【医師監修】子どもの食中毒にはどんな症状があるの?どこからうつるの?潜伏期間は?

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【医師監修】子どもの食中毒にはどんな症状があるの?どこからうつるの?潜伏期間は?

抵抗力の弱い子どもは食中毒(食あたり)になりやすく、重症化しやすい傾向があるので注意が必要です。O-157・サルモネラ菌・腸炎ビブリオといった原因によって、腹痛や吐き気、発熱・下痢など様々な症状が見られます。感染経路や潜伏期間、予防のためのチェック項目もご紹介します。

監修:渋谷 紀子(総合母子保健センター愛育クリニック 小児科部長)

目次

食中毒とは?

食中毒は、細菌やウイルスなどの病原体が原因でおこる、急性の胃腸炎です。
病原体がついた食べ物を食べることや、調理器具や人の手を介して感染することで発症します。原因となる病原体によって、症状や発症までの潜伏期間が異なります。

食中毒の主な病原体と症状について

腸管出血性大腸菌(O-157など)

  • 主な感染経路:井戸水、牛肉、その他の生肉など
  • 潜伏期間:約3~5日間
  • 症状:激しい腹痛と水様便を繰り返す

吐き気、おう吐、発熱、血便を伴う場合もある
意識障害やこん睡を起こし、生命に危険が及ぶことも
※腸管出血性大腸菌感染症にかかった場合、医師に感染の恐れがないと認められるまで登園できません。症状がおさまり、抗菌薬による治療が終わってから2日以上空けて、連続2回以上の検便で菌が出ないことが確認されたら登園が可能になります。

サルモネラ菌

  • 主な感染経路:卵や卵の加工品、食肉、乳製品など
  • 潜伏期間:約6時間~3日間
  • 症状:吐き気やおう吐から始まり、数時間後に腹痛と下痢、発熱

重症になると、けいれんや意識障害がおこることも
※犬や猫などのペットからの感染も増加していると言われています。

腸炎ビブリオ

  • 感染経路:刺身や寿司などの生の魚介類や、包丁などを通じて食べ物に二次感染する
  • 潜伏期間:24時間以内
  • 症状:腹痛や吐き気、おう吐、発熱、悪寒などと共に、水様便が起こる

症状は3日ほど続く
※夏に多く発生します。

黄色ブドウ球菌

  • 感染経路:傷がある手指で調理された食品から感染
  • 潜伏期間:1~6時間
  • 症状:激しいおう吐や下痢、腹痛

発熱はしない
※原因となるブドウ球菌は、人の鼻・のどの中、腸管などにいます。

ボツリヌス菌

  • 主な感染経路:食品から
  • 潜伏期間:約8時間~1.5日
  • 症状:腹痛、下痢、おう吐

重症化すると、視力障害や言語障害、手足の麻痺などの神経症状、生命に危険がおよぶことも
※ボツリヌス菌は、ハチミツにも含まれるので、1歳未満のお子さんには与えないようにしましょう。

カンピロバクター

  • 主な感染経路:加熱不足の食肉や、汚染された水、乳製品など
  • 潜伏期間:平均2~5日
  • 症状:腹痛、下痢、発熱のほか、血便や頭痛、筋肉痛など

※約2~5日で回復しますが、再発することもあるので注意が必要です。

食中毒予防のために気をつけること

食中毒を予防するためには、調理する人や調理環境の清潔さだけでなく、食材の管理や調理法にも気をつけることが大事です。

調理前にチェック!

爪は短く切っておく
□石けんと流水でしっかり手を洗う
□手指にがないことを確認する
清潔で乾いたタオルやふきんを用意する
□肉、魚、卵などに触れたら、そのつど手洗い

調理中にチェック!

□野菜や果物は十分に水洗いをする
□野菜や果物に、がついたり腐ったりカビが生えていないか確認する
□冷凍食品の解凍は冷蔵庫で行う
□加熱するときは、食材の中心部まで火を通す
(中心部が75℃で1分以上)
□電子レンジ加熱では、途中でかきまぜ全体に熱を通す
□温かい料理は60℃以上、冷たい料理は5℃以下で保存する
□包丁・まな板などは、食品別で使い分けるか、そのつど洗剤で洗う
□途中で鼻をかんだりトイレに行ったときは、必ず石けんで手を洗う

調理の後にチェック!

□まな板は洗剤で洗い、その後熱湯をかけて消毒をする
(特に木製や傷がついたまな板はしっかり洗う)
□ふきんやスポンジは、水洗いの後熱湯をかける
(漂白剤での消毒でもいい)
□調理器具や食器を洗ったら、しっかり水気を切って片付ける

食品の管理もチェック!

□生鮮食品は、賞味期限消費期限産地を確認する
□冷凍や冷蔵が必要な食品は、購入後できるだけ早く冷凍庫や冷蔵庫に入れる
□冷凍庫は-15℃以下、冷蔵庫は10℃以下に温度を保つ
□肉や魚は、他の食品に肉汁や水分がつかないように注意する

調理をするときにしっかり気を付けて、食中毒にならないようにしたいですