「この先、我が子はお金の心配をせずに生きていけるのだろうか」
「将来、子どもが生活に困ったらどうしよう」
世界で不安定な状況が続いていることもあり、子どものお金に関する不安は尽きないものです。また、将来のために、子どもにお金の話をしたいと思っても、どう話していいかわからない…と悩んでいるかたも多いのでは?
そこで今回は、2人のお子さんに「お金の教育」を実践された、ファイナンシャル・プランナーのたけやきみこさんに、「子どもが一生お金に困らないために、親としてできることは何か?」についてうかがいました。
文/こそだてまっぷ編集部
子どもが一生お金に困らないための「お金の教育」とは?
将来、子どもがお金に困らないようにするには、「お金の教育」が必要です。教育といっても、堅苦しく考える必要はありません。「お金とはどのようなものか」「お金はどう使うべきか」ということを、次の3つのポイントに絞って、お子さんと話してみましょう。
①「お金教育=自立して生きる力」
「お金の教育」とは、お金のやりくりやおこづかい帳のつけ方を学ぶだけのものではありません。真の目的は、子どもが「お金を自分で得る力・管理する力をつけ、精神的・経済的に自立すること」にあります。
子どもはやがて独り立ちし、自分でお金を得て、生活していかなくてはなりません。そのときに、「どのような方法でお金を稼ぐか」「お金を使ってどのように生きていくのか」を自分で考え、決定できる力を養うのが、お金の教育なのです。
②お金の教育についての「親の哲学」を伝えよう
お金に対する考え方は、人それぞれです。たとえ金銭感覚の異なる人たちと付き合ったとしても、まわりに流されることなく、「私は私なりのお金の使い方をしよう」と思えるようにしてあげましょう。
そのためにはまず、「我が家のお金の使い方」について、子どもに話してみてください。現在の家庭の経済事情がどのようなもので、どんな工夫をして暮らしているのかを、親が誇りをもって伝えれば、子どもは自分の金銭感覚に自信をもてるようになります。
③お金について気軽に話そう
お金の話というと「きたない」や「いやしい」といったマイナスのイメージをもちがちです、時代はそうではありません。
子どもがまだお金に興味がなさそうな場合には、「お金のことどう思う?」と問いかけてみて、お金について話すきっかけにしてみてください。また、すでにお金に興味をもちつつある場合には、まわりくどい言い方はせず、「お金のことを学んでみよう!」と誘ってみましょう。
子どもが一生お金に困らないために! 必要なルール5か条
子どもがお金に困らない人生を歩むには、「これが私のお金の使い方だ」という信念を身につけさせることが大切です。そこで、お金を使ううえでのルールを決めて、親子で実践してみましょう。
わが家の場合、次のような5つのルールをつくりました。みなさんのルールづくりの参考にしてみてください。
【ルール5か条】
①お金の貸し借りはしない
②お金は鍵がかかる場所に保管
③本当に欲しい(必要)かどうか、3日間考える
④なくし物はさがす
⑤困ったときこそ親に相談する
①お金の貸し借りはしない
これは借りグセをつけず、がまんすることを経験させるためのルールです。安易にだれかに頼ろうとせず、手持ちのお金でやりくりした経験をすれば、「お金が足りなくても、倹約して乗りきれるはずだ」という自信をつけることができます。
また、お金を貸すことは、とくに子どもどうしの間ではトラブルの原因にもなるため、禁止しています。
②お金は鍵がかかる場所に保管
大切なお金は、かんたんに触ったり取り出したりできない場所にしまいましょう。友だちが遊びにきたときに、お金がなくなったりしないよう、目につかない場所に保管をする習慣をつけます。
③本当に欲しい(必要)かどうか、3日間考える
後悔しないお金の使い方ができるように、時間を置き、冷静になれる時間をつくりましょう。考える日数は、ご家庭で決めていただいてかまいません。
④なくし物はさがす
なくし物をしたら、必ずさがします。そして、なくした原因を考えさせます。どんな物も、お金で購入したものですので、物を大切にすることは、お金を大切にすることと同じです。物もお金も大切にできるような習慣を、身につけるようにしましょう。
⑤困ったときこそ親に相談する
これは5つのルールのなかでも、もっとも大切なものです。アクシデントやトラブルが起こったときにこそ親に相談するように、子どもに伝えましょう。そのためには、「どんな状況でも、あなたの味方だよ」と日ごろから伝え、子どもが相談しやすい親子関係を築くことが大切です。
子どもが一生お金に困らないために! 親子のルールづくり&実行のポイント
お金の使い方のルールは、それぞれのご家庭に合った内容でつくってみてください。ただし、ルールはわかりやすく、守りやすい内容・数にして、いつでも見返せるように紙に書いてはっておきましょう。 また、ルールをつくるときや実行する際には、次のポイントに気をつけてみましょう。
ルールづくりでのポイント
①「困ったときこそ親に相談する」を必ず入れる
私の【ルール5か条】にある「困ったときこそ親に相談する」は、必ずルールに入れてください。これはお金の教育だけでなく、親子関係そのものにおいて、もっとも基本となる大切なルールです。
②ルールは親が管理する
ルールの決定や、守れているかどうかのチェックは、親が率先して行いましょう。ただし、ルールを守りにくいと感じたり、子どもから意見があったりした場合には、話し合ったうえで、ルールを変更してもかまいません。
また、ルールを決めたからには、「今日は守らなくてもいいよ」「今回は特別に見逃してあげる」といった、例外をつくらないことも大切です。親は気持ちをブレさせず、決めたルールを子どもがしっかり守れるようにしましょう。
ルールを実行するときのポイント
①親もいっしょにルールを守る
どんなに子どもにお金の教育をしていても、親がお金にルーズだと、説得力がありませんよね。まずは親がルールを守り、消費スタイルを変えてみましょう。
②何かしたら、怒らずに理由を聞く
子どもがこっそりお金を使っていたり、お金を使ったことを黙っていたりすることがあるかもしれません。子どもの行動には、必ず理由があります。何かが起こったときには、決して怒らず、「なぜそうしたのか」を聞いてみましょう。
「生きる力」を身につけてお金に困らない人生を!
子どもが一生お金に困らないようにするには、「生きる力」が必要です。限られた収入のなかでやりくりしたり、ピンチのときには、「どうやってお金を稼ぐか」を自分で考えて乗り越えたり……。そんな「生きる力」は、ご家庭で決めたお金の使い方のルールによって育むことができます。
どんな時代になっても、お子さんが自分なりの人生を歩めるよう、お子さんといっしょにルールを決めて、よりよいお金の使い方を親子でいっしょに身につけていきましょう。
この記事の監修・執筆者
ファイナンシャル・プランナーCFP®。お金に関する専門の編集制作プロダクション業とパーソナル・ファイナンス教育の必要性を発信するなどの講師業を行う。これまでにNHK情報番組あさイチ「子どものお金教育」、日本テレビnews every、静岡放送SBSラジオに専門家として出演。おもな著書『子どもの一生を決める おうちお金教育』(KADOKAWA)、『マンガでわかる!子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」』(近代セールス社)、『一生お金に困らない子どもの育て方』(幻冬舎)など。
「子どもになにがあっても立ち直ることができる『生きる力』を身につけさせるには、お金の教育が必要不可欠である」が持論。
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