読み聞かせは、子どもの「脳」と「心」をぐんぐん育てる! ~絵本の選び方のポイント~

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読み聞かせは、子どもの「脳」と「心」をぐんぐん育てる! ~絵本の選び方のポイント~

“1日たったの10分でも、絵本を読み聞かせる効果は絶大”。
これは、4万人以上の親や保育士、幼稚園教諭の方へ読み聞かせの効果を発信してきた、絵本講師の仲宗根先生が実感してきたことです。
今回は、読み聞かせの絵本選びで大切なポイントをうかがいました。
これを意識するだけで、絵本の時間がもっと楽しくなり、子どもの心も脳もぐんぐん伸びていきますよ。

お話/仲宗根 敦子 (「絵本未来創造機構」 代表)

目次

絵本を選ぶときに大切な3つのこと

【その1】絵本の対象年齢にこだわらない

絵本の対象年齢は、参考にはしていいけれど、とらわれすぎてはいけません。
なぜなら、まずは「最後まで読みきる」ことが大切だから。

最後まで絵本を読めるということは、子どもにとって「やった!」「最後まで読めた!」という成功体験になります。そして、それらが積み重なっていくと絵本が好きな気持ちが芽生え、自己肯定感を高めていくことにもつながっていくのです。

ですから、小学生から読み聞かせをスタートするという子は、“赤ちゃん向け絵本”から読み聞かせを始めても大丈夫! そこから絵本が好きになって、文字量が多いものにもだんだん慣れていきますよ。

つまり、大切なのは対象年齢ではなく、「最後まで読める」「集中して読める」「興味をもって読める」ということ。その日の集中力や子どもの好きなジャンルかどうかによっても変化するものなので、子どもをよく観察して選書することが大切ですね。

【その2】絵本の“絵の質”を見極める

絵を見ただけでストーリー展開がわかるような、ていねいに描かれている絵本を選びましょう。

と言うのも、子どもの脳は見る、聞く、感じるなどの感覚的な情報を瞬時に取り込む、「右脳が優位」な発達段階にあり、絵本の絵全体を一瞬でとらえて想像力を働かせるからです。

時折、絵本の文章が先に進んでしまって、絵が連動していないものがあったりしますが、そういったものは子どもの脳を混乱させてしまいます。

絵本の絵は、子どもの経験値の少なさ、わからない語彙や文字の“大きな助け”になりますから、ストーリーだけでなく“絵の質”もしっかり見極めたいですね。

【その3】性別のこだわりをなくす

たとえば、男の子だから「車の絵本」、女の子だから「ケーキの絵本」のように、性別の枠で縛ってしまってはいけません。性別にかかわらず、いろいろな絵本を選んであげましょう!

絵本の醍醐味は、過去にも、未来にも、どこにでも行けて、なんにでもなれること。それを、性別という枠で縛ってしまってはもったいないですよね。

絵本を通してたくさんの疑似体験をすることで、子どもは性別に関係なく、自分の興味や関心のあることを見つけられるようになるはずです。

気をつけたい! 読み聞かせのNGポイント

読み聞かせ途中の質問はNG!

読み聞かせの途中の「りんごは何個あったかな?」「これはどう思った?」といった大人発信の質問。内容を理解しているか気になる気持ちはわかりますが、実は、子どもを絵本の世界から現実の世界に引き戻してしまっています。

見る、聞く、感じるなどの感覚的な情報を瞬時に取り込む「右脳が優位」である子どもたちは、瞬時に絵本の世界に入り込みますから、子どもの思考の邪魔をしてしまっているということです。

お子さんが大きくなったときに「うちの子、集中力がなくって…」と悩むママパパがいらっしゃいますが、こういったNG例がお子さんの集中力を欠く要因になってしまう可能性もあるといわれています。

まずは、とことん絵本の世界に入り込ませてあげたいですね。

厳しいノルマは禁物

たとえば、
―子どもがすごく眠たいときに、今日は3冊がノルマだから絶対にやらなきゃ!
―親がつかれているのに、無理に読み聞かせをしようとしてイライラ…

これらは、子どもが絵本嫌いになってしまう要因に。
無理のない程度に、その日の体調や状況に合わせて、読み聞かせができたらいいですね。

読み聞かせのQ&A

Q1.読み聞かせが終わったら、感想を聞いてもいいですか?

子どもから質問してくれる場合は、たくさん答えてあげてください。それは、物語の余韻を楽しんでいる証拠。世界観をより深めてあげるためにも、子どもが疑問に感じたことにていねいに答えてあげましょう!

