俳優として活躍する板垣李光人さんが作・絵を手がける初の絵本ボクのいろが、2025年11月6日(木)に発売。発売前重版も決定した話題作です。12月上旬には、著者自ら保育園の子どもたちに読み聞かせをするイベントを行いました。当日のようすや、その後のコメントなどたっぷりお届けします。
撮影/徳永 徹 取材・文/こそだてまっぷ編集部
絵本『ボクのいろ』とは?

『ボクのいろ』は、板垣李光人さんが作・絵を手がける初の絵本。鮮やかに広がる色彩と、愛くるしいヌルの姿が描かれたイラストが、ページをめくるたびに心を和ませてくれます。
また、リズムのあるやさしい言葉で綴られた文章には、作者・板垣さんのこだわりが詰まっています。子どもから大人まで幅広い世代に読んでほしい、ありのままの自分を大切にしたくなる一冊です。
あらすじ

真っ白なからだをもつ、不思議な生き物のヌル。
色とりどりの世界で暮らしながら、「どうして ボクだけ 色がないの?」と悩みます。 そんなヌルが、さまざまな出会いを経て自分の色を探していきます。
園児たちの反応を体感! 保育園読み聞かせ会
刊行を記念して、川崎市幸区の第2ひまわり保育園では、実際の読者たち=保育園児たちを相手に『ボクのいろ』の読み聞かせ会が開催されました。語り手はもちろん、絵本の作者である板垣李光人さん。
今日一日だけの先生「りひと先生」となって、子どもたちとのふれあいを楽しみます。

物語をなぞりながら、優しくやわらかに、時折哀しくしっとりと響く板垣さんの声に、子どもたちも思わず聞き入ります。
思い思いのぬり絵に興味津々!

続いては、園児のみなさんによるぬり絵タイム。
ついさっき読んでもらった物語を思い出しながら、表紙のイラストをぬり進めていく子どもたちのようすに、板垣さんも真剣なまなざし。

『ボクのいろ』の主人公・ヌルは、何も色のない存在でしたが、子どもたちの手にかかれば色彩豊かな個性あふれる姿に様変わり。自分が創り出したキャラクターが、子どもたちの手によって新たな姿を見せる過程を楽しそうに見守ります。

ぬり終わった絵は、自分の手でりひと先生に手渡しします。
「ヌルを虹色にぬってくれたんだね」
「お空のところに描いてくれたのは、何かな?」
ぬり終わった絵を見て、一人ひとりに真摯にコメントをする板垣さんの姿が、印象的でした。
みんなから「先生」へ、お礼に歌のプレゼント
読み聞かせとぬり絵の活動を経て、りひと先生のことも『ボクのいろ』のことも大好きになってしまった園児のみなさん。でも、楽しい時間はあっという間です。

今日の思い出と感謝を、歌声と絵に乗せて、子どもたちからりひと先生へプレゼント。読み聞かせ会の会場は、終始あたたかな空気に包まれていました。
「僕がなりたい色は青」板垣李光人さん独占取材
読み聞かせ会を終えたばかりの板垣さんに、お話をうかがいました。
まずは、子どもたちへの読み聞かせと、その後のぬり絵活動について率直な感想を教えてください。
板垣さん:子どもたちが思い思いに絵をぬっている姿を見ていると、枠の中にきっちりとおさめようときれいにぬる子もいれば、枠からはみだしつつ大胆に勢い良くぬっている子もいて、色の選び方やぬり方ひとつをとっても、その子の個性があふれていて、見ているだけでとてもおもしろくて楽しかったです! この絵本に込めた、「自分が自分の中で見つけた色を大事にしてほしい」という思いを体現してくれたというか。とても嬉しかったです。

今回の絵本を執筆した経緯を教えてください。
板垣さん:普段描いている絵や、以前個展で出させていただいたものも含めて、自分の作風がほの暗い感じなので、正直はじめは「自分に絵本って合うのかな?」という思いがありました。
でも、初めの打ち合わせで「花をモチーフにした作品が多いので、絵本でも花をテーマにしてはどうか」というご提案をいただいたんですよ。そこで「そのアイデアいただき!」となってからはとてもスムーズに進みました。その打ち合わせ中に”ヌル”というキャラクターも勢いで生まれて、おおよそどういう話にするかがスルスルと決まっていった感じですね。
「色」をテーマにする、というのも早い段階で決まったんですね。
板垣さん:そうですね。絵本の中に、3人の花の精霊が出てくるのですが、その精霊たちを印象的にしたいなというのがあって。そうすると、主人公がそれぞれの色を持つ花の精霊に出会って色をもらうっていう起承転結のイメージが湧いてきたので、そのようにしました。
ストーリーの中に出てくる花の精霊たちは、色鮮やかでファッショナブルな感じにデザインしました。すでに読んでくださった方―――現場でお会いした方や、読者の方から「うちの子はこのページがお気に入りだよ」と精霊たちが出てくるページを挙げていただくこともあって、嬉しいですね。初期に思いついたシーンなので思い入れもありますし、ぜひみなさんにも、色遣いや作画も含めてこの絵本を楽しんでいただきたいです。

