【専門家監修】虫博士、子鉄、クッキング大好き… 子どもの「好き!」を見逃さない~才能を伸ばす親の言葉とは?

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【専門家監修】虫博士、子鉄、クッキング大好き… 子どもの「好き!」を見逃さない~才能を伸ばす親の言葉とは?

「子どもの熱量と吸収力って、すごい!」と思うことはありませんか?

電車の名前や特徴をすらすら言ったり、何時間も飽きずに図鑑を眺めていたり…。わが子が“虫博士”“子鉄”“料理名人”など、驚きとともに、ちょっと誇らしくもなりますよね。

「好きこそものの上手なれ」といいますが、せっかく見つけた子どもの「好きエネルギー」をうまく伸ばしたいもの。ちなみに、今人気の東大クイズ王も、サッカー好きから国旗を覚え、国の知識へと広がったのだとか。

子どもの「好き」は学びのチャンス。どのように「好き」を見つけて、どう伸ばしていけよいか、千葉経済大学短期大学部こども学科教授 横山洋子先生にお聞きしました。

お話:横山 洋子
イラスト:みさきゆい

目次

子どもの「好き」の見つけ方

子どもの好きな物がわからないという場合、子どもが「何かに興味をもてる経験」が必要です。 まずは、ふだんの子どもの様子を観察してみましょう。

  • 何に目を輝かせている?
  • どんなおもちゃがお気に入り?

ブロックやおままごとなど、子どもなら誰でも、好きな遊びがあるでしょう。保護者はそこを見逃さず、好きな遊びをとことん楽しみ、没頭できるようにしましょう。

さらに、駅へ電車を見に出かけたり、図書館でさまざまな図鑑や写真を見たり、スーパーマーケットや郵便局、薬局などにいっしょに行ってみたり。身近な生活圏のなかにも「好き」のヒントはたくさんあります。

また、豊かな環境に出会うことも大切。山や海などでの自然体験や動物園、水族館、プラネタリウムなどの施設に出かけてみるのもおすすめです。多様な環境に、子どもといっしょに飛び込み、たっぷり楽しんでください。

そんななかで、「また行きたい!」「○○したい!」と言われたら、しめたもの。子どもが「好き」を見つけたということです。満足するまで足を運び、子どもの興味を引き出しましょう。

子どもの「好き」を1つに絞る必要はありません。「○○も△△も好き!」とあらゆる物に興味を示すことは素晴らしいこと。たとえ途中で興味を失ったとしても、保護者が焦って「○○が好きだったんじゃないの!?」などと子どもに問いただすのはやめましょう。

「好き」を学びに発展させるには

子どもが何かに興味を示したら「○○が好きなんだね」と認めて、保護者もいっしょに探して喜ぶとよいでしょう。街の中やテレビで出てきたら「○○あったね!」と、声かけをしたり、本や図鑑、グッズなどをいっしょに見たりしましょう。「(自分が)興味をもったことを(保護者が)喜んでいる」と子ども自身が感じると、子どもの自己肯定感はグンと上がります。さらに、こんな言葉がけで子どもの興味を刺激しましょう。

  • 「これはどうなっているのかな?」
  • 「○○(子どもの名前)はどう思う?」
  • 「次は、どんなことがしたい?」
  • 「そんなことがわかったんだ! すてきだね!」
  • 「本当だ! おもしろいね!」

子どもがこの後、どう考えるかを促す言葉や、子どもの発見に共感する言葉で、保護者もいっしょに楽しんでいることを実感できるようにするのがポイント。

大切なのは、子どもが主体的に取り組んでいること。保護者が過剰にハッパをかけて、「(子どもが)やらされている」という気分にならないよう要注意です。

実践1「わが子は虫博士。この熱量を学びにつなげるには…?」

祖父母が住む田舎に遊びに行き、カブトムシを見つけて大興奮!これをきっかけに大の虫好きになったAくん。散歩の途中でも、小さな虫を追いかけたり、触ってみたりして興味津々の様子です。こんなAくんには…

まずは、好きなだけ虫を見て、触れ合える環境をつくってあげられるとよいですね。

観察や飼育ができるように、ケースを用意する、見た虫をすぐ調べられるように、子どもに分かりやすい昆虫図鑑を用意するなど、子どもの興味に寄り添った準備をしましょう。近くの公園や雑木林などへ連れ出してあげるのもおすすめです。

保護者は虫が苦手な場合でも、「汚い!」「気持ち悪い!」という言葉はぐっとガマン。「ママ(パパ)は触れないけど、Aくんはすごいな! よく見せて!」などと、触らなくても興味をもって話しましょう。さらにこんな言葉がけで、子どもの興味を刺激します。

  • 「へえ、おもしろい動きをするね」
  • 「羽がとってもきれい。光っているみたいね」
  • 「これはなんていう虫かな?」
  • 「足は何本ある?」
  • 「何を食べて生きているのかなぁ」

保護者も興味をもって楽しむ姿勢で接します。「Aは虫博士だね!」「教えて!」という言葉で、子どもの自尊心をくすぐります。

さらに「おじいちゃん・おばあちゃんにも教えてあげようか」と提案し、図鑑を見ながら紙に虫の絵を描いたり、虫の名前や特徴を調べて、ひらがなで書きこんでみたりしてみましょう。読み書きの学びにもつながるし、虫の魅力を伝えようとすることで、プレゼンテーション能力も育ちます。

飼育している虫が、もし死んでしまったら、いっしょに土に埋め、自然にかえしましょう。「命」についても学ぶ機会となるはずです。

 実践2「わが子は料理に興味津々で、お手伝いが大好き。この熱量を学びにつなげるには…?」

いつも、台所で食事作りを始めると、「わたしもやりたい!」とそばにくるBちゃん。「プチトマトを洗って」と頼むと、大喜びでお手伝い。そして、料理ができていく様子を、興味深そうにじーっと見ています。そんなBちゃんには…

まずは「いつも、お料理を手伝ってくれてありがとう。とても助かっているよ」と、感謝の気持ちを伝えましょう。子どもにとって、保護者からの「ありがとう」は最高のほめ言葉。自分が役に立っている、という嬉しさで、自己肯定感がアップします。

そして、ときには、火を使わない簡単クッキングで、お手伝いではなく、子ども自身が主となって作る経験ができるようにしましょう。このとき、子ども用エプロン、踏み台、子ども用包丁を揃え、大人と同じような環境を作っておくことがポイント。「きゅうりが2本とレタスが3枚…」などと、声に出して材料を確認することで、数に親しみをもち、分量を認識することもできます。

包丁を使う、皮をむく、時間を計る、盛り付ける…。料理には、いろいろな作業があります。ひとつひとつの作業を無理のない範囲で教え、楽しく経験できることが大切。工程のなかで、子どもが見立てや並べ方を楽しんでいたら、いっしょにおもしろがりましょう。

盛り付けを任せることで、色のバランスや美味しく見える分量についても学び、美意識が育ちます。完成したら、写真を撮り、こんな言葉かけで子どもの意欲を刺激します。

  • 「おいしそう! 早く食べたいな」
  • 「いっしょにお料理して楽しかったね」
  • 「次は、何を作りたい? 」

キッチンでは、子どもが相棒。そんな気持ちでいっしょに食事作りを楽しみます。ときには保護者がサポートにまわり、子どもがのびのびと、主体的に取り組めるように心がけましょう。

子どもの好奇心と学ぶ力は、大人よりもはるかに上です。これを大事に、わが子が今、何が好きで何に興味をもっているのか、しっかりアンテナを張って見守り、保護者もいっしょにおもしろがりながら、わが子との時間を楽しみましょう。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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