【小3の国語】楽しく勉強を始めるため、春休みに家庭で取り組んでおくとよいこととは[教育評論家監修]

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【小3の国語】楽しく勉強を始めるため、春休みに家庭で取り組んでおくとよいこととは[教育評論家監修]

低学年(1・2年生)と中学年(3・4年生)の違いといえば、学習量の変化です。内容もぐっと学問的になることで、子ども自身が勉強の得意・苦手を感じ始める時期でもあります。

「国語」は学習指導要領の中で、小学校6年間の学習内容・難易度等を、大きく3段階(1・2学年、3・4学年、5・6学年)に分けています。2年生から3年生への進級時はまさに、低学年から中学年への移行期。1・2年生で学んだことをベースに難度が上がってくるので、保護者もその準備を心得ておきたいものです。

ここでは3年生で実際に学ぶ「国語」の学習内容と、それにむけて今家庭でできることへのアドバイスを教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。

進級を迎える今だからこそ取り組んでおきたい、親子で楽しく取り組める学習方法とは――?

取材・文/こそだてまっぷ編集部

目次

2→3年生になると国語の学習時間は減る⁉

まず、3年生になると2年生のころと比べ、全体の授業時数※1はぐっとふえます。合計すると1年間では910(2年生)→980(3年生)に増加。教科も、3年生から理科・社会が加わります。この2教科は、2年生までは生活で学んできた内容で、より学問的な内容になったものです。また、これまではなかった総合的な学習の時間・外国語活動も新たに加わります。

※1学校教育法施行規則に定める標準授業時数のこと。授業時数の1単位時間は45分。(参考URL:文部科学省 小学校・標準授業時数について

理科・社会・総合的な学習の時間・外国語活動が加わることで、各教科の時数に変化があります。国語は2年生では1年間に315時数※1ありましたが、3年生では245に減ります。音楽や図工もこれまでより各10時数ほど減少。算数は2年生と同じで引き続き1年間に175あります。

国語の授業時数が減るとはいえど、他教科が新たに加わるため、子どもたちが体感するのは「3年生になったら勉強の時間がふえた!」「6時間授業が多くなった」などでしょう。

3年生の国語って、どんな学習内容?

「小3国語」の新しい取り組みとしては、毛筆(習字)が始まります。また、ローマ字の読み書きに加え、新たに学ぶ漢字は200字に。なんといっても1・2年生で学んできた基礎をもとに、言葉には考えたことや思ったことを表すはたらきがあること、文章を正しく理解しながら読み取ること、といった読解力をより養っていく学びにステップアップしていきます。さらに短歌・俳句、ことわざや慣用句、故事成語などについても学習します。

【文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「国語編」】を参考にまとめ

※以下参考部分の表記は参考元に準じています

第3学年及び第4学年の内容(第2節より)
(「国語」の学習指導要領は2学年ごとの表記になっています。ここで表記するものは第4学年の内容も含みますが、 第3学年で始まるものや学びを深める内容を中心にまとめています)

(1)知識及び技能
日常生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに、我が国の言語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする。

●言葉の特徴や使い方
・ローマ字の読み書きの習得
・学年別漢字配当表※2より、第3学年で学ぶ漢字:200字
・様子や行動、気持ちや性格を表す語句の量を増し、語彙を豊かにする
・文や文章では、主語と述語との関係、修飾と被修飾との関係、指示する語句と接続する語句の役割、段落の役割を理解する
・丁寧な言葉を使うとともに、敬体・常体の違いを理解する

●情報の扱い方
比較や分類の仕方、必要な語句などの書き留め方、引用の仕方や出典の示し方、辞書や事典の使い方を理解し使う

●我が国の言語文化
・易しい文語調の短歌や俳句から、言葉の響きやリズムに親しむ
・ことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り、使う
・漢字が、へんやつくりなどから構成されていることについて理解する
・書写では、毛筆で点画の書き方への理解を深める
・幅広く読書に親しみ、必要な知識や情報を得ることに役立つことに気付く

(2)思考力、判断力、表現力等
1・2学年で学んできた、話す・聞く・書く・読むことを基礎に、さらに筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い、日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、自分の思いや考えをまとめることができるようにする。

(3)学びに向かう力、人間性等
言葉がもつよさに気付くとともに、幅広く読書をし、国語を大切にして,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。

※2 学年別漢字配当表に記されている各学年の字数
第1学年:80字、第2学年:160字、第3学年:200字、第4学年:202字、第5学年:193字、第6学年:191字、計1026字

このように、たくさんの内容を学習することになります。次に、この中で特にポイントとなる部分と、その学習法をお伝えします。

【対策①】漢字は子どもの好きなことを絡めながら楽しく習得!

小3の学年配当漢字は200字です。小1は80字、小2は160字なので、あきらかに1年間で学ぶ字数がふえ、難しい漢字もふえます。

学校では「“遊”これは“あそぶ”という漢字だよ。じゃあ書こうね」というように、読みと書きを同時に学びますよね。でも実は、読みと書きの学習を同時に行うのは効率がよくないという研究結果が報告されています。漢字は“読み先習”。先に読めるようにしておくことで、後々の習得率が高くなります。

我が子が“読めるけれど書けない”という状態だと、焦ってしまう保護者も多いかもしれません。でもこの状態は、むしろたくさんあっていいんですよ。そのほうが「書いてみよう!」となったときにスッと頭に入るのです。ですから漢字は学年や年齢問わず、小さいうちから“読める漢字”をふやしておくことがポイントなのです。

そこで、オススメしたい漢字の習得方法は「子どもの好きなことに絡めて漢字を読めるようにする」こと。

これは、あるお子さんの実例です。
野球が大好きな子に「(漢字で書かれた)この投手の名前読める?」と聞いたら「読めるよ!だって野球大好きだもん!」と自信たっぷりに投手の名前を答えてくれました。保護者のかたはこれをきっかけに、その子の大好きな球団の選手の名前一覧表をつくったのです。そうしたら、選手の名前に使われている漢字を、あっという間に読めるようになったので「漢字の天才じゃん!」とほめ続けました。するとこの子は「ぼくは、漢字が得意なんだ!」と自信をもち、その後、漢字の学習に楽しく取り組むことができたそうです。

この例のように、子どもの好きなことに絡めて漢字に親しみ、読めるようにしておくことは、その後の習得、そして学習の姿勢へ大きくつながっていきます。サッカー、電車、昆虫など、キッカケはなんでもいいのです。漢字かるた、学習漫画なども、楽しく漢字に親しんでいくことができますよ。このように、まずは漢字を楽しく読めるように促してみてください。

子どもが「漢字が好きで得意!だから学校の勉強もできるはず!」という、よい思い込みをさせてあげることが大切です。

まずは読みだけでいいので、3年生の漢字を進級前から少しずつ先取りしておくと自信がつき、楽しく学習をスタートできるでしょう。

≪関連記事≫【小3の算数】新学年の勉強を楽しく乗り切るため、親にできるサポート方法は?[教育評論家監修]

【対策②】ローマ字は身近なモノに読み方をはって覚える!

3年生になるとローマ字の学習が始まります。ローマ字は、パソコン等の文字入力に必要となってくるほか、道路標識や駅名標、パスポートなどの身分証明書など、日常生活のあらゆる部分に使われています。

また、外国人とコミュニケーションを取る際に用いられることが多い表記の仕方なので、理解することが重要と考えられています。

ローマ字も漢字と同じように、生活の中で遊びながら習得するのがオススメです。効果的な方法は複数の表記を書いてはっておくというものです。

たとえば冷蔵庫なら「冷蔵庫」「れいぞうこ」「Reizouko」というように、いろんな書き方を1枚の紙やカードに書きまとめて、冷蔵庫にはっておきます。「refrigerator」 と、英語を加えてもよいですね。そして、子どもの目に入ったときに「冷蔵庫はローマ字だと“REIZOUKO”って書くんだね」と、会話をしてみましょう。生活の中で親しんでおくことが大切です。

また、駅名表記や看板、商品パッケージなど、ローマ字は日常生活の中にたくさんありますので、それを子どもといっしょに楽しみながら探してコミュニケーションを取ってみてください。

さらに、お風呂やトイレにローマ字表をはっておいて、いつでも確認できるようにしておくとよいでしょう。

【対策③】特に男の子は伸び悩む⁉「できなくてあたりまえ」の心構えでいましょう

中学年になると教科書の文章が、低学年のころに比べて長くなります。そして文章の内容も難しくなるので、まさに“読解力が求められる”ようになるのです。

ここで、多くの保護者のかた…特に男の子のお母さんに伝えておきたいことがあります。それは「男の子は女の子に比べて、文章読解が苦手な傾向にある」ということです。もちろん個人差も大きいですが、一般的な傾向として男の子は「国語」に苦戦することが多いです。

知的な能力には男女差はないのですが、自己管理力や協調性、精神的な部分の発達を男女で比べると、女の子のほうが成熟が早い傾向があるのです。

協調性や精神面で男の子より発達が早い傾向にある女の子は、たとえば「宿題、嫌だけどしておこう」と考える一方で、そうでない男の子は「宿題、嫌だな(そして取りかからない)」や、遊びを優先した結果、宿題そのものを忘れるということもあるでしょう。

ものごとを俯瞰的に見通す力は、国語の読解力にも影響してくるということです。

ですので、男の子とそもそも性別が違うお母さんから見ると、男の子の感覚が理解できないことも多くあるかもしれませんが、それに対して「どうしてできないの⁉」と悩みすぎず、「男の子は、こういう部分があるんだ」とありのままの姿を受け入れてあげてください。そういう子もいずれ精神面が成長して自己管理力がついてくるので、それからグングン伸びます。

生活の中の“遊び”として触れておくと勉強が楽しくなる!

3年生の国語は、2年生に比べて1年間で学ぶ時数※1は減りますが、学ぶ量はふえ、難度が上がっています。なんといっても読解力が求められ、それを理解して答えることが必要となりますので、普段から考える習慣をつけておくとよいでしょう。

ただ学校の勉強として捉えるのではなく、これを“楽しい”と思えるようになると、自然と学習意欲が増し、子ども自身が主体的に学べるようになっていきます。
 
それには、子どもの“好きなこと”を絡めながら日常生活の中で楽しく学ぶことが大切。これまでお伝えした学び方は “遊び”にかえられます。これを私は『楽勉(らくべん)』と呼んでいます。ぜひ、この方法で子どもとのコミュニケーションを楽しみながら、3年生に向けた準備をしてみてください。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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