でも、親からの質問攻めには気をつけて!
まだ語彙が少なく、感じたことをうまく言葉で伝えられないことも多いため、質問攻めによって、子ども独自の世界観を壊してしまうからです。また、「絵本が終わったら、質問攻めの時間があるから、いやだな…」と、絵本が嫌いになってしまう子も。

もし、絵本について対話がしたいときは、子どもが言ったことを、しっかりと肯定してあげてください。

「ママはこういう場面が好きだったんだけど、○○ちゃんはどの場面が好きだった?」

のように、具体的に質問することもポイントです。質問の押し付けにならないよう気をつけましょう。

Q2.もう3か月も同じ本を読んでほしいと言います…。ほかの本を読ませた方がいいの?

お子さんが満足するまで読んであげてください!
子どもにとっての「もう1回!」は、自分にとってとびきりの一冊であり、とても快い感情をたくさん味わっている証拠です。

大人も好きな音楽を何回も繰り返し聴きたくなりませんか? その曲を聴くと心地よい、癒される、過去の幸せだった場面とリンクするなど、感じたい感情を何度も味わえるからではないでしょうか。同じように、子どもにとって繰り返し絵本を読むことも、いい感情をたくさん膨らます時間になっています。

また、数ある絵本の中でお気に入りの絵本に出会えたということは、子どもの才能や個性を見極めるチャンスでもあります。

飛行機で旅をする絵本を3か月繰り返し読んだ男の子は、A4の紙を30枚くらい使って、自分で飛行機の設計図を描き始めたそうです。

思う存分絵本の世界を味わった結果、アウトプットができるようになり、こうして個性を爆発させるきっかけにもなりえます。お気に入りの本を十分に味わいつくしたら、自然と次の絵本を手に取るようになるので、安心して見守ってあげてくださいね。

Q3.図鑑でも読み聞かせをしていいの?

図鑑に興味をもったということは、お子さんが好奇心を伸ばしている証拠。物語ではないので、どんなふうに読んでいいのか悩む方が多いかと思いますが、できるだけ読み飛ばさずに、書いてあることを読んであげてください。

そして、図鑑で知ったことは体験につなげてあげると、子どもの能力がさらにアップします。

たとえば、鳥の図鑑を読んだあと、散歩で鳥を見かけたら「あれは図鑑にあった鳥かな?」と声をかけてみましょう。日常生活の中で実際に見つけたときの感動体験は子どもの脳によい刺激を与えてくれるでしょう。

仲宗根先生からのメッセージ

実は、親が思っている以上に、子どもは本当に親のことが大好き。とにかく大好きです。そして、子どもは自分に注いでくれる時間が何よりも幸せです。

仕事に家事に忙しくて、子どもとの時間をつくるのもたいへんな毎日ですが、でも、ほんの少しの時間でもいいから、子どもだけに集中できる時間をつくってほしいのです。そして、その時間に「読み聞かせ」をしてみるのは、とてもオススメです。

なぜなら、親に大切にされているという愛情を感じながらいっしょに物語を体験できる、かんたんな、とっておきの方法だからです。

すぐにテストで100点をとれるような、短期間で目に見える変化が現れるわけではないですが、読み聞かせの蓄積は、間違いなく将来のお子さんへのギフトになります。それは、お子さんが大きくなっていつか自分の力で歩んでいくときに、読み聞かせの中でいっしょに経験してきたことが、お子さんをきっと助けてくれます。

だからこそ、気負わずに毎日続けられることが大切。まずはママパパ自身が楽しんでください。ママパパが大好きな絵本から始めてもOKです。読み聞かせを通して、お子さんとのすてきな時間をつくっていただけたら、とてもうれしいです。

この記事の監修・執筆者

絵本未来創造機構 代表 仲宗根 敦子

フルタイム勤務のシングルマザーで、子どものために何ができるのか悩みながらも、絵本の読み聞かせを長年続ける。自宅には1500冊の絵本を所有。航空会社に22年勤めたあと、独立。子どもの変化と自分のためにいかに絵本がよいかを実感し、その内容を体系化。1人で講座をスタートさせ、2017年に「絵本未来創造機構」を設立。絵本講座以外に文章講座、夢を叶える講座などを主催。一般や小・中・高校・公立図書館・企業での講演を行っている。全国はもちろん、海外では台湾・シンガポール・イギリスでの講演実績20回以上。絵本未来創造機構設立からわずか3年半で認定講師550人以上を指導。著書に『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方選び方』がある。

絵本未来創造機構HP/https://eq-ehon.com/

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