「セミの研究」は夏休み後半からでも始められるので、1日で終了できる自由研究のテーマにぴったりです。身近な昆虫だからこそ、自由研究としてしっかり観察することで、意外な発見があるかもしれません。
そこで本記事では、以前、子どもと「セミの研究」を行ったことがある筆者が、セミをテーマにした自由研究を3つご紹介します。
文/マムズラボ
【1日で終わるセミの研究 その1】セミの観察
セミは日本全国に生息しており、市街地や近所の公園など身近な場所ではミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、クマゼミなどがよく見られます(※1)。ポピュラーな生き物ですが研究対象としておもしろく、観察に向いています。
ここでは「セミの観察」について詳しくお伝えします。進め方は、下記のステップを参考にしてみてくださいね。
ステップ1<下準備>
あらかじめ、絵本や図鑑でセミの一生や生態について学び、気になることや調べたいことをメモしておきましょう。ステップ2<調査>の知識が身についたり、ステップ3<観察>で見るべきところが明確になります。
セミについての詳しい説明は、こちらを参考にしてくださいね。
「セミについて調べちゃおう」
子どもとセミ捕りをするときに必要な道具4つ
セミは素手でも捕まえられますが、高いところにいることも多いため、虫取り網を持っていきましょう。虫カゴなども、100円ショップで手に入れることができます。
虫取り網 | 子どもが使う虫取り網は、手で持ったときに軽く、長さを調整できるタイプがオススメです。ただし軽いものは大人の力には耐えられず、柄が曲がったり壊れたりすることもあるので、子ども専用の網として扱いましょう。 |
虫カゴ | カゴの中にセミを入れて観察する場合は、虫カゴを用意しましょう。カブトムシなどを飼育する飼育用の透明ケースではなく、網目状の通気性のよいカゴタイプがベストです。 |
虫除けグッズ、熱中症対策グッズ | 日中にセミを捕まえに行くときは、虫除けスプレーなどの虫よけグッズを用意しましょう。夢中になって動き回る子どももいるので、熱中症対策のため、帽子や飲み物を忘れないようにしてくださいね。 |
図鑑やスマートフォン | 持ち運べる図鑑や、昆虫の名前がわかるアプリを入れたり、セミの種類を調べられるサイトをお気に入り登録したスマートフォンを持参しましょう。セミの種類をその場で調べることができます。セミの写真を撮って帰宅してから調べてもよいでしょう。 |
ステップ2<調査>
道具をそろえたらセミを採りに行きましょう。セミは、朝の早い時間には木の根元のほうに降りてきているので、早起きしていくのがオススメです。
ステップ3<観察>
下記の「セミを見るときのポイント3つ」を参考に、捕まえたセミを観察しましょう。
ただしセミをカゴの中に長時間入れると、弱る可能性があります。できれば、虫取り網にいれたまま写真に撮ったり観察したりして、カゴに入れずに逃がしてあげましょう。カゴに入れた場合、観察が終わった後はなるべく早めに自然に返してあげるとよいですよ。
セミを見るときのポイント3つ
セミの観察で押さえておきたいポイントは下記の3つです。ステップ4<まとめる>のために、気づいた点をメモしておきましょう。
セミの鳴き声 | セミは鳴き声の特徴で種類を見分けられます。鳴き声を聞いて動画などで記録しておき、セミの種類を調べる足掛かりにしましょう。たとえば「ジリジリジリ」と鳴いていれば「アブラゼミ」、「ミーンミンミンミー」と鳴く場合は「ミンミンゼミ」、「カナカナカナ…」と鳴くのは「ヒグラシ」です。 |
セミの性別 | メスのセミは鳴かず、鳴くのはオスだけです。オスはメスを惹きつけるために鳴きます。またメスの場合、おなか付近に「産卵管」と呼ばれる卵を産む管がついています。このような性別の違いを観察すると、研究に深みが出ますね。 |
セミの姿や形 | セミは種類によって姿や形、色などが違います。目の数が2つ以上あるのも意外と知られていないポイントです。足の数、羽の枚数や胴体の構造など、種類ごとの見た目や特徴の違いを探すと、研究の内容が充実するはずです。 |
ステップ4<まとめる>
観察を経てわかったことを、模造紙やノートなどにまとめます。写真をプリントアウトして貼ったり、セミの絵をかいたりしてもよいでしょう。
【1日で終わるセミの研究 その2】セミの羽化の観察
暗くなるころに公園に出かけると、セミの幼虫を捕まえられることがあります。羽化前の幼虫は自宅で羽化させることができるので、「羽化の観察」をテーマに自由研究を行うことができます。
ステップ1<下準備>
