子どもにとって最初の本格的な学びは、かずとひらがなでしょう。とくにひらがなは文字数が多いので、覚えるのが大変です。小学校に入ると授業でひらがなを学びますが、できれば入学前に少しでも慣れさせておきたいと思う保護者も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では小学校教員として3〜6年生の担任を6年間務めた経験を持つ筆者が、5~6歳の子どもにオススメのひらがなの学習方法をいくつかご紹介します。ひらがなの学習にはいろいろな方法がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
文/マムズラボ
ひらがなの勉強はいつからはじめるべき?
子どもが文字に興味をもちはじめたときや、好きなものやキャラクターなどの名称をたくさん覚えるようになったら、ひらがなの勉強のはじめどきです。「勉強」といっても、5~6歳程度の子どもの学習は、遊びの延長での学びになります。
興味のないものを無理やり学ばせようとすると、勉強や文字が嫌いになってしまう可能性があります。まだ文字に興味をもっていないようであれば、就学前に無理して学習させる必要はありません。
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ひらがなの「読み」を覚える学習方法5選
文字を覚える順序は(1)読み、(2)書きです。ひらがなが読めない子どもにいきなり書く練習をさせても、あまり意味がありません。まずはひらがなを読めるようにしていきましょう。
ここでは、ひらがなの「読み」を覚えるための学習方法をご紹介します。
「読み」を覚える五十音表を目につくところにはる
文字とその音ではじまるもののイラストが表記された五十音表が、読みを覚えるのに適しています。「あ」なら、「ありがアイスクリームを食べる」イラストがついているようなものです。
五十音表といってもさまざまな種類があり、筆順やカタカナ、ローマ字が併記されているものもあります。しかし、「読み」を覚える段階でこれらは必要ありません。文字とイラストを重視した五十音字表を選び、目につくところにはりましょう。
お絵かきボードや電子メモパッドを使う
ものや人の名前を教えるとき、ひらがなを書いて文字もいっしょに伝えるようにしてみましょう。お絵かきボードや電子メモパッドを用意しておくと、すぐに書いて伝えられるのでオススメです。
カードや積み木を使う
保護者がカードや積み木をならべて子どもに読ませる、子ども自身がカードや積み木をならべてことばづくりをするなど、積み木やカードを使った遊びを取り入れてみましょう。遊び感覚で楽しみながらひらがなを覚えられます。
しりとりやかるたで遊ぶ
しりとりやかるたなど、ひらがなの読みを利用した遊びにもチャレンジしてみましょう。積み木やカードよりも少し難度が上がるので、読みを覚えてきた子どものやる気をさらにアップさせられます。
並行して「運筆」をはじめる
ひらがなの「書き」を学習する前に、読みを覚える遊びと並行して運筆をはじめておくとよいでしょう。運筆とは、鉛筆を正しく持ち、動かす練習のことです。鉛筆で、まっすぐ・波・ぐるぐるなどのいろいろな線をかかせます。
ひらがなの「書き」を覚える学習方法6選
ひらがなをすらすら読めるくらいになったら、書く練習をはじめるタイミングです。
続いては、ひらがなの「書き」を覚える方法についてご紹介します。
筆順が書かれた五十音表をはる
ひらがなの「書き」を覚える段階になったら、五十音表を筆順が書かれているものに替えるのがオススメです。カタカナが併記されているものにしてみるのもよいでしょう。
一画で書ける字からはじめる
「し」や「つ」などの、一画で書ける字から練習をはじめます。かんたんに書ける字からはじめて、「書けた!」という自信をつけさせてあげましょう。
ただし、子どもが「書きたい」と強く思う字があるなら、その字からはじめてみるのもOKです。子どもの「書きたい」気持ちを優先に考えましょう。
なぞり書きからはじめる
ひらがなを正確に書くための練習として、なぞり書きやポイント書きもオススメです。
(1)なぞり書き
(2)ポイント書き:一画一画の始点と終点を示し、それをつなげさせる。
(例)ひらがなの「し」を書かせるときのポイント書き
赤丸を始点、白丸を終点として、どのようにつなげばよいかお手本を観察させて書かせます。
(3)見て書く:最後に自分で字形をよく観察して書く。
字形を正確に覚えるには、以下の2点が大切です。
・文字の一画一画がマスのどこからはじまって、どこで終わるのかをとらえること
・どこをどのような線でたどるのかとらえること
なぞり書きも大切ですが、そればかりではただなぞるだけの作業になってしまい、字形を正確にとらえることにつながらない可能性があります。字形をしっかりと観察させましょう。
ものの名称をひらがなで書いて伝える
「読み」を覚えるときと同様に、ものの名称などを保護者がひらがなで書いて伝えることを継続しましょう。このとき、保護者が書いているところを子どもに見せると、「書き」を覚えるのに有効です。
自分の名前を書く
ひらがなを書くことを楽しめたり、書くことに自信をもったりできたら、自分の名前を書かせてみましょう。
小学校ではひらがなをすべて習うより前に、自分の名前を書けるように指導することが多いです。また、配布物に自分で記名することもあります。入学前に自分の名前だけでも読み書きできるようにしておくと安心です。
たくさん書かせてあげる
ひらがなを書くことに楽しさを感じている子どもには、たとえ上手に書けなくてもたくさん書かせてあげましょう。保護者とお手紙の交換や、「こうえんであそんだ」という程度の日記を書かせてみるのも、子どものやる気アップにつながります。
ひらがなの勉強中にイライラしてしまうときは中断もあり
文字の練習は楽しいばかりではなく、ときにはつらくなってしまうことや、子どもといっしょにイライラしてしまうこともあります。そんなときは、「がんばっているし、今日はおしまいにしよう」「少し休憩しておやつを食べよう」と潔く勉強を中断するのがオススメです。
「何度言っても、注意したことができない。反復が必要かも」と思う保護者もいるかもしれませんが、できないことを深追いしないことが大切です。今はできなくても、成長とともにうまくできるようになっていきます。
また、何度も書いているのにうまく書けず、子ども自身が意地になって「やる!」と言い張るときもあるでしょう。しかし、そんなときはかえってうまくいかないことのほうが多いものです。「落ち着いたほうが上手に書けるから、一度鉛筆を置いて、飲みものを飲もう」などと声掛けをして、少し休憩するよう促してみてください。
子どものペースに合わせて、楽しみながらひらがなを覚えよう
ひらがなを覚えるには、文字を読むこと、書くことが楽しいと思えるのがいちばん大切です。文字はすべての学習の基礎。「学ぶことは楽しい」と思えるように、ひらがなの練習も子どもといっしょに楽しみましょう。
ほかの子どもと比べずに、ゆっくりと子ども自身のペースで覚えていけるようサポートできるとよいですね。
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