新生活に少しずつ慣れてきたころ。新しい先生や友だちとお出かけする機会も増えますね。今回は、「動物園にお出かけ」をテーマにした絵本を紹介します。
絵本のセレクトをしてくださったのは、絵本専門士で絵本セラピスト®の鳥山由紀先生です。
4月号第2回
「動物園にお出かけ」をテーマにしたオススメの一冊
◆2~3歳向け!『どうぶつ どんどん』
文・絵/たしろちさと 1,430円 大日本図書
【あらすじ】
ぞう、しまうま、きりん、オラウータン、ぺんぎん、ライオンと、動物がどんどん登場。ページをめくるとそれぞれの動物の特徴が、見開きいっぱいに表現されています。動物たちの生態をとらえた動きに注目です。
動物大好きな著者が描く動物たちは、リアルで迫力があるのに、愛らしいですよ!
【オススメポイント】
小さな判型なのに、ぞうの「ばっしゃーん」も、きりんの舌が「ぺろりん」も、ぺんぎんの「シュー」も、どれも迫ってくる感じ。まるで映像を見ているように、動きが感じられます。動物園に行った小さな男の子目線なんでしょうか。子ども目線だからか、余計に迫力が感じられるのかもしれません。
子どもだけでなく、大人が見ても、動物たちの魅力に取りつかれそうです。
きりんが草を食べるときってこんな感じなの? オラウータン、綱渡りすごーい!
ぞうの親子の愛情たっぷりなしぐさも魅力的。それぞれの動物の目の表情も見ているとおもしろいです。この子、こんなこと言ってそう! と親子でその会話を考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。
動物園に行って、実際にこんな様子を間近で見られるといいですね。この絵本を見たあとだと、1日中動物園で過ごせそうです。
◆3~4歳向け!『ほんとのおおきさ動物園』
監修:小宮輝之 写真:福田豊文 1,650円 Gakken
【あらすじ】
実物大の写真が見開きいっぱいに登場します。「サイの角って毛なの?!」といった、動物の生態や、写真のモデルになった動物についてのデータや豆知識なども掲載。写真だけでなくさまざまな点で「おー」とうなる学びがいっぱいです。動かない実物大の動物写真は、細かい毛並みまでじっくり観察することができます。
【オススメポイント】
表紙に入りきらないシマウマの顔。それだけでもその大きさが伝わってきますが、表紙がB4サイズ、開くとB3、ワイドページはさらにその倍の大きさで迫力満点です。開くたびに、「おー!」と感嘆。子どもは「おおきい~」と、その迫力に気圧されそうです。
こんな大きな判型でも入りきらない動物ですが、その目力や細かい毛並みまでじっくり見ることができます。実際の動物園ではさすがにここまで近づいて見ることはできないので、その分絵本でじっくり眺めて予習をしてから、リアルな動物たちに会いに行きましょう。子どもは身を乗り出して動物を観察すること間違いなしです。
その大きさに驚くだけでなく、細かい部分までしっかりと観察してみると、意外な発見がありそうですよ。自分の顔の大きさと比べてみる、身近にある冷蔵庫や自転車などと比べてみる、そんな見方で実際の大きさを想像してみるのもおもしろい!
◆4~5歳向け!『みんなうんち』
作/五味太郎 990円 福音館書店
【あらすじ】
動物たちがそれぞれ特徴的なうんちをしている様子が描かれています。「うんち」というワードだけで、子どもたちにはとっても魅力的。でもそれだけではありません。「へびのおしりはどこ?」「いきものはたべるから みんなうんちをするんだね」と、当たり前のようで、複雑なつながりのもとで生きることが成り立っていることや、うんちの大切さについて、改めて考えさせられる一冊です。
【オススメポイント】
動物園に行くと当然ながらいろいろな動物のうんちを目にすることになります。子どもも興味津々。大きなうんち、丸いうんち、色もいろいろあります。歩きながらうんちをする動物や、飛び散らせる動物も。絵本に登場しない動物もどんなうんちをするのか知りたくなります。実際に動物園に行ってみると、「あー、うんちしてるー!」と、大喜びで教えてくれる子どもの声が聞こえてきそう!
動物園に行けば、「たべるからみんなうんちをするんだね」という科学的な視点もすんなりと理解ができそうです。絵本ではわからないにおいや質感を、動物園に行って実際に観察してみるのもおもしろいですね。動物園によっては、うんちをより近くで見ることができるよう展示しているところもあります。
◆大人向け! 『動物たちのおしゃべり』
文/山崎陽子 画/ミルコ・ハナアク 1,760円 藤原書店
【あらすじ】
何か言いたげにこちらを見つめる表紙のねこ。どんなおしゃべりを聞かせてくれるのでしょう。どうやら叶わぬ恋をしているようです。さまざまな動物たちが登場し、自分の憂いを嘆いたり、夢を語ったり。読めば読むほど、動物たちもいろいろ抱えるものがあるんだなと思わされる、動物たちの心の声が聞こえてきます。
【オススメポイント】
チェコの絵本作家ミルコ・ハナアクさんが描いた動物画に、山崎陽子さんが文章を書いた作品。この絵に見入っていると、本当にこんな声が聞こえてきそうです。絵の中の動物が、まるで声を出して語りかけてくるよう。ねこの自由奔放さに憧れるいぬ、ねずみに恋をしてしまったねこ、かあさんがいない友だちにかあさんの自慢をして後悔するさるの子ども、恥ずかし気に結婚の報告をするかば、泣きたいけれど「わしは王さまなんじゃから……」と我慢するライオン…。
どの動物のひとことも、それぞれに他人にはわからない悩みを抱えていることに、クスッと笑えたり、共感したり、涙したり。
ゆっくりと時間のあるときに、いいえ、なんとかして時間に追われない気持ちもゆったりとできる時間を作り出して、お茶を淹れて静かに読みたい大人が楽しむ一冊です。
次回の「こそだてまっぷ 絵本棚」は5月。母の日にちなみ、「お母さん」をテーマにした絵本を紹介します。
この記事の監修・執筆者
(プロフィール)
絵本専門士4期生。絵本セラピスト協会認定絵本セラピスト®。大人・子どもを問わずお気に入りの一冊を見つけてもらえることを思い、絵本に関する講演や執筆、絵本講座の開催、読み聞かせなどを行う。また、箏奏者との絵本の読み聞かせユニット「ことえほん」での公演活動、大学での認定絵本士養成講座講師も務める。
(ブログ)
https://ameblo.jp/ehonrahen/
(ことえほんfacebook)
https://www.facebook.com/kotokotoehon/
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