子どもといっしょに考えたい! おうち性教育の大切な5つの視点

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「子どもが幼いうちから、性教育を」
そんなメッセージを耳にすることが増えています。ただ、性教育には「難しそう」「なんだか恥ずかしい」と、高いハードルを感じてしまいますよね。
そこで今回は、性教育YouTuberであり、助産師でもあるシオリーヌ先生に、子どもへの性教育をオープンな気持ちで行うための、大切なポイントをうかがいました。

監修/助産師・性教育YouTuber シオリーヌ(大貫詩織)
出典/『やらねばならぬと思いつつ〈超初級〉性教育サポートBOOK』(Hagazussa Books)

目次

子どもと性について考える5つの視点

いざ性教育を…と思っても、性的な話に抵抗があったり、「性教育をしなくては!」というプレッシャーを感じたりして、なかなか踏み出せないもの。

まずは堅苦しくとらえずに、性教育で気をつけたい「5つの視点」を意識することから始めてみましょう。

≪その1≫ うそをつかない

子どもに性に関する質問をされたとき、思わず「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるよ」などとウソをついたり、慌ててはぐらかしたりしても、あとで本当のことをどう伝えるべきか困ってしまいます。

ならば、最初からウソはつかないほうがスムーズです。

もし答えられないような質問だった場合には、
「今はじょうずにお返事できないから、調べてから教えるね」と保留にして、答え方をネットや本で探してみるのもよいでしょう。

≪その2≫ 子どもの気持ちをそのまま受けとる

子どもが性のことを尋ねるのは、いやらしい気持ちからではなく、「知らないから知りたい」欲求からという場合が多いです。

その「知りたい」という気持ちを、よい・悪いでジャッジせず、「そういうことが気になったんだね」としっかりと受けとめることが大切。

この「受けとめる」姿勢は、性に関することに限らず、子どもから投げかけられるすべての相談や質問に対しても同じように大切です。

≪その3≫ 大人が代わりに決めない

大人は子どもよりも人生経験が多いので、子どもの選択に「こっちのほうがいい」「こうしたほうが失敗しない」などと、決めつけてしまいがちに。

しかし、子どもの体や人生は“その子自身のもの”であり、体の使い方や生き方を決める権利は、その子にしかありません。

たとえ親であっても、代わりに決断することはできないのです。

それでも、子どもの選択を認めることができない場合は、なぜダメだと思うかをきちんと伝え、お互いが納得できるまで話し合うようにしてみましょう。

≪その4≫ 性別で判断しない

社会における性別による役割の違いを、「ジェンダー」といいます。

「男だったら泣くな」「女なら家事をしろ」といったジェンダーの押しつけは、その人らしさを奪うことにつながります。

たとえば「男の子なのに、人形遊びをするのってどうなの?」などと感じたときには、「男だから」「女だから」といった考えを意識的に外し、その子自身の個性としてとらえるようにしてみましょう。

≪その5≫ 親子は対等であることをわすれない

親と子の間には、「上下関係」が生まれやすいもの。

人生経験に差があるため、どうしても「親が子に教えてあげる」という関係になりがちなのかもしれません。

ですが、子どもも権利をもったひとりの人間です。「人と人は対等である」という人間関係の基本を忘れないようにしましょう。

また、大人といえども、完璧ではありません。
子どもが困難に直面したときには、すべてを解決しようとは思わず、子どもの考えを聞きながら「いっしょに考える」という姿勢でいることが大切です。

■これも知っておきたい! 多様な性があるということ

近年、LGBTQ+など、性の多様性にまつわる言葉を耳にするようになりました。

大人がこれらを理解することは、子どもに「自分は自分らしく生きていいんだ」という大きな安心感を与え、どんな人でも安心して暮らせる社会づくりにもつながります。

性のあり方は人それぞれで、そこに優劣はありません。

どんな性であっても、すべての人が大切にされる権利があることを覚えておきましょう。

教えてシオリーヌ先生! 答えに困ったせいにまつわるQ&A

子どもから性のことで質問されて、困ったことってありませんか?

そんなときは、ここで紹介する答えをそのまま使ってみてもよいですし、「自分だったらなんて答えるかな?」と考えてみるなどして、ご自身の性に対する考え方と向き合ってみましょう!

Q1.どうしてちんちんは大きくなるの?

こんなふうに答えてみては?

ちんちんに血が集まると、大きくなったり、硬くなったりすることがあるよ。

【ポイント!】勃起という現象は、性的な刺激だけでなく、おしっこをしたくなったときや物理的な刺激があったときにも起こりますので、「身体のしくみ」として説明するのがベストです。

Q2.おしり、触ってみたい!

こんなふうに答えてみては?

A.だれかのプライベートゾーンは、お世話が必要なときのような、特別な場面でしか触らないよ。

【ポイント!】その人の体はその人のものであり、とくにプライベートゾーンは個人的な場所です。
「たとえ家族や友だちでも、遊んだり、ふざけたりして触るところではない」という気持ちを伝えましょう。

Q3.弟がほしい! 赤ちゃん作って!

こんなふうに答えてみては?

A.赤ちゃんを持つかどうかは、お母さんとお父さんが話し合って決めるんだ。

【ポイント!】「あなたにそういう思いがあることは、よくわかった」と、子どもの思いを受けとめつつ、妊娠・出産をするかどうかは、それをする本人に決める権利があることを伝えれば、子ども自身も、自分の持つ権利について学ぶことができるはずです。

Q4.お父さんとお母さんもセックスしたの?どうやって?

こんなふうに答えてみては?

A.そうだよ。でも、プライベートなことは、大切なあなたにもないしょなんだ。

【ポイント!】性教育では、「知識としての性の話」と「プライベートな性の話」を分けて考えましょう。保護者といえども、プライベートな部分までオープンにする必要はなく、プライバシーは守るべきだと伝えることも大切です。

Q5.下ネタ満載の動画で子どもが爆笑しているとき、の対応は?

こんなふうに答えてみては?

A.こういう話を聞いて、どう思う? 私はあんまりおもしろいと思えないことがあるんだ。

【ポイント!】大人が不適切だと感じるコンテンツを楽しんでいる場合、まずは子どもに「その動画を見て、どう感じているか」を尋ねてみましょう。
そのうえで、保護者がどうして不適切と感じたかを伝えてみてもよいでしょう。

シオリーヌ先生から

メッセージ

子どもたちからの性の質問に、大人がはぐらかしたりウソをついたりせず、真摯に向き合うことが大切。 そうすれば、子どもたちは「性について考え、学ぶことはふつうのこと」として受け取ってくれるはずです。 そして、なにかあったときに、子どもたちが相談してもいいと思える関係を築けるよう、お子さんといっしょに性について考え、学んでいきましょう。

この記事の監修・執筆者

助産師、性教育Youtuber シオリーヌ(大貫 詩織)

助産師として総合病院産婦人科病棟での勤務ののち、精神科児童思春期病棟で若者の心理ケアを学ぶ。2017年より性教育に関する発信活動を始め、2019年2月よりYoutubeチャンネルで動画投稿を開始する。著書に『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『やらねばならぬと思いつつ〈超初級〉性教育サポートBOOK』(Hagazussa Books)などがある。

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