えるので、毎日少しずつ時間を決めて行うのがおすすめです。
親は、子どもができるようになると嬉しくなって、「もう1ページ…もう少し…」と欲張ってしまいがち。でもそれは逆効果です。子どもが興味をもって、楽しく取り組めなくちゃ、続きません。
ひとつエピソードがあって。お受験をすると決めたご家庭の女の子で、とても優秀な子がいたんです。お母さんの言うこともよく聞いて、ワークもよくできる子です。毎日、家でお母さんとワークをしていたら、ある日「ママ、これいつまで続くの?」と。
子どもがよくできるので、ついつい負荷を増やしてしまったんですね。子どもも親の期待に応える。そうしているうちに、「いったいいつまで続くんだろう」と戸惑ってしまったというわけです。お母さんははっと我に返り、反省したとおっしゃっていました。
幼い時期から親がきちんと子どもに向き合う時間を作って
編集部
お受験に向いている子はどんな子どもですか?
武田先生
やはり、落ち着いて人の話を聞けることは基本です。
例えば、運動テストがある小学校でも、学校側が見ているのは、運動能力の高さではなく、指示をきちんと聞いているかどうか。さらには、人の目を見て挨拶ができるか、協調性はあるか、両親は愛情をもって子どもを育てているか。これらをクリアできているとお受験向きの子といえそうです。
編集部
幼児期では、なかなかハードルが高い条件のような……。
武田先生
幼い時期からの習慣が大切です。
例えば、毎日寝る前に絵本の読み聞かせをするとか、ごはんのときはテレビを消すとか…。親がきちんと子どもに向き合う時間を確保すると、子どもの集中力はアップし、協調性も育ちます。
お受験する、しないにかかわらずこの習慣は大切だと思います。小学校に行けば、授業の時間は集中して先生の話を聞くわけですから。
学校選びは、実際に自分の目で確かめることが大切
編集部
お受験をする場合、具体的にはどのようにして志望校を決めていくのですか?
武田先生
ご家庭のプライオリティを聞いています。 有名校がいいのか、ゆとり教育がよいのか、学費が手頃なところがよいのか、家から近い場所がいいのか、共学(別学)がよいのか…。
たまに「有名校で、家から近くて、学費が手頃で、共学のところ」とおっしゃるご家庭があるんですよ。でもそんなに都合よくはいかない。そこで「有名校ではないけど、近いし、共学で評判のよい学校がありますよ」とおすすめすると「う~ん。あまり…」とお気に召さない。要するに遠くても有名校がよいのですねということになるわけです。子どもが行く学校の、何を一番重要視するかということは、ひとつひとつ考えていくとわかっていきます。
それから、とにかく学校見学に行って情報を集めること。今知っていることだけではなく、学校に足を運んで、自分の目で確かめてみることが大切です。
例えば、デパ地下で、興味はなかったけど、試食してみたら美味しくて購入することってありますよね。学校選びも同じです。興味はなかったけど、行ってみたらとても気に入った!というご家庭の声もよく聞きますよ。今年はコロナの影響もあって、なかなか難しいですが、可能な限りの情報は集めておきたいですね。
入学をゴールにしないで、その後の成長を見守って
編集部
当然ながら、第一志望の学校に必ず入れるとは限らないですよね…。
武田先生
もちろんそうですね。でも、第一志望の小学校が全てではないんです。
実際に第一志望以外の学校に通うご家庭で、「この学校にしてよかった!」とおっしゃる方は多いです。はじめに、「子どもは通う学校のカラーに染まる」と話しましたが、結局、小学校でどう過ごすかがいちばん大切。ご両親は、小学校に入学させてゴールではなく、子どもがその後、豊かに成長できるように支えていただきたいなと思います。
編集部
これからはじまる学校生活。子どもたちはみんな、楽しく過ごしてほしいですよね。 武田先生、ありがとうございました!
この記事の監修・執筆者
フォレスト幼児教室代表
「フォレスト幼児教室」は、丁寧な指導と、出題問題のデータベース化により、有名国立。私立小学校へ毎年高い合格率を誇る幼児教室。お受験をする子どもだけでなく、保護者もサポートする“かかりつけの医者”のような指導で定評がある。「この一冊で小学校受験のすべてがわかる!」、こども知能パズルプラスシリーズ「きりがみワーク 3~4歳」「きりがみワークj 4~6歳」「きせつワーク 3~4歳」「きせつワーク 4~6歳」(以上Gakken)他、著書や監修をつとめる書籍が多数。
フォレスト幼児教室
https://www.forest-s.com/
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