【小学校入学準備】通学路を子どもと一緒に歩いてみませんか?

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【小学校入学準備】通学路を子どもと一緒に歩いてみませんか?

小学校入学を控えたお子さんのいらっしゃるご家庭では、さまざまな入学準備がありますね。子どもを守るうえで欠かせない大切な準備のひとつが、通学路を歩く練習です。
気候のよい秋の時期、小学生になることをゆっくり意識しながら、お子さんと通学路を歩いてみませんか?
通学路での痛ましい事故も記憶に新しいですが、そんな交通事故の危険性、そして防犯の観点から、どのようなことに気をつければよいのか、危機管理教育研究所代表の国崎信江さんにお話をうかがいました。

文/田中絢子

目次

1年生になる心の準備から始めよう!

小学校入学は自立への第一歩

小学生になるまで、子どもは基本的に守られて暮らしています。保育園や幼稚園までは保護者が送り迎えをしてくれたり、園バスで通園したりして、注意しなくても安全な環境にいることができます。
しかし、小学生になったら、ひとりで登下校したり、外出したりする機会が出てきます。そうなると、子ども自身に「これからは自分で身を守る」という意識をもってもらうことが大切です。

「なんで?」の理解から

しかし、いきなり「交通ルールを守ろう」「不審者に気をつけて」と言われても、子どもは「なぜしなければならないのか」を理解できません。まずは通学路にひそむ危険を、子どもにわかるように伝えていくことからスタートです。
そのためにも、秋から通学路を確認することは、決して早すぎることではありません。何度も一緒に歩き、親も子も、1年生になる心の準備をゆっくり進めましょう。

「魔の7歳」から子どもを守る

子どもの見ている世界は…?

小学1〜2年生は「魔の7歳」といわれ、歩行中の交通事故が多いことで知られていますが、おうちの方に知ってほしいのが子どもの視界です。子どもは視野が狭く、背も低いため視界が限られるのです。

そんな子どもの視界を体験できるのが「チャイルドビジョン(幼児視界体験メガネ)」です。自治体等で公開されているので、実際に保護者が通学路で使用すれば、子ども目線からの危険を見つける助けになります。

チャイルドビジョン提供サイト
東京都版チャイルドビジョン(東京都福祉保健局)

「気をつけてね!」では伝わらない

「気をつけてね!」では伝わらない


通学路の危険を教えるとき、ただ「危ないから気をつけて」では、子どもは何に気をつけたらいいのか理解できないことがあります。身近なものにたとえたり、実例を交えたりしながら、できるだけ具体的に繰り返し伝えましょう。

自動車がどのくらい速いか

自動車のスピードを、「電車くらい速い」「オリンピックの陸上選手くらい速い」と、子どもが興味のあるわかりやすいことにたとえてみます。そして、車にぶつかったらケガをしたり、死んでしまったりする場合もあること、車は急に止まれないことなども一緒に教えます。

子どもは車から見えないこと

背の低い子どもは車から見えにくいものです。たとえば「横断歩道で手を挙げるのはなんでかな?」と問いかけ、「あなたが小さくて車から見えないから、気づいてもらうためだよ」と理由とともに伝えると、理解もグッと深まります。

歩くときの注意点

お子さんと歩くとき、「キョロキョロしない!」「前を見て!」などと注意していませんか? しかし、実は有効なのが定期的に後ろを振り返ること
近年増えてきた電気自動車は、エンジン音が本当に静かです。そのため、背後から近づいてくる車の音に気づかず道の真ん中に飛び出し、接触する事故も実際に起きています。
また、危険をキャッチするために背後を確認することは、防犯の観点からも有効です。

危険箇所はポイントで

登下校の道のりを、ずっと注意しながら歩くのは難しいですから、子どもには特に注意したい場所をポイントやゾーンで知らせます。このときも場所ごとに、なぜ危ないのか、何に注意したらいいのかを伝えます。

どうすればいい? 不審者対策

知らない人ってだあれ?

「知らない人についていかない」と、お子さんに言い聞かせているご家庭も多いですね。でも、子どもにとって「知らない人」とは誰でしょうか?
よく公園のベンチに座っている人、犬の散歩をしている人、同じマンションの話したことがない人……。こんな人たちも、子どもは知っている人だと言うかもしれません。
具体的には、「おうちの方がよく知っている人」かどうかが基準になります。または、いつも会う人=知っている人ではないと注意を促してもいいでしょう。

「こども110番の家」をチェック

「こども110番の家」をチェック


「こども110番の家」は、子どもが身の危険を感じたとき、助けを求めて駆け込める場所です。登録している民家だけでなく、コンビニなどの店舗、駅のほか、タクシーやバスなどの乗り物でも「こども110番」の活動を行っています。

