博物館は、特定のテーマについて研究し、資料や美術品、展示品を公開している施設です。自然、歴史、民俗、科学・技術、交通など博物館のテーマに応じた知識を学ぶことができ、記念館、資料館、文学館、歴史館、科学館などの施設も含まれます。
この記事では、博物館で得られることや、全国のオススメ博物館についてご紹介します。館内での鑑賞時における注意点や、施設で役立つアイテムなどもお伝えしますので、ぜひお出かけの参考にしてみてください。
文/マムズラボ
博物館での体験で得られる、子どもへのメリット3つ
博物館で得られる知識や体験は、子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか?
1.知的好奇心がはぐくまれる
好奇心は未知のものに興味関心を持つ心の状態を指し、そのなかでも調べたり考えたりする知的活動のベースとなり、特に学問系の分野において興味や関心がある対象をさらに深く知りたい感情を知的好奇心といいます。知的好奇心がそなわっていると、情報や知識を集めて理解を深め、得られた知識を活かしたり、問題解決のための工夫を行うことなどにつながります。
あらかじめ子どもが興味を持っている分野の博物館で、多種多様な情報や知識に触れさせることで、子どもの知的好奇心がはぐくまれる可能性があります。
まだ興味の対象が見つからない場合でも、さまざまな博物館を通して情報や知識に触れることで、子ども自身が関心を持つ対象を見つけることもあります。
知的好奇心をはぐくむには、幼児期がオススメ
知的好奇心は「拡散的好奇心」「特殊的好奇心」の2タイプに分けられ、どちらも学ぶ意欲のもとになるといわれています。「拡散的好奇心」は新しい情報を幅広く探し求める動機となり、「特殊的好奇心」は知っていることをもっと知るために情報を探し求めることに分けられます(※1)。どちらの好奇心の成長も、幼児期に高まる傾向があるそうです(※2)。
未就学児時代にさまざまな博物館を通じ体験を得ることで、子どもの知的好奇心を伸ばすサポートができるといえますね。
2. 学力向上の可能性がある
美術館、劇場、博物館、科学館、図書館などの文化施設に子どもといっしょに出かける頻度が高い家庭ほど、子どもの学力が高まる傾向があるそうです(※3)。文化に親しむ環境が充実しているほど、子どもの知的好奇心と学ぶ意欲が高まり、学力向上につながるのかもしれません。
3.教養が身に付く助けになる
知識を求めて学ぶことで、品位と人格を高めようとする心のあり方や、知識に基づいたふるまい方などが身に付き、教養につながると考えられます。博物館を通じた体験や学習を積み重ねることで、心の豊かさが育ったり、ものごとに対する深い理解力を身に付けられるはずです。
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博物館に行くときの注意点やお出かけグッズ
博物館は公共の施設なので、鑑賞時にはマナーを守ることが大切です。館内での注意点や、あると便利なアイテムもあわせて、事前に確認してくださいね。
鑑賞時の注意点
展示物には、触ってもよいものと、触ってはいけないものがあります。展示物ごとに定められている表示に気を付けて鑑賞してくださいね。
展示物保護の観点から、写真撮影時にはフラッシュの使用を禁止している展示物もあります。三脚や自撮り棒(セルカ棒)などの撮影補助具の使用を禁じている施設もあるので、前もって確認しておきましょう。
あると便利なアイテム
子どもといっしょのときは、荷物が少ない状態で鑑賞したいものですよね。施設にロッカーがある場合は荷物を預け、身軽に動けるようにしておきましょう。その場合、貴重品を入れるサブバッグと、ロッカーに使用する100円玉の用意をお忘れなく。
入館チケットや施設マップなどをまとめるA4サイズのファイルもあると便利です。
【全国】学びがいっぱい! オススメ博物館6選
全国には親子で楽しめる博物館がたくさんあります。今回は、その中からオススメの施設を6つご紹介します。
施設によっては、新型コロナウイルス感染拡大などの状況により休館していたり、完全事前予約制になっていたりするところもありますので、前もって確認してくださいね。
【茨城県坂東市】ミュージアムパーク茨城県自然博物館
茨城県最大の自然環境保全地域「菅生沼」に隣接した里山環境を併せ持ち、自然に親しむ体験提供をコンセプトにしている自然史系博物館です。
