子どもの歯列矯正は何歳開始がベスト? 費用・治療期間のメリットも解説![小児歯科医監修]

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子どもの歯列矯正は何歳開始がベスト? 費用・治療期間のメリットも解説![小児歯科医監修]

出っ歯や受け口、歯並びの悪さなど、お子さんの歯並びで気になっているところはありませんか? 一般的に歯の矯正は早いほうがよいと言われますが、いつ頃からスタートするのが適正なのでしょうか。タイミングを逃すと治療期間や効果に影響が出る子どもの矯正について、小児歯科医の坂田圭史先生に伺いました。

取材・文/FUTAKO企画

目次

子どもの歯並び、大丈夫?

「歯並びの悪い子」が増えている

小児専門の歯科医として多くのお子さんの診察をしてきて、昔より確実に歯並びの悪い子が増えていると言えると思います。
食生活の影響が大きいと思いますが、日本人の食生活が大きく変化し、かんでいないというか、やわらかいものばかりの食事になっている傾向があります。

お子さんの歯に関しては定期的な受診をされるのが一番よいのですが、最近は共働き家庭も多いので、忙しい中で限られた時間を確保して受診する大変さもあると思います。 3歳児検診では歯科検診も行われますが、その後の5歳児検診は義務ではないので、自治体によっては実施されていないところも結構ありますね。
ですから、3歳児検診以降は歯科から足が遠のいていて、入学前に小学校で行われる就学前検診や小学校で行なわれる歯科検診でチェックが入って、受診に来られるケースも少なくありません。
いずれにせよ、早ければ早いほど必要に応じた治療のプランを立てやすくなるので、気になることがあれば早めに受診されるとよいと思います。

家で親がチェックできる重要ポイント

矯正治療が必要かどうかを一般家庭で判断するのはなかなか難しいと思いますので、まずは下記のポイントを確認してみてください。

上下の歯がしっかりかみ合っているか
上下の歯がかみ合わず、隙間ができている場合は「開咬(かいこう)」の可能性があります。

◆前歯がきれいに並んでいるか
乳歯の段階で歯がでこぼこしていたり、歯が不規則に生えたり、重なり合っている場合、叢生(そうせい/ガチャ歯)の可能性があります。隙間が空いていない・隙間が大きすぎる場合も要注意。

「イー」をしたときに下の前歯が見えるか
奥歯をかみ合わせて「イー」をしたときに、下の前歯が全く見えないほど隠れている場合は上顎前突(じょうがくぜんとつ/出っ歯)の可能性があります。

下の前歯が上の前歯より前に出ていないか
下の前歯が前方に出ている場合は、「下顎前突(かがくぜんとつ)/受け口」の可能性があるため、3~6歳ごろの早い段階からの治療が必要になります。

あごの位置が左右対称であるか
あごが左右どちらかにずれていないか、顔全体のバランスを確認します。正中(顔の真ん中)と上下の歯の中心がずれている場合、かみ合わせに問題がある可能性があります。

永久歯が生えてきたのに乳歯がグラグラしていない
永久歯が見えているのに乳歯のグラつきが小さく、2週間以上たっても変化がない場合は、永久歯の位置がおかしいなど問題がある可能性があります。

上記1つでも気になるところがあれば、近所の歯科医院または矯正専門の歯科医院での受診を検討されるとよいでしょう。

「5・6歳までに治療開始するとよい」理由は?

子どものうちはあごや骨の柔軟性があるため、早期に治療を開始することであごの骨格や歯並びの根本的な改善が期待できます。それによって、抜歯など将来の外科的処置を避けられる可能性も高くなります。 症状によっては3歳ごろから治療可能ですが、遅くとも5・6歳ごろまでの治療開始をおすすめしたいものです。理由としては、次のようなことが挙げられます。

歯並び・かみ合わせの課題がはっきりしてくる

乳歯と永久歯が混在する時期(混合歯列期)は、6歳臼歯や前歯の生え替わりが進み、歯並び・かみ合わせの課題が明らかになってきます。
6歳臼歯というのは「6歳ごろ奥歯で最初に生えてくる歯」のことですが、この6歳臼歯の位置が目安となってその後に生えてくる永久歯の位置が決まります。6歳臼歯が生えていない段階では治療が進められないケースも少なくありません。

あごの成長を利用して効率的に治療できる

あごの骨が柔らかい時期ほど歯が動きやすく、効果的な治療につながります。目安としては、3歳~8歳ごろまでにかみ合わせやあごのバランスを整えておきたいところ。治療に約2年ほどかかることを考えると、5・6歳ごろの開始が適切だと思います。 8歳を超えると、あごの成長を生かす矯正は効果が落ちやすくなってしまいます。また、適切な治療をせずに放置することで、かみ合わせの悪さによる消化不良や虫歯になることも。集中力の低下で学習面などに影響が出る場合もあり、治療によってそうしたリスクを減らすことができます。

