【子どもの睡眠時間、足りていますか?】就学前に整えたい、子どもの睡眠習慣

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【子どもの睡眠時間、足りていますか?】就学前に整えたい、子どもの睡眠習慣

子どもが、夜なかなか寝ない、朝起きられない…。そのせいで、睡眠時間が足りていないのか、いつも眠そうなどと、子どもの「睡眠」について悩んでいる保護者も、多いと思います。
そこで、子どもにとって適正な睡眠時間はどれくらいなのか、また、その時間を確保するためにはどうすればよいのか、などについて、子育て家庭の睡眠サポートに取り組む「NPO法人赤ちゃんの眠り研究所」代表理事の清水悦子さんにお話をうかがいました。

目次

6歳未満の夜の睡眠時間は「9~11時間」が目安

子どもにとって適切な睡眠時間はどれくらいでしょうか?
米国国立睡眠財団が推奨している、年齢ごとに必要な睡眠時間は、以下のとおりです。

●1~2歳児・・・11~14時間
●3~5歳児・・・10~13時間
●6~13歳児・・・9~11時間
 ※5歳児まではお昼寝も含んだ総睡眠時間です。

年齢が上がるにつれて睡眠時間が短くなっているのは、お昼寝の時間が少なくなっていくためで、それを加味すると、6歳未満の子どもの夜の睡眠時間は、6~13歳児と同程度の「9~11時間」は確保したいところですね。

睡眠時間が足りないと、どんな弊害が?

大人でも睡眠不足だと、イライラしてしまったり、集中力が続かなかったり、やる気が出なかったりと、仕事がはかどらないことも多いと思います。それは子どもも同じです。
子どもの睡眠時間が足りていない場合、どんな弊害があるのでしょうか?

●午前中の活動に参加できないことも

寝不足でボーっとしている子ども。

保育園や幼稚園の保育士さんと話をすると、起きるのが遅いせいで朝ごはんを食べられないまま登園してくる子や、スッキリ起きられずに半分眠った状態で抱きかかえられて登園してくる子も見られるそうです。
そうすると、しばらくボーっと床に寝転んでいて、午前中の活動に参加できなかったり、睡眠不足でイライラして、些細なことで友だちとケンカになってしまったりするケースもふえているそうです。

●記憶を定着させる「レム睡眠」が十分ではないかも
脳は「レム睡眠」のときに記憶の整理や定着を行うといわれています。子どもは幼いほど、全睡眠時間中の「レム睡眠」の割合が多く、この時間に日中経験したことや学習した記憶を整理し、定着させていきます。「レム睡眠」は朝方に多く出現するのですが、睡眠不足だとこの大事なレム睡眠が十分に取れていないことが心配されます。

 

また、保育園などの場合、登園時間は7時~9時くらいと幅があり、多少遅れても問題ありませんが、小学校入学後はそうはいきません。
小学校は、8時ごろには登校すると考えると、家から小学校までの距離にもよりますが、遅くとも7時には起きないと、朝ごはんを食べたり準備をしたりする時間がとれません。
とは言っても、急に「明日から7時に起きよう!」と言ってもすぐに生活リズムを変えることは難しいです。
小学校入学までに、十分な睡眠時間がとれて、朝もスッキリ起きられるように、子どもの睡眠習慣を見直していきましょう。

睡眠時間を確保するための方法① 子どもの適正な睡眠時間を知る

ぐっすり眠っている子ども。

必要な睡眠時間を確保するためには、まず子どもの適正な夜の睡眠時間を知ることから始めましょう
21時に寝て7時に起きる、20時に寝て6時に起きるなど、10時間くらい布団に入っていられる生活リズムで、1週間くらい生活してみましょう。寝る時間と起きる時間を、ある程度決めて行うことが大事です。
その間、子どもの様子についても確認しましょう。

●朝、自分で起きられる? あるいは、スッキリと起きられる?
●お昼寝と夜の睡眠を合わせた総睡眠時間が、ある程度一定になっている?
●午前中、眠そうな様子が見られず、しっかり起きていられる?
●朝、起きる時間の誤差が1時間程度?
●夜、寝る時間の誤差が1時間程度?

