2023年4月にこども家庭庁が創設されるなど、政府が異次元の少子化対策を進めています。そこで今回は、その少子化対策の中でも奨学金に焦点をあて、現行制度と検討案(2024年度~)についてご紹介します。
奨学金のメリットと注意点などについてもご紹介するので、子どもの学費や教育費など、経済面で不安がある人はぜひチェックしてみてください。
文/マムズラボ
現行の「奨学金」制度とは
想定していたよりも学費が必要になってしまった場合、どうすればよいのでしょうか? そんなときに利用できる奨学金の制度についてご紹介します。
奨学金には2つの種類がある
現在、奨学金は大学に進学している約半数の人が利用している制度です。奨学金には返済しなくてよい給付型、借りて返済を行う貸与型があります。さらに、貸与型奨学金には2種類あり、「第一種奨学金」「第二種奨学金」に分けられます。
「学力基準」「家計基準」がある
奨学金の種類によって「基準」があります。
学力基準
給付型の奨学金や、利子がない第一種奨学金を利用するには学力基準があり、進路の種別にかかわらず5段階評価で3.5以上が必要です。
第二種奨学金の学力基準には「学業成績が平均水準以上」とありますが、以下に該当する場合、成績が平均水準以下でも申請可能です。
・特定の分野においてとくに優れた資質能力を有すると認められる者
・進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
・高等学校卒業程度認定試験合格者であること
なお、第二種奨学金には利息がありますが、成績にかかわらず申請できます。
家計基準
奨学金制度には家計基準もあり、生計維持者が以下の収入基準に該当する必要があります。
・第一種奨学金:生計維持者の貸与額算定基準額が189,400円以下
・第二種奨学金:生計維持者の貸与額算定基準額が381,500円以下
日本学生支援機構のホームページ内にある「進学資金シミュレーター」では、奨学金を受けられる年収の目安などをかんたんに知れるので活用してみてください。
表1 奨学金の種類
給付型奨学金 | 貸与型奨学金 | 貸与型奨学金 | |
第一種奨学金 | 第二種奨学金 | ||
利子 | なし | なし | あり |
返済義務 | なし | あり | あり |
家計基準(収入) | あり(厳しい) | あり(厳しい) | あり |
学力基準 | あり(厳しい) | あり(厳しい) | 進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者 |
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奨学金を借りるメリット
つぎに、奨学金のメリットについてご紹介します。
進学をあきらめなくてよい
学費が足りないなど、経済的な理由で進学をどうするか悩んでいる学生でも、進学をあきらめず、学費のサポートを受けられるのがいちばんのメリットです。大学や大学院だけでなく、専門学校や高校への進学をサポートする奨学金制度もあります。
保護者にとっては、大学資金や教育資金を貯める負担がへります。給付型の奨学金であれば、卒業後の返済義務がないのもありがたいですね。
低金利で借りられる
貸与型の奨学金は返済時に利息がかかりますが、住宅ローンなどに比べると金利が低いのが特徴です。低金利であれば、卒業後の返済額を抑えることができ、子どもの経済的な負担軽減につながります。
2024年異次元の少子化対策で奨学金はどう変わる?
令和6年度(2024年)から、大学等を対象とする奨学金制度が改正される予定です。主に3つの支援策が発表されたのでご紹介します。
給付型奨学金と授業料減免を中間層に拡大
現在の制度では、380万円を超える世帯は給付型奨学金を利用できませんでした。新制度では、対象者の範囲が「一定の条件を満たした年収600万円の世帯程度」まで広げられます。
それにより、比較的年収が高い中間所得層の世帯も給付型奨学金を利用でき、教育費の負担が軽くなることが期待されます。
授業料の後払い制度を新設
大学院(修士段階)の授業料について、在学中の授業料を国が立て替え、返済は卒業後の所得に応じた「後払い」とする仕組みが創設される予定です。所得に連動して返済するモデルを予定しており、年収が300万円程度に達したら奨学金の返済がはじまるといった運用も検討されています。
年収が低いまま返済がはじまると日々の生活が厳しくなるので、返済する子どもに配慮された新制度ですね。
貸与型奨学金の減額返還制度の緩和
貸与型奨学金には、毎月の返還額をへらす代わりに返還期間を延ばす制度(減額返還制度)があります。この制度を使うと、毎月の返済額を1/2もしくは1/3にして返済することが可能です。
この制度を利用できる本人の年収を、「325万円以下」から「400万円以下」に引き上げることが予定されています。経済的理由で奨学金の返済が困難な社会人にとって、返済プランの選択肢が広がります。
奨学金を借りる際の注意点
奨学金を借りる際の注意点もあります。将来、奨学金を検討している人は必ず確認しておきましょう。
子ども自身が返済をする
日本学生支援機構など貸与型の奨学金は、卒業後に返済する必要があるため、子どもにとって経済的負担が大きくなります。15年程度かけて返済するパターンが多く、奨学金の返済をしながら結婚、子ども、マイホーム、マイカーなど、人生にとって大きい決断や買い物を考えなければいけません。
返済を怠るとローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできない
奨学金を契約するには連帯保証人と保証人が必要です。いない場合は保証料を支払い、保証会社の利用などを検討する必要があります。
長期間返済しない、できない場合には個人事業情報機関に登録される可能性もあり、住宅ローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりすることがあるので注意しましょう。
奨学金を安易に借りるのではなく、借りる前にしっかりと奨学金の種類や返済プランについて確認しておくことが重要です。
奨学金制度について知っておき、今からプランをたてよう
お金がなくて子どもが進学をあきらめることがないように、できるだけ貯蓄しておきたいですよね。子どもが小さいうちから貯蓄しておくのが理想ですが、難しい場合には奨学金などの制度を使うのもひとつです。
ご自身の家庭に合う進学先や学費などについて把握し、子どもが小さいうちからプランを考えておきましょう。
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