ご自身も主人公のヌルのように、「自分の色」がないと悩まれたことは?
板垣:もちろんあります。でも、人間って生きていくうえで必ずどこかのコミュニティに属さなくてはいけなくて、その中で他人と自分を比較して、自分が小さく見えるとか、何も持ってないように見えるっていうのはごく自然なことだと思うんですよ。
ヌルは3人の精霊との出会いを通して自分の色を見つけましたが、僕の場合は、たくさんの作品に出させていただく中で、自分がどういうふうに見せるタイプの役者なのか、とくにここ2年ぐらいで見えてきました。
もし今、役者としての自分を色に例えるとしたら「黒」。ベースの色は変わらず、質感や光の当たり方で色々な表情を見せる黒かなと思っています。

ご自身がなりたい「色」はありますか?
板垣さん:なりたい色で言うと「青」ですね。空や海を連想させる青。理由は「果てしないから」。すべてを包んでいるあの大きさ、そして、空は高く軽く、海はゆっくりとたゆたっている。そういうさまに憧れます。抽象的ですけど、青がずっと続く空か海のような、広い存在になりたい、そう思っています。

板垣さんご自身が思い入れのある絵本などはありますか?
板垣さん:ひとつは、子どもの頃に読み聞かせをしてもらった『くまのプーさん』。アニメの方ではなく、原作の分厚い本なんですけど、それを寝る前に読んでもらっていたのが、一番幼い絵本との思い出ですね。
もうひとつは、小学校の図書室で出会った『おまえ うまそうだな』という絵本です。本来は「食べる/食べられる」関係の2匹の恐竜の話なんですけど、その2匹が種族とか色々なものを超えて同じ時を過ごしていく。それがとても胸にくる物語で、小学校1年生か2年生のときに出合ったその本で初めて僕は「感動する」という体験をしたんです。
その体験は、今回本を作る側としてとても参考になりました。小さい子にとって絵本って自分の知らない世界とか知らないことを体験できる場所だと思うんです。自分が『おまえ うまそうだな』を読んで初めて「感動」を味わったというのもその一種。大人が小説や映画を通してさまざまな感情を体験するように、小さい子は絵本で、しかも自分の人生にとっていろんな初めての感情を感じる場所だと思うので、その辺りの意識は大切にしました。
最後に、「ボクのいろ」をお子さんに読み聞かせる保護者にアドバイスをください。
板垣さん:精霊のセリフなどはなりきって演じて、嵐のところは不穏な感じに声をワントーン落として読んでいただくと、コントラストがついていいと思います。
でも、もう「絵本」として世に出した以上は、僕の仕事はここで終わり。みなさんに自由に感じて欲しいという思いがあるので、どう表現するか、どのような感想を持つかはみなさんにおまかせします。みなさんが思うがままに、好きなように読んで、感じてくれると嬉しいです。

『ボクのいろ』の商品概要
- 作・絵:板垣李光人
- 定価:1,650円(税込)
- 発売日:2025年11月6日
- 判型:207×207mm、32ページ
- ISBN:978-4-05-206253-7
- 発行所:株式会社 Gakken
著者プロフィール

作・絵 板垣李光人(いたがき りひと)
2002年生まれ。2012年に俳優デビューし、映画『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』で第48回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。2025年は、ゴールデン帯連続ドラマで初主演を務めたカンテレ・フジテレビ系ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』、映画『ババンババンバンバンパイア』、ドラマ「しあわせな結婚」NHK連続テレビ小説「ばけばけ」、映画『ミーツ・ザ・ワールド』など話題作への出演が続いている。現在公開中のアニメーション映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』で田丸均役の声優を務める。俳優業のかたわら、アートの分野でも個展を開催するなど多方面で活躍。
まとめ
絵本『ボクのいろ』ぜひチェックしてみてくださいね。
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