10時間お布団に入っていられる生活リズムを継続してみると、夜の睡眠時間が10時間では足りない子は、朝起きられなかったり、午前中ボーっとしたりしてきます
夜の睡眠が10時間だと長すぎる子は、朝起きる時間が早くなったり、夜寝つきが悪くなったりします
お休みの日に起こさないと、お昼くらいまで寝てしまう子は、平日に足りていない睡眠を補おうとしていると思われ、逆に休日なのに早起きで、親を起こそうとする子は、睡眠時間が十分に足りているととらえてよいでしょう。

睡眠時間を確保する方法② 家族みんなで睡眠習慣を見直す

子どもの適正な睡眠時間がわかったら、その時間を確保したうえで毎日のスケジュールを考えていきます。
とはいっても、現実的に難しいと思われる方もいらっしゃると思います。
日本は、子ども以上に大人の睡眠時間が少なく、先進国のなかでは断トツの短さです。育児や仕事で忙しく、しっかり睡眠時間が取れていない保護者も多いと思います。
保護者の生活が夜型になることで、子どもの睡眠習慣にも影響が出てくるともいえます。
子どもの睡眠も大事ですが、ゆったり落ち着いて育児や仕事をしていくためにも、保護者もしっかりと睡眠をとることを目指して、家事や育児の時間配分などを工夫していきましょう。

●寝室におもちゃを置かない
寝室は眠るだけの場所としてとらえて、子どものおもちゃは置かないようにします。おもちゃが目に入ると、遊びたくなって寝つけなかったり、夜中に目が覚めたときに、おもちゃで遊び出してしまい、再び眠りに入れなかったりすることもあります。

●入眠儀式で、寝かしつけ時間を短縮
子どもは、遊びなどの時間から、休息をとるための睡眠の時間への切り替えがうまくできず、時間がかかってしまうことがあります。
そこで、夜寝る前のルーティン(「入眠儀式」)を決めて、寝室に入ったら眠る、ということを子ども自身に認識してもらいましょう。

オススメなのは、寝室に移動する前の「おやすみツアー」をすること。一日楽しく遊んだおもちゃや家電(テレビなど)に、「おやすみなさい」と挨拶をして回っていくもので、一通り進んでいくと、「これで眠るんだ」という気持ちになり、睡眠へと切り替えができるようになっていきます。
寝室に移動してから、絵本を1~2冊読み聞かせをする、というのも入眠儀式としてぴったりです。

寝る前の絵本の読み聞かせ。

●寝室の環境(温度・湿度、照明など)
寝室の温度や湿度、照明の光を快適に眠れる設定にしましょう。

夏の室温は26度くらいが目安。特に夏は湿気が高いので、就寝前にエアコンを除湿モードにするなどして、部屋の熱を冷ましておくとよいでしょう。冬は、室温が10度以下にならないように設定し、加湿に気をつけましょう。

スマホやパソコンなどのブルーライトや、白っぽい色の照明は、睡眠を促す「メラトニン」の分泌を抑制するため、眠る前には避けたいです。夜寝る前には、光量を抑えた暖色系の照明などにして、メラトニンの分泌を促しましょう

寝室の照明も、寝るときにはできるだけ消すようにしましょう。どうしても真っ暗だと怖いという場合は、足元の常夜灯だけにするなど、直接視界に光が入らないよう調整しましょう。

●夜寝るのが遅かったから、朝寝かしておこうはNG

朝、寝ている子どもを起こす。

レジャーや帰省などで、生活リズムが乱れてしまったとき、「夜寝るのが遅かったから、朝はゆっくり寝かせておこう」と思ってしまうかもしれませんが、これはNG。そのまま生活リズムがずるずると乱れてしまうこともあります。

こういうときも、なるべく朝いつも通りの時間に起こすことが大事です。
朝起きて太陽の光を浴びることで、夜寝る時間になると、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が始まり、スムーズに入眠できます。
夜更かしが続いたときこそ、朝起こすことが生活リズムの改善につながります。

