【就学前健診って?】就学時健康診断/どんなことをするの? 準備は必要?

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「就学前健診」とは、小学校入学の半年くらい前に行われるもので、正式には「就学時健康診断」といいます。
「どんなことをするの?」「何か準備が必要?」など、気になる保護者のかたもいらっしゃるでしょう。
今回は、就学時健康診断の流れや、どんな検査などをするのか、検査内容についてご紹介します。
お子さんへの伝え方や、保護者へのアドバイスなどについて、幼稚園・小学校での教諭経験もある、千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生にお話をうかがいました。

目次

就学前健診って?

小学校入学の5~6か月前に次年度に小学校への入学を予定している子どもを対象に行われる健康診断のことです。

お子さんの心身の健康や発達などを確認し、疾患や異常があった場合、早期の治療や支援につなげるためのものです。

ここでは、おおまかな流れをご紹介していますが、自治体によって違う場合がありますので、お住まいの自治体にご確認ください。

●9~10月ごろ・・・・・就学時健康診断の通知が届く

●10~11月ごろ・・・・・就学時健康診断の実施(校区の小学校で実施)

●11~1月ごろ・・・・・事後措置の通知が届く

             治療勧告(治療が必要な内容について保護者に通知)

             保健指導(保健指導・健康相談)

             教育相談・就学支援 など

どんなことをするの?

就学時健康診断の項目は、以下のとおりです(「就学時の健康診断マニュアル」より抜粋)。

●栄養状態(栄養不良、肥満傾向、貧血などの有無)

●脊柱(せきちゅう)および胸郭に異常がないか(成長発達段階にある幼児の脊柱や胸部、四肢、骨、関節などに異常がないか)

●内科的な疾患の有無

●視力・目の疾患の有無

●聴力・音声言語に異常がないか

●耳・鼻・のど(耳鼻咽頭疾患の有無)

●皮膚の疾患の有無

●歯・口の疾患の有無

●その他の疾病など(知的障害や発達障害など)

最後に、校長先生との面接がある場合があります。

子どもへの質問は、「お名前を教えてください」「幼稚園はなんていう幼稚園ですか?」「仲のよいお友だちは?」「幼稚園では、何をして遊んでいるの?」など。

保護者向けの面談は、予定されている場合と、希望者が行う場合があります。「引っ越したばかりで友だちがいないのが心配」「就学までにどんなことを身につけておけばよいでしょうか?」など、せっかくの機会ですから、率直に尋ねてみてください。

当日の持ち物は?

●就学時健康診断のお知らせ(記入して持参)

●母子健康手帳(既往歴、成育歴、予防接種歴などを確認)

●子どもの上ばき、保護者用のスリッパ、外ばきを入れる袋(子どもと保護者用)

●筆記用具

当日は、親子2人分の外ばきを入れて持ち歩くことが予想されます。サブバッグやエコバッグなどがあると便利です。

服装は?

子どもの服装は、1人で脱ぎ着しやすいものを選びましょう。上下がつながっているものなどは避けた方がよいです。

保護者は普段着でOKです。

当日の流れは?

指定された時刻に出向き、まずは受付をします。受付が終わったら、子どもは検査へ(教員や、5、6年生の児童たちに連れられて回るケースも)、親は別室で説明を聞くことが多いですが、親子でいっしょに健診を受けるところもあります。

親向けの説明では、入学説明会・学童保育の案内、PTAの概要の説明、提出を求められる書類の配布などがあります。

事前に、準備をしたほうがいい?

検査のほとんどは健康診断ですが、「発達の確認」といわれるとちょっと構えてしまう方もいることでしょう。

ただ、就学時検診は、お子さんにとって最もよい教育を受けられるよう準備するための検査。今まで気づかなかった見え方(視力など)や、聞こえ方(聴力)が、わかる場合もありますし、隠れた病気が見つかる場合もあります。

治療をすれば治るケースも多いでしょう。

あまり身構えず、ゆったりと落ち着いた気持ちで臨んでください。

就学前健診を受ける前に、子どもに伝えたいこと

就学前健診で、親と離れての検査に不安を感じたり、初めての場所や人に緊張してしまったりするうお子さんもいることでしょう。心配な場合は、事前にどんなことをするのか、話しておくのもオススメです。

伝え方例①

「入学する前に、小学校へ行ける日があるんだよ。小学校で楽しく勉強するための準備ができているか、確かめてくれるんだって。黒板の字がちゃんと見えるかな、先生の声がちゃんと聞こえているかなって、目や耳の検査もするし、病気がないかも調べてくれるよ。虫歯があったら、給食をおいしく食べられないから、歯の検査もしようね。痛いことはしないから安心してね」

 

伝え方例②

「それから、先生に言われたことをするコーナーもあるよ。聞かれたことに答えたり、ちょっと運動したりすることもあるよ。園で遊んでいる続きみたいなことだよ。うまくいかなくても大丈夫。一生懸命やっていることはちゃんと伝わるからね」

伝え方例③

「心配しなくていいよ。緊張しないで、なるべくにっこりしていようね。ニコニコしていると、小学校が楽しみなんだなって伝わるし、困った顔でいると、小学校へ来るのが嫌なのかな? って心配されちゃうかもしれないからね。ちょっと緊張しちゃうかもしれないけど、みんなそうだから大丈夫。いつもどおりの○○ちゃんで楽しめばいいよ」

引っかかってしまうのはどんなケース?

「虫歯がある」とか、「視力が悪い」などのケースが多いようです。こうした場合は、歯科や耳鼻科を受診します。

また、初めての場所や人に緊張してしまい、普段できることができなくなる…というケースも。

発音が少し不明瞭で、「食べる」が「ぱぺる」に、「おさかな」が「おたかな」になってしまうような場合は、「ことばの教室(言語通級指導教室)」などに通うことをすすめられる場合もあります。

お子さんのなかには、集団で教育を受けることが向いている子もいれば、向いていない子もいます。支援クラスでの教育がいいのか、支援学校への進学が適切なのか、地域によっても対応が異なります。

「ギフティッド」と呼ばれる特殊な才能がある子どもも、集団での教育には向かないことが知られています。

さまざまな理由を踏まえて、フリースクールという選択肢もあります。

就学時検診のために、特別な準備をする必要はありません。ただ、年齢的にふさわしい生活をしているか、ご家庭で確かめてみるのもよいでしょう。以下の点について考えてみましょう。

●自分のことを自分でしていますか?

●自分で考えて行動していますか?

●問われたことへ自分なりに答えられますか?

いつも親が先回りして、言われたことだけをしているお子さんは、自分で考える力がついていないかもしれません。

「○○ちゃんはどう思う?」「○〇ちゃんはどうしたい?」など、子どもが自分で考えて、思いを伝える機会をつくっていきましょう。

そしてその都度、「いい考えだね」「自分で考えたんだね」とほめると、自己肯定感も上がっていきます。

就学時健診は、入学予定の小学校で健診を受ける場合が多いので、入学前に小学校を訪れて、先生や年上の児童と触れ合ったり、教室を回ったりする機会となります。小学校入学に向けて、よい経験ができるチャンスとして受けとめるとよいでしょう。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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