セミの幼虫取りは、陽が落ちたあと19時くらいから行うのがオススメです。幼虫は、土の穴からはい出し適当な場所に体を固定しています(※2)。木の枝や葉っぱなどにくっついた状態でいることも多いので、見つけたら直接触らないようにし、虫カゴなどに入れて持ち帰りましょう。このとき、写真を撮っておくとステップ3<まとめる>で使用することができます。
念のため5匹くらい探して捕まえておくと、羽化を見られる確率を上げられます。
ステップ2<調査>
帰宅したらすぐに、羽化のための環境を整えます。
羽化のための環境を整える
木の枝や葉っぱなどにくっついた幼虫を、カーテンのいちばん下にそっと移します。カーテンに移したセミはカーテンの上に向かって上っていきます。セミが止まり、体を固定したら羽化準備は完了です。
このとき、部屋の照明をすべてて落として真っ暗にしましょう。明るい環境だと羽化が始まらない可能性があります(※3)。
羽化がはじまったら静かに観察
静かに観察していると、やがて羽化が始まります。羽化が始まった後は部屋を明るくしても羽化が進行しやすいので、観察を行いましょう。少しずつ羽化していく様子を絵にかいたり、気づいた点をメモしておきましょう。羽化中のセミの色は成虫とは異なるので、しっかり記録してみてくださいね。
22時ごろに、セミの羽化が完了
羽化したばかりのセミは羽を乾かす必要があるため、しばらくじっとしています。部屋の中をいきなり飛ぶことはないので、しばらく放っておいても問題ありません。セミの色が変わり、体が乾いたら成虫の姿になります。外の世界に返してあげましょう。
外に返すときは、セミにとって初めての飛行です。いきなり空中に放つより、木の幹などに止まらせて自分から飛び立つのを待ってあげるとよいと思います。
ステップ3<まとめる>
観察を経てわかったことを、かいた絵や観察メモを見ながら模造紙やノートなどにまとめてください。写真を撮っていたらプリントアウトし、貼りつけて使ってみてくださいね。
【1日で終わるセミの研究 その3】抜け殻の研究
生きているセミではなく、「セミの抜け殻」をテーマにした自由研究も1日で完了させることができます。
ステップ1<下準備>
セミの抜け殻集めを行います。抜け殻は葉っぱの裏や木の幹などにくっついていたり、落ちていたりすることもあります。抜け殻は壊れやすいので、やさしく扱ってくださいね。集めるときには、空き箱に入れると壊れにくいです。
もし木の根元の地面に穴が開いていたら、そこからセミの幼虫が出てきた可能性があります。写真に撮ったりメモを残しておくと、ステップ3<まとめる>で役立ちます。
できるだけいろいろな種類のセミの抜け殻を集めたい場合は、さまざまなエリアで探してみましょう。
ステップ2<調査>
集めた抜け殻の見た目ごとに、抜け殻をわけましょう。触角の違いや背中の盛り上がりの角度などが違いの目安です。
抜け殻を分類したら、図鑑や昆虫の名前がわかるアプリなどでセミの種類を調べましょう。調べながら、気になったことや気づいたことをメモします。
種類がわかったら、種類ごとに抜け殻の写真を撮りましょう。このとき、体長がわかるように抜け殻と定規などを並べて撮影すると、ステップ3<まとめる>のときに役立ちます。
ステップ3<まとめる>
調べたことや観察メモを見ながらまとめましょう。
余裕がある場合は、100円ショップなどで販売されているインテリアケースや、蓋部分に食品用ラップを貼った空き箱などに並べてピンを刺し、標本のようにしても見ごたえのある研究になります。なお抜け殻は壊れやすいため、模造紙などに直接貼りつけるのはオススメしません。
自由研究でセミを調べて、子どもと夏の思い出づくりをしよう
筆者自身、子どもと自由研究でセミ取りや羽化の観察を重ねるうちに学びや気づきを多く得ることができ、夏にセミと会えることが心から楽しみになっています。また、セミを介した子どもとのコミュニケーションも楽しく、子どもとのきずなの深まりも感じています。
みなさんもぜひ、セミをテーマにした自由研究に挑戦してみてくださいね。
【引用】
(※1)吉野勲 田園生物研究所「東京都心に生息するセミ類の生息環境の解明」
http://home.m07.itscom.net/sgmori/semi1.pdf
(※2)公益財団法人 日本科学技術振興財団・科学技術館「北の丸公園の自然 -第 41 号-」http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/041.html
(※3)静岡市立宮竹小学校6年 白鳥紗羅「セミの羽化3」
https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/sonota/ronnbunshu/h28/161010.pdf
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