【その声掛け、大丈夫⁉】“男らしい”“女らしい”って決めつけていませんか? 親が知っておくべき「ジェンダー」のこと[専門家監修]

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【その声掛け、大丈夫⁉】“男らしい”“女らしい”って決めつけていませんか? 親が知っておくべき「ジェンダー」のこと[専門家監修]

昨今、社会問題のひとつとして「ジェンダー」について理解を深めるべく、さまざまな情報が発信されていますが、保護者のみなさんの「ジェンダー」感覚はいかがでしょうか。「男の子だから」「女の子だから」という固定概念は、子育てにどう関わり、影響してくるでしょう。
ここでは「ジェンダー」問題に対し、子どもたちにもわかりやすくさまざまな情報を発信している、助産師で性教育YouTuberのシオリーヌ先生にお話を伺いました。

取材・文/こそだてまっぷ編集部

目次

「ジェンダー」って何?

そもそも「ジェンダー」とは、「社会や文化の中で形づくられた性差」のこと。身体的な性別(セックス)を「生物学的性別」とすると、例えば “男の人は仕事をして力強い”、“女の人は家事をして奥ゆかしい”、といったように、生まれたときに割り当てられた性別によって、社会的役割や生き方を分けるような文化や考え方のことを「ジェンダー」といいます。

保護者の方々が子どもの頃は、あたりまえのように例えば「ランドセルは男の子が黒で、女の子は赤」、「男の子だからズボン、女の子だからスカート」とされてきた感覚があるのではないでしょうか。

しかし、この「ジェンダー」感覚によって決めつけられると苦しいと感じる人が多くいることがようやく可視化されてきたことで、「ジェンダー」で決めつけない“その人らしさを大切にしよう”という思いが、社会、そして教育の現場でも広がってきています。

実際に小学校ではどんなことが昔と違うの?

では現在の小学校では、どのようなことが保護者世代の子どもの頃と違うのでしょうか?これは首都圏のある小学校の例ですが、多くの小学校でこのような対応が行われています。

【現在の例】
●クラス内の出席番号は男女分けず、五十音順
●整列時、男女分けはしない
●名前の呼び方が男女全員「○○○さん」
●お道具箱、絵の具・お習字セット、鍵盤ハーモニカ等の学用品の色や種類が自由選択制または男女関係なく統一
●体操服・上履きなど指定がある場合でも、男女で色やデザインを分けることはしない
●ランドセルの色は自由(ランドセルじゃなくてもOKの学校も増えている)

すでに保護者世代が育った環境や、当時ではあたりまえだった感覚が、今は「ジェンダー」を意識した観点から改善され、変わっている点が多くあるということを、頭に置いておくとよいでしょう。

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ありがちだけどNG!な、声掛けって?

大前提として、お子さんと保護者の方の性格や関係性によって、同じ言葉をかけても与える影響はさまざまです。それをふまえたうえで子どもの権利を尊重するという観点から、ひとつ気をつけたいことがあります。

子どものかわりに保護者が決めてしまうような言葉掛けはNG!

「男の子って・女の子って、こうだよね」という、保護者のもつジェンダー感覚は、子どもたちが自分自身で「自分らしさ」を見つける妨げになることがあります。
「男の子なんだから泣かない!」とか「女の子はロングヘアがかわいいよ」など、保護者の放つ些細な一言は、子どもの心に沁みつきます。そしてそれが子どもの感覚とマッチしないとき「自分は本当は○○なのに…」と、自分自身を否定してしまったり、その子“らしく”いられなくなったりしてしまう原因となることもあるでしょう。

些細なことですが、身の回りのことひとつひとつにいえます。着たい服、食べたいもの、したいこと、行きたい場所……、子ども自身も考える力がついてくるにつれ、その選択肢を、保護者が無意識に代弁してしまったり、かわりに決めたりしてしまうような発言は避けられるとよいと思います。

上下関係ではなく対等な関係で会話を積み重ねて

声掛けひとつとっても、子どもにとって保護者の一言は、大人が思う以上に大きな影響を及ぼします。“親子関係”は、どうしても上下関係になりやすいものですが、そこは保護者の方が “対等な関係”であることを意識してみてほしなと思います。

どんなに小さく幼い子でも、対等な人と人です。ひとりの人間として接して会話を重ね、コミュニケーションをとることで、子ども自身「自分の意見には価値がある」と、思えるようになるのではないでしょうか。保護者だからといって、自分の価値観を押し付けないことが大事です。

「ジェンダー」は無意識のうちに根深く染みついているものです。子どもが苦労やイヤな思いをしないようにと、良かれと思って言った一言が、子どもにとっては、保護者の感覚を押し付けられてイヤな思いをしているかもしれません。このことに、少しでも気づけたら、それだけでも大きな進歩です。コミュニケーションをとるうえで「自分にも無意識の偏見があるだろう」ということを自覚しておきましょう。

「ジェンダー」感覚は人それぞれ。子どもたちがその子らしく今の社会を生きられるように、お子さんとは、対等な関係でお互いを認め合えるような会話やコミュニケーションを今こそ心がけてみてください。

この記事の監修・執筆者

助産師、性教育Youtuber シオリーヌ(大貫 詩織)

助産師として総合病院産婦人科病棟での勤務ののち、精神科児童思春期病棟で若者の心理ケアを学ぶ。2017年より性教育に関する発信活動を始め、2019年2月よりYoutubeチャンネルで動画投稿を開始する。著書に『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『やらねばならぬと思いつつ〈超初級〉性教育サポートBOOK』(Hagazussa Books)などがある。

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