治療期間・費用を抑えられる可能性がある

小児矯正の一期(3歳~8歳)に治療を行うことで、治療期間や費用を抑えられる可能性が高くなります。一期治療(乳歯と永久歯が混在する時期)で土台を整えておけば、二期治療(永久歯が生えてきた後)が不要になったり、期間が短くなったりすることも。将来的に大がかりな抜歯などの外科治療を回避できれば、トータルの費用軽減につながります。

子ども自身が前向きで習慣化しやすい

さらに、道理が通らない乳幼児期と比べると、5,6歳になると子ども自身が治療目的を理解して前向きに取り組みやすいというメリットもあります
ある程度長期間になることが多いため、治療用マウスピースなどの着脱や管理を子ども自身でできることも、継続するうえで大事なこと。きちんと習慣化できると効果も出やすくなります。
就学前後の、「新しいことにチャレンジする意欲が高く、保護者の方の言葉も受け入れやすい」時期だからこそ、「歯の治療が自分のプラスになる」と、前向きに治療に取り組むことができます。
一方で、小学校高学年あたりからの思春期に入ってしまうと、保護者の方が密接に介入しにくくなったり、お子さんに「恥ずかしい」「面倒だ」などといった気持ちが生まれたりすることで、治療がうまく進められなかったりするケースもあります。根気のいる治療なので、思春期前に治療を開始することで、心理的な負担が減るとも言えるでしょう。

保護者の不安Q&A

Q どんな治療があるの?

A 子どもの矯正治療では、歯並びや噛み合わせの土台を整えるのには「インビザライン・ファースト(マウスピース型の矯正装置/アライナー)」、狭窄歯列(歯列弓が通常よりも狭くなり、V字型に変形してしまった状態)・軽度の叢生(そうせい/いわゆるガチャ歯)には「拡大床(床矯正)」といった取り外し式の装置を使うことが多いです。

以前は成長期の歯列矯正には固定式のワイヤー矯正が主流だったのですが、最近では取り外しができて、透明で目立ちにくいインビザライン・ファーストを使用するケースが増えています。取り外しができるので衛生的で使いやすいため、効果が出やすいと言えます。

Q トータルの費用はどのくらいかかる?

A 矯正治療には時間もかかり、費用も決して安いとは言えません。お子さんの症状や治療方法によって異なりますが、私の医院では68万円 〜 113万円を目安としています。安易に手頃な価格に飛びつくのではなく、治療の進め方や内容に納得していただくことが大事です。
最初に相談された医院での説明に納得できなければ、セカンドオピニオンとして複数の歯科医院を受診して、比較してみるのもよいと思います。 小児矯正は医療費控除の対象となる場合が多いですし、歯科医院でのデンタルローンの利用も今ではかなり一般的になっています。

Q 子どもが治療を嫌がらないか心配です

A 最近の治療で最も一般的なインビザライン・ファーストは、低年齢のお子さんでも取り組みやすいものになっていると言えるでしょう。 以前からあるワイヤーを装着した治療では、見た目を気にするお子さんも多かったのですが、インビザライン・ファーストは透明に近く、薄さも約0.5㎜で、痛みや違和感も軽減されたものになっています。
この治療法では、1~2週間ごとに、オーダーメイドのマウスピースを交換して歯並びを整えていきます。装着時間の目安は16~20時間で、食事をする際は取り外します。学校のある日は給食の時間まで付けて、食事の際に外したら家に持ち帰り、歯磨き後にまた装着するといったイメージです。
定期的に取り替えていく方式のため、毎日決められた時間装着し、外したらきちんと歯磨きをするよう習慣づけることは必要ですが、低年齢でも比較的扱いやすいものになっています。

最後に

5・6歳~低学年の段階では保護者の方が生活を管理しているため、歯科の治療をしようと言えば聞き入れやすいということも、治療を進めるうえで大事なポイントです。思春期を迎える段階のお子さんだと、生活に自分の意志や判断が増えているため、大人が介入しにくくなり、本人が治したい意欲がなければ長期間治療を続けるのはなかなか厳しいものです。毎日きちんとやらないと効果が出にくくなり、治療に時間がかかってしまうことがあります。
また、歯並びが悪いと、かみ合わせが悪くなり、消化不良や胃腸トラブルを起こす可能性や、虫歯や歯周病のリスクも高まります。また、頭痛や肩こり、集中力が続かないなど、学習面への影響も考えられます。 お子さんの歯や食事の様子をよく観察し、定期的に検診を受けるようにして、適切な治療の機会を逃さないようにしていただきたいと思います。

この記事の監修・執筆者

歯科医師(院長) / ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科 坂田 圭史

日本大学歯学部卒業
インビザライン・プラチナプロバイダー
日本小児歯科学会会員
日本矯正歯科学会会員
日本歯科審美学会会員

2006年に日本大学歯学部を卒業後、同大学附属歯科病院小児歯科での臨床経験を経て、2012年大田区田園調布にて開業。臨床経験20年以上、矯正症例数は累計1,200件以上。お子さま一人ひとりに最適な治療を提供することを心がけています。
ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科
https://abcdental11.com/

 

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