駆け込み先の最優先は、人が必ずいる店舗や乗り物です。通学路にある登録民家には、歩く練習の際、訪ねて挨拶しておくのもいいですね。いざという時に、駆け込める店も民家もない場合は広い道へ。指定通学路から離れるので、危険を感じたときだけ広い道に逃げるように教えましょう。
いずれも、場所ごとに逃げる先を子どもと決めておくとよいでしょう。

声かけクイズをしてみよう

声かけクイズをしてみよう


入学時に学校から配られることも多い防犯ブザー。もしものときに備え、操作方法の確認とともに、一度、音を聞いておくといいでしょう。
不審者の声かけは巧妙化しています。「こうやって声をかけられたらどうする?」と、クイズ形式で理解を深めましょう。

ポイントは、今いる場所から移動させようとする声かけや行動があったらブザーを鳴らして逃げよう、と教えることです。

【声かけの例】
「今日は寒いね」 →セーフ
「車に気をつけて帰ってね」 →セーフ
「ママが事故に遭ったって! 車で病院まで連れていってあげる」 →ブザーを鳴らして逃げる
「ネコが逃げたから一緒に探してくれる?」 →ブザーを鳴らして逃げる
「おじさんの家に、いらないカードがあるんだけどあげようか?」 →ブザーを鳴らして逃げる
「あの店に面白いガチャガチャがあるよ。お金出してあげるからやってみる?」 →ブザーを鳴らして逃げる

親子のコミュニケーションが危機管理能力を育てる

何を「危険視」し、どこまで「警戒」するのか。子どもへの危険の伝え方は、一番の悩みどころです。すべてを疑えとなると、大人や社会が信用できなくなり、心の成長には決してよくありません。しかし、危険がわからないといつまでも身を守れないまま。バランスがとても重要です。

では、どうしたらいいのでしょう。
まず、世の中には、小さな子を守ってくれるいい大人がたくさんいることを伝えてほしいと思います。次に、アニメなどにも出てくるように、悪い人も一部いると伝えます。「悪い人の被害に遭わないためにも、これから言うことを聞いてね」と、具体的に話していきましょう。

「ぼく、わたしなんて大丈夫」が危ない!

子どもは「ぼく、わたしなんて大丈夫!」と、自分に狙われる価値があると思っておらず、事故にも遭わないと思っています。
まずは、自分がターゲットになる理由を知ることが大切です。不審者になぜ狙われるのか、なぜ危険なのかについては、次のように話すとわかりやすいでしょう。

・「あなたみたいな子どもにも、好きという感情をもって体を触ろうとする大人もいるんだよ。知らない人には、絶対に体を触られないようにしようね」

・「人が嫌がることを喜ぶ人もいて、小さい子に裸を見せて喜ぶ人もいる。見るとあなたが辛い思いをしちゃうから、逃げるんだよ」

・「悩みを抱えていて、それを発散しようと子どもに暴力をふるう人がいるんだよ。あなたが傷つけられたらママやパパはとても悲しいから、注意してね」

自分が周囲から愛されていて、傷つけば多くの人が悲しむこと。つまり、子どもが自身の価値を知ることによって、「自分で自分を守る」という危機管理能力は育っていきます。
日頃の子どもの様子を知るためにも、親子でたくさん話をしましょう。安心して何でも話せる関係を築くことも、防犯対策の土台のひとつです。

【国崎先生からのメッセージ】
ランドセルを買うと、「もうお兄ちゃんお姉ちゃんだね」と言われますね。ランドセルを手にした子どもは、期待に胸踊らせていることでしょう。通学路を歩く練習をする際、試しにランドセルを背負って歩いてみてはどうでしょうか? モチベーションが、もっと上がると思います。

「ランドセルを背負うとお兄ちゃんお姉ちゃんみたいでかっこいいね。危ないことから自分を守れたら、もっとかっこいいよね!」

こんな風に、とんどん褒めて自信をもたせる、やる気にさせることはとても大事です。お子さんの気持ちを持ち上げ、小学校1年生になる期待と、身を守る自覚を養っていきましょう。

この記事の監修・執筆者

危機管理教育研究所 代表 国崎 信江

くにざき のぶえ/危機管理教育研究所代表、危機管理アドバイザー。20年にわたり第一線で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。行政、企業、マンションなどのリスクマネジメントコンサルを行い、省庁の検討・審査委員や自治体の防災アドバイザーなどを務めている。NHKラジオでは6年間マイあさラジオ「暮らしの危機管理」のコーナーで情報提供するほか、多くのメディアで被災地の支援活動時の経験や防災防犯普及啓発を発信している。防災・防犯の執筆・監修図書多数。

危機管理教育研究所
http://kunizakinobue.com/

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