常設展示では、宇宙・地球・自然・生命・環境のテーマに沿い、さまざまな展示品を見ることができます。「松花江マンモス」の全身骨格化石のレプリカや、隕石や鉱物の展示のほか、いきものの生態系を学べるジオラマや動植物の標本・骨格標本などを見ることができます。昆虫や化石、特定のいきものなどをテーマにした期間限定の企画展も実施されていて、いつ訪れても見どころにあふれている施設です。
恐竜にまつわる常設展示も充実しており、動く「ティラノサウルスの親子」と「トリケラトプス」のロボットによる生活ジオラマなども公開しています。
入場料 | 本館・野外施設に入場する場合 ※通常期(企画展が開催されていないとき) 一般:540円 満70歳以上:270円 高校・大学生:340円 小・中学生:100円 野外施設のみに入場する場合 一般:210円 満70歳以上:100円 高校・大学生:100円 小・中学生:50円 |
営業時間 | 9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌日) 館内整理日 年末年始 |
住所 | 茨城県坂東市大崎700 |
公式サイト | https://www.nat.museum.ibk.ed.jp |
【東京都台東区】国立科学博物館
国立で唯一の、総合国立博物館です。自然史と科学技術史にまつわる保管資料の多さは日本最大級といわれており、圧倒的な収蔵数を誇ります。日本列島の地質や生い立ち、いきものの多様性や日本人の形成過程を学べる「日本館」、地球環境の変動や生物の進化のほか、人類の科学技術の歩み等を紹介した「地球館」で構成されています。
時期によって企画展や特別展も開催されています。港区白金台の自然教育園では、時期によって、親子で参加できるフィールドツアーなども実施しています。
「ステゴサウルス」「アパトサウルス」などの実物化石を含む骨格標本や、「ティラノサウルス」「トリケラトプス」などのレプリカの骨格標本なども展示しており、恐竜に関する展示も楽しめます。
入場料 | 一般・大学生:630円 高校生(高等専門学校生含む)以下:無料 65歳以上:無料 ※事前予約制 |
営業時間 | 通常:9:00~17:00(入館は16:30 まで) ※夏季およびゴールデンウィーク期間中は延長する場合あり |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌日) 12/28〜1/1 |
住所 | 東京都台東区上野公園 7-20 |
公式サイト | https://www.kahaku.go.jp |
【東京都江東区】日本科学未来館 (Miraikan)
科学技術への理解を深める場として開館した国立の科学館です。常設展では、宇宙、地球環境、生命など世界の仕組みをひもとく「世界をさぐる」、未来社会や暮らしのかたちを考える「未来をつくる」、生命と環境と自分のつながりを学ぶ「地球とつながる」の3つのゾーンで構成されています。
「世界をさぐる」では国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙居住棟の展示や、人間の脳のしくみや社会との関わりを学ぶ巨大絵本のしかけ展示を見ることができます。「未来をつくる」ではアンドロイドやロボットの展示のほか、空間情報科学を体感できるインタラクティブ展示など、体験を通じて学びを得ることができます。
ワークショップやトークセッションなど参加型の企画も多く、楽しみながら科学への理解を深められる施設です。プラネタリウム作品の上映を行うドームシアターもあります。
入場料 | 大人:630円 18歳以下:210円 6歳以下の未就学児:無料 ※特別展やドームシアターは別途料金がかかります |
営業時間 | 通常:10:00~17:00(入館は16:30 まで) |
休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日) 12/28~1/1 |
住所 | 東京都江東区青海2丁目3番6号 |
公式サイト | https://www.miraikan.jst.go.jp |
【滋賀県草津市】滋賀県立琵琶湖博物館
約400万年の歴史を持つ世界有数の古代湖「琵琶湖」とその周辺の自然や生き物、歴史を学べる博物館です。約180万年前の琵琶湖を再現したジオラマの中を歩けるコーナーや、古代に琵琶湖の周りで生きていたゾウの化石コレクション、琵琶湖固有種の魚や貝の化石の展示などで、琵琶湖の歩みを学ぶことができます。
縄文時代の森を再現した実物大ジオラマや、近代日本の文化や歴史を知ることができる展示なども豊富です。
琵琶湖の沖合を再現したというトンネル型の水槽や、琵琶湖固有種「ビワコオオナマズ」をはじめとする水生生物を見ることもできます。本物の化石に触ったり、身近ないきものを観察できたりする子ども向けの体験型ルームもあり、小さな子どもでも楽しく知識を深めることができます。
