【2024年1月、日本初の月面着陸に成功!】小型月着陸実証機「SLIM」が月面で活動中!

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【2024年1月、日本初の月面着陸に成功!】小型月着陸実証機「SLIM」が月面で活動中!

将来の月探査に向けた技術の実証をめざして打ち上げられた日本の小型月着陸実証機「SLIM」が2024年1月に月面着陸に成功。
月面での観測をして画像を送信してきました。さらに、岩石の分析などの観測を行っています。

目次

「SLIM」の月面着陸

降りたい場所に降りることをめざした「SLIM」

小型月着陸実証機「SLIM」は、近い将来の月面探査に必要な「降りたい場所に降りる」技術の実証をめざした探査機で、2023年9月7日に打ち上げられました。

その情報は、以前「こそだてまっぷ」でも取り上げました。

≪「SLIM」関連記事≫【日本初の月面着陸をめざして】小型月着陸実証機「SLIM」が月へ!

LEV-2(「SORA-Q」)が撮影した月面の「SLIM」

目標地点をめざして降下

「SLIM」は、同年12月25日に月を回る軌道に入りました。しばらく月を回った後、2024年1月20日に着陸に向けた降下を始めました。高度約15kmの地点からロケットエンジンを逆噴射し、着陸の目標地点をめざして高度を下げていきました。月面には大気がないため、空気抵抗を利用したパラシュートなどを使うことはできません。エンジンの噴射を調整しつつ、ちょうどよい地点でエンジンを切らなければなりません。また、月面近くで着陸の支障になりそうな岩などを見つけた場合は、そこをさけて降りなければなりません。

「SLIM」は、着陸直前にメインエンジンの一つが故障してしまいました。それでも、自らの判断で機体を水平に保ちながら、最終的に目標地点から55mほどはなれた地点に降り立ちました。この精度で着陸できたのは、すばらしい技術でした。

月面に着陸した「SLIM」

探査機の月面着陸を成功させたのは、日本では初めて、世界でも旧ソ連、アメリカ、中国、インドに次いで5番目の快挙でした。「SLIM」には、おもちゃメーカーのタカラトミーなどが開発に加わった小型月面探査ロボット「LEV-2」(愛称「SORA-Q」)が搭載され、「SLIM」の着陸直前に月面に放出されました。

「LEV-2」が周辺を撮影した画像には「SLIM」が写っていました。「SLIM」は4本の脚で着陸時の衝撃をやわらげるしくみでしたが、着陸した姿はエンジンが上向きで、予定とは90°異なっていました。これは、着陸直前のエンジン故障のために、速度や姿勢が想定外になったためと考えられています。

月面での「SLIM」の活動

搭載しているカメラで画像を送信

「SLIM」は、予定とはちがった姿勢で着陸したため、太陽電池が西向きになっていました。予定していた姿勢で着陸できれば、太陽電池が上向きになるので、月面が昼間の時は発電して活動できます。しかし、この向きでは着陸直後に太陽電池で発電できなかったため、いったん電源をオフにし、太陽電池に日光が当たるのを待って、月面での観測を本格的に始めました。搭載しているカメラで着陸地点の周辺の岩石を撮影し、その画像を地球に送ってきています。

観測の対象となっている岩には、「セントバーナード」、「あきたいぬ」、「しばいぬ」といった犬の品種名がつけられています。これには、それぞれの大きさをイメージしやすいようにという意味合いがあります。

「SLIM」搭載のカメラで撮影した月面の岩石。
©JAXA/立命館大学/会津大学
「SLIM」搭載のカメラで撮影した月面の岩石。
©JAXA/立命館大学/会津大学
「SLIM」搭載のカメラで撮影した「あきたいぬ」
©JAXA/立命館大学/会津大学
「SLIM」搭載のカメラで撮影した「あきたいぬ」
©JAXA/立命館大学/会津大学

休眠と活動をくり返して観測

月では、ある地点で地球の約14日ごとに昼と夜が交代します。つまり14日間昼が続いた後に14日間夜が続くということです。月面が夜の間は、活動に必要な電力が得られないため、「SLIM」は活動を休止します。2024年1月31日に、「SLIM」は休眠に入りました。

14日間の夜が明け、真昼を過ぎて太陽が傾き始めるころになると、「SLIM」の西向きの太陽電池に日光が当たるため、活動を再開しました。月面では昼は約110℃、夜は約-170℃とたいへん厳しい環境です。そのため、「SLIM」の機能に影響が出る心配もありましたが、無事に電波を送受信しました。その後、休眠と活動をくり返し、2024年4月23日から、4回目の活動をしています。

これ以前の活動中に、過酷な環境のためにバッテリや温度センサの一部が不調になり始めていることが確認されていますが、もともと、月面での運用は数日間の予定だったので、当初の目標はほぼ達成しています。

今回の「SLIM」が達成した「降りたい場所に降りる」技術は、今後の月面探査に活かされることでしょう。

2024/01/19 着陸直後
「SLIM」搭載のカメラで撮影した着陸直後の月面。
©JAXA
2024/03/29 日没直前
「SLIM」搭載のカメラで撮影した日没直前の月面
©JAXA

アメリカが主導する国際月探査「アルテミス計画」では、2028年以降に日本人宇宙飛行士2名が月面着陸をすることが正式に合意されています。日本の技術がこれからの宇宙開発に活かされることも期待されています。

そんな期待もこめて「SLIM」や「アルテミス計画」について、お子さんと話し合ってみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

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