【医師監修】「寒暖差アレルギー」って知ってる?~室内外の寒暖差や季節の変わり目に注意~

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【医師監修】「寒暖差アレルギー」って知ってる?~室内外の寒暖差や季節の変わり目に注意~

暑い外から冷房が効いた部屋に移動するときや、季節の変わり目など、極端な温度差を感じる際に不調を感じることはありませんか?
もしかしたら、風邪かな?と思っていた症状は、「寒暖差」によるものかもしれません。
今回は、「寒暖差アレルギー」が引き起こるメカニズムや詳しい症状などを紹介します。
「寒暖差疲労」の外来も行っている久手堅司先生に詳しくお話をうかがいました。

監修/久手堅 司(せたがや内科・神経内科クリニック 院長)

目次

「寒暖差アレルギー」はこうして起こる!

“体温調節のための血管の動き”によって引き起こされる

「寒暖差アレルギー」の正式な名称を「血管運動性鼻炎」といい、その名前のとおり、急激な寒暖差を受けて体内の血管が運動することによって自律神経が乱れ引き起こされるものといわれています。

人間は、暑いところにいれば、汗をかいたり、血管を拡張させたりして、体内の熱を放出しようとします。その反面、寒いところにいれば、血管を収縮させて、熱を逃がさないよう働きかけます。こうした血管の働きは「自律神経」というものによってコントロールされ、人間の体温を調節しているのです。

ところが、「暑い野外から冷えた室内に移動する」「暖かい部屋から寒い外に出る」など、極端な温度変化を受けた体は、急激に血管を運動させます。

特に「鼻」の周りは、鼻血を出す人が多いように、多くの血管が集まる場所。血管の動きの影響を受けやすい部位でもあるため、過剰に反応してしまうことによって、主にくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻炎の症状が多く発症してしまうというメカニズムなのです。

では、「寒暖差アレルギー」の症状には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

寒暖差アレルギーはこんな症状

主に“鼻炎”の症状が見られるが、そのほかの症状が出る人も

主に見られる症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといわれています。
そのほかにも、

・目がかゆくなる
・咳が出る
・皮膚がかゆくなる

などの症状が見られる人もいて、個人によって症状に差があります。

「室内外の寒暖差」だけでなく「季節の変わり目」にも

これらの症状は、暑い外から冷房が効いた寒い部屋に入るときや、暖房が効いた暖かな部屋から寒い外に出るときなどの「室内外の寒暖差」だけでなく、「季節の変わり目による寒暖差」でも引き起こされます。

特に、「冬⇒春」「夏⇒秋」といった、気温差が顕著に出る季節の変わり目で症状が発症するかたも多く見られているので、注意が必要です。

風邪やアレルギー性鼻炎との主な違い

症状が風邪やアレルギー性鼻炎と似ているため、「寒暖差アレルギー」であることに気づけなかったり、鑑別が難しかったりする場合が多くあります。

そこで、「鼻水」「目のかゆみ」「熱」「咳」といった観点から見ると微妙な違いが見えてきます。以下の表でチェックしてみましょう。

寒暖差アレルギーかな?と思って対策してみるのもよいですが、症状が続く場合は、一度、小児科や耳鼻科などで受診するのが安心です。

主な対策とは?

寒暖差アレルギーは、温度が一定であれば発症しませんが、寒暖差がない環境でずっと生活するということは難しいですよね。しかし、少しでも寒暖差を軽減することはできますから、日常生活の中でちょっとした対策を心がけていけば予防にもつながります。たとえば、以下のようなことが考えられます。

・上着の着脱をしたりして体温調節をする。
・冷たい空気が鼻や喉に直接触れないように、マスクを着用する。
・簡単にできるストレッチやマッサージ、ツボ押しなどを行って、自律神経を整える。
・生活リズムを乱さないようにする。
・夜寝るときに、首が冷えるので、首回りの防寒対策を行う。
・40℃前後のお湯で体を温める。
・精神的なストレスをためないようにする。

根本の完治は難しいといわれていますから、上手に対策して症状の軽減をしていくことが大切。特に、急激に冷えた場合のほうが症状が出やすくなるため、体が冷えないよう温かくする対策が効果的です。

また、寒暖差アレルギーは、先にも述べたように血流の働きに大きく関わる「自律神経の乱れ」が原因で発症することが多いといわれています。ですから、規則正しい生活を日ごろから心がけ、自律神経を整えておくことがとても大切だといえるでしょう。

久手堅先生からのメッセージ

寒暖差アレルギーは、風邪やアレルギー性鼻炎と同じようなものだと思ってしまいがちですが、実際には季節による温度差や、室内外の温度差を感じることによって起こります。特に、体が急に冷え過ぎたりすると、症状が出やすかったりしますので、お子さんの首元を温めてあげたり、睡眠時の朝晩に体が冷えないようにしましょう。また、睡眠や運動などの基本的な生活習慣がとても大切ですから、日ごろからお子さんといっしょに心がけて生活してみてくださいね。症状が気になる場合は、医療機関を受診してみましょう。

この記事の監修・執筆者

せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅 司

医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医。
2013年に、せたがや内科・神経内科クリニックを開設。「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「頭痛外来」などの外来診療を行っている。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)、監修に『毎日がラクになる! 自律神経が整う本』(宝島社)などがある。

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