入場料 | 常設展に入場する場合 一般:800円 高校・大学生:450円 小・中学生無料 ※事前予約制 |
営業時間 | 9:30〜17:00(入館は16:00まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合は開館) 臨時休館あり |
住所 | 滋賀県草津市下物町1091 |
公式サイト | https://www.biwahaku.jp |
【兵庫県神戸市】バンドー神戸青少年科学館
6つの展示室とプラネタリウムがあり、宇宙や科学技術への知識を深められる科学館です。力学やエネルギー科学、情報科学、宇宙と宇宙技術、生命科学などのテーマに基づいた常設展示を通じ、知識を深めることができます。
太陽の黒点やプロミネンスの観察ができる屈折望遠鏡「たいよう」を使った天体観測体験や、貴重な科学の蔵書約2万冊をそなえた科学情報室などもあり、いろいろな角度で科学を楽しめるところもポイントです。
ドームシアターではプラネタリウム作品の上映も行っています。実験やロボット操作体験などができるイベントの開催も豊富です。
入場料 | 展示室 大人:600円 小・中・高校生:300円 プラネタリウム 大人:400円 小・中・高校生:200円 ※幼児以下無料 |
営業時間 | 月〜木:9:30~16:30 金・土・日祝:9:30~19:00 春・夏休み:9:30~19:00 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 毎週水曜日(祝日の場合は翌日) 館内整理日 12/28~1/4 ※春・夏休みは無休 |
住所 | 兵庫県神戸市中央区港島中町7丁目7-6 |
公式サイト | https://www.kobe-kagakukan.jp |
【大阪府大阪市】キッズプラザ大阪
家族で楽しく遊んだり、学んだりすることができる”体験型”をコンセプトに掲げた、日本初の本格的な子ども向け博物館です。
「つくろう階」ではデジタル体験ができるほか、物をつくる喜びを知るための各種プログラムをそなえています。「あそぼう階」では曲線でつくられた遊び展示「こどもの街」や職業体験ができる「キッズストリート」、工作や実験体験ができる「キッズラボ」などがあります。「やってみる階」ではニュース番組の制作体験ができる「わいわいスタジオ」、人が入れるしゃぼん玉やじゃぶじゃぶポンプなどの展示を通し科学や文化を学ぶことができます。
各フロアやコーナーごとに、演劇や創作、ものづくりなどのワークショップなども多数開催されており、企画の内容も充実しています。
入場料 | 高校生以上:1,400円 小中学生:800円 3歳以上:300円 65歳以上:700円(要証明) |
営業時間 | 9:30~17:00 ※入館は閉館の45分前まで |
休館日 | 第2・第3月曜日(祝日の場合は翌日) 8月は第4月曜日 年末年始(12/28~1/2) |
住所 | 大阪府大阪市北区扇町2-1-7 |
公式サイト | https://www.kidsplaza.or.jp |
博物館は知識の宝庫! 子どもの好奇心や学びの意欲を伸ばそう
博物館は、子どもの「知りたい!」「やってみたい!」を伸ばすためにぴったりの施設です。ママパパも、子どもが興味を持っているものや、関心がありそうなものをいっしょに楽しんでみましょう。
親子で共通の知識を得ることで、子どもの知的好奇心や学びの意欲がもっとはぐくまれるはずです。ぜひ、お出かけしてみてくださいね。
【引用】
(※1)関西大学大学院心理学研究科 西川一二、関西大学社会学部 雨宮俊彦「知的好奇心尺度の作成―拡散的好奇心と特殊的好奇心」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/63/4/63_412/_pdf/-char/ja
(※2)公益財団法人 日本教材文化研究財団「学ぶ意欲に及ぼす子育て関連要因の影響に関する研究 調査研究シリーズNo.69」
http://www.jfecr.or.jp/cms/zaidan/publication/pub-data/chosa/chosa69.pdf
(※3)国立大学法人お茶の水女子大学「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/10/1406896_1.pdf
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