【今日もお友だちとトラブル】大人になって暴力を振るわないか心配

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こんにちは、現役小学校教員の舟山由美子です。
子どもが友だちをたたくということを繰り返していると、親はうんざりしてしまうものです。けれども、これからどう見守っていくかで、その子のよい面を引き出すこともできるのです。

目次

Q.大人になって人に暴力を振るわないか心配です

先生こんにちは。

小学校3年生の男の子の母です。

今日もお友だちとトラブルになり、そのご自宅にお詫びに行ってきました。3年生になってもう4回ほど、担任の先生から友だちをたたいたと連絡をもらっています。

4つ上の兄もいて、兄弟げんかもしておりました。男の子同士だし、たたき合いの喧嘩などもしておりました。男の子同士だし、兄弟だしということで、あまり止めたりはしませんでした。それもいけなかったのかな?と反省しています。

最初は3年生のクラス替えで新しいお友だちばかりになり、きっと負けたくないという気持ちで友だちをたたくことで、その中での中心になりたかったのだと私としては思っています。先生にも注意され、友だち同士でもたたかなければいい友だちなのにと言われ本人も反省していました。

その後、友だち同士の仲も変化し、バカとか勉強ができない奴と言われて、また違う子をたたいてしまいました。先生はどんなことがあってもたたくのはいけないと指導してくださいました。私はそのときも、そのご家庭にお詫びしました。子どももそれは見ていて、反省してくれました。

でもその3ヶ月後、掃除をサボっている女の子に掃除してよって注意したら、いやだと言われたようで、また、その子をほうきでたたいてしまいました。

注意したのにいやだと言われて腹が立ったようです。怒りのスイッチが入ると口より手が出るのが、よくないと先生にも注意されました。私も深呼吸して、冷静になってと方法を伝えました。

でもうちの子は理由もなく、たたいたりはしてないのです。ひょうきんで、正義感もあります。家族にも優しいです。私が困っていると長男よりも助けようとしてくれます。プライドが高いのか、バカにされるのがいやなのか、いやなことを言われたら受け流せないのか、成長したら怒りが少なくなるのか……?

このまま成長して、カッとなって、ニュース沙汰になるようなことをしないか不安でたまりません。私はフルタイムで働いており、寂しい思いをさせていると思いますが、主人も子ども好きでよく遊んでくれます。家族はなかなか、揃って過ごせませんが朝ごはんもみんなで食べますし、夜は私が遅い日は主人が、主人が遅い日は私がいますので、子どもと過ごす時間がないわけではないのですが、ほかの家庭と比べると少ないのかもしれません。

それが原因なのしょうか? 仕事を辞めたほうがよいのかもと悩んでいましたが、空手を習い出し、たくましくなり、好きなことにのめり込む感じがし、このままだったら負のループから抜け出せるかもと思っていました。その矢先、友だちと「かたき」という、ドッジボールのような遊びの最中に、また友だちをたたいてしまいました。たまたまなのか、わざとなのか、顔にボールが当たり、そのボールが濡れていて砂がついていたことがとってもいやだったらしく、投げた友だちが逃げたので追っかけて、捕まえてたたいたそうです。

先生が止めに入り止めましたが、その子の目の近くに当たったため、その子は目に炎症を起こしてしまいました。大きなケガとかではなく、しばらくしたら治るとの事でしたが当たり所が悪かったら大変なところでした。

先生いわく、本人はたたいてしまったことは冷静になって気がついたという感じだったようで、カッとなって、たたく行為はあまり記憶にないようだったので、心配になり連絡をしてくれたとのことです。私はどのようにこの子を守り、たたかないように導いたらいいのでしょうか?

私もずっと気にして見守っていました。でも、もうどうしたら良いか分かりません。

今日、子どもとこんな思いするのはお互い嫌だよねって泣きました。人を傷つけると周りも困るし、あなたも学校に行きづらくなるし、よくないよねって確かめ合いました。子どももごめんなさいと言ってくれました。相手の親御さんにも、私も子どもも謝りました。

もう、これでなしになるといいのですが。
アドバイス頂けたらうれしいです。

ペンネーム ベトナム

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A.感情豊かでエネルギッシュ、その魅力を伸ばしましょう

ご相談者のお子さんはかっとなる回数が多く、怒りの沸点の設定温度も低いようですね。けれどひょうきんで正義感が強く、思いやりがある。こういうお子さんは、泣いたり笑ったり、いろいろなことに怒ったりと忙しいですが、感情豊かでエネルギーがある子なのです。

男の子を育てているご家庭の何割かは、こうした悩みをもっておられると思います。

また、なかなか感情を外に表さない子どもをもつご家庭のなかには、うらやましいと思う方もいるくらいです。

相談文を拝見すると、ご相談者は、お子さんのことをよく見ておられると思いました。しかも、お子さんはお母さんには正直に自分のことを話してくれます。コミュニケーションがとれています。これはすばらしいことです。子どもには子どもの言い分があるのですから、それは聞かないといけません。

以前、同様のお悩みに対して、私は「問題と悩みを分けてみましょう」と書いたことがあります。ご相談者もそうされてみませんか。

問題は、お子さんがかっとしやすいこと。悪いことだと分かっているし、反省もしているが、同じことをくり返してしまうということです。お子さんのエネルギーがよい面で表れるときもあるし、そうでないときもある。けれど、成長する過程で魅力ある面に変えていかなければならないのです。そしてそう協力しあうのがご家庭や学校の役割なのだと思います。

手が出やすい点については、(兄弟げんか以外に)どこかで学習している可能性があるので、まずは家庭の中から振り返って、「力」ではなく「言葉」で解決する習慣をつけるように心がけるとよいでしょう。またせっかく空手を習っているので、その力を武道以外では使わないという精神も、指導者からもっと言ってもらうようにしてよいかもしれません。

そして一番大事なのはご家庭の考え方かもしれませんね。子どもに一度言い聞かせて分かるのであれば、苦労はありません。子どもは、何回言っても通じないこともあります。でも、だからこそ「子ども時代」なのです。失敗を何回もできるから子どもなのです。こんなに真剣に言ったから次はしないだろう、と大人は思います。これで懲りただろうと思います。それで聞き分ける子ももちろんいます。

でも、そういかないことも多々あります。けれど、みんなそうやって大きくなってきたのです。大人は、本当に何度でも辛抱強く言い聞かせなければならないのです。そして大事なのは、子どもとの信頼関係を切らさないこと。何度も諭すけれど、言い分もよく聞いて、「あなたを大事に思っている」ことを子どもに躊躇なく伝えることです。

もう一つ、こういった相談をされたときにアドバイスすることは、こうしたトラブルの際は、保護者と子どもとで一緒に謝りに行き、保護者が謝っている姿を子どもに見せることです。子どもが見ていない知らない所で解決してはいけません。大事なのは、子どもがどう思うかです。そして世の中のことや、人の気持ちが分かる子に育てられるかです。

問題と悩みを分けると、ご家庭で行うとよい「行動」が見えてきて、「こう接していこう」という気持ちになりませんか。これから10年が勝負だと思って子育てをなさってください。私の教え子で、子どものときは乱暴者と言われ、すぐトラブルを起こして手を焼いた男の子が、成人してからは周囲をいたわる、礼儀正しいすてきな青年になっていましたよ。

ご相談者のお母さんも、10年後のよいイメージをもって、お子さんに接してみられてはいかがですか。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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