●食事時間を短縮!
時間のないときに限って、食事に集中してくれない、だらだらと時間がかかってしまう、ということもありますね。食事時間が長い場合、時間を区切って決まった時間に食べきることに挑戦してみましょう。

子どもが食事に集中できるのは、15分程度といわれています。
1時間かかってしまっている場合は、まずは30分くらいから始めてみてください。
時計の針を示しながら、「ここまで来たら、ごちそうさましようね」と約束してから食べ始め、時間になったら、食べ終わっていなくても終了します。最初は「もっと食べたい」と言ってぐずることもあるかもしれませんが、慣れてくると、時間内に食べきれるようになります。

また、食べきれる量から始めて「食べられた!」と達成感を味わえるようにすることも大事。必ず食べきれると確信がもてる量から取り組み、食べきれたら「食べられたね」と保護者もいっしょに喜ぶようにするとよいでしょう。食べきれなかった経験を重ねてしまうと、食事が苦痛な時間になってしまいます。

こんなときはどうする? 子どもの睡眠で困ること

Q.休日、お昼寝をしてほしいけれど、なかなか寝ないときは?

A.
育園などではお昼寝できるけれど、家だとできないということもよく聞きます。園では、友だちもみんなお昼寝をするので、習慣になっているのかもしれませんが、家だと体力が余っていたり、楽しめることがたくさんあたりして難しいのかも…。でも、睡眠時間を確保するためには、休日にもしっかりとお昼寝をしてほしいですね。

そのためには、お昼寝環境を整えましょう
部屋の明るさは木漏れ日くらいにし、テレビやスマホはNG。お昼寝用の布団を敷いて、家族もみんな静かにリラックスして過ごします
それでも眠れなかった場合は、横になってゴロゴロするだけでも休息になります。
お昼寝できなかった日は、夜少し早めに眠れるようにしてあげてください。

Q.帰って来てから、夕食前に夕寝をして、夜寝れないときは?

A.
保育園から帰ってきて、保護者が急いで夕食の準備をしている最中に、子どもが寝てしまうこと、ありますね。
目が覚めてから夕食を食べると、疲れも吹っ飛んでものすごく元気! そのせいで、夜はなかなか眠くならない、といったパターンが続いているご家庭もあるのではないでしょうか。
子どもも疲れているだろうし、食事の準備で忙しいので、ついそのまま寝かせてしまうこともあると思いますが、夜の寝つきが悪くなるようであれば、夕寝はできるだけ避けたほうがいいでしょう。

子どもが疲れて眠ってしまいそうな日は、早めに夕食が食べられるように時短料理や作り置きの活用をしたり見る時間を約束して好きなテレビや動画を見せるようにしたりして、夕寝をしないような工夫をしたいですね。

最後に、いろいろな方法を試してみたけれど、なかなかうまくいかない、睡眠習慣が整わない…と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、以下の3点に絞って、もう一度試してみてください。

●朝は、同じくらいの時間に起こす
●夜の光は避ける
●気長に続ける

がんばってみても、すぐには効果が出ないかもしれませんし、いろいろやらなきゃと思うと、できないことの方が気になって落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
あまり気負い過ぎずに、小学校入学までに「早寝・早起き」の習慣ができればいいなくらいの気持ちで、気長に続けてみてくださいね。

この記事の監修・執筆者

NPO法人赤ちゃんの眠り研究所 代表理事 清水 悦子

大阪府出身。茨城キリスト教大学文学部児童教育学科准教授。NPO法人赤ちゃんの眠り研究所代表理事。夜泣き専門保育士。大学卒業後、理学療法士として都内の病院などに勤務。出産を機に退職。子どもの壮絶な夜泣きをきっかけに保育士資格取得。子育て家庭の睡眠サポートに取り組む任意団体「赤ちゃんの眠り研究所」を設立。著者『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)はシリーズ28万部を超えるロングセラー。『ワーママの毎日がラクになる! 子どもの「眠る力」の育て方』(日本能率協会マネジメントセンター)など、著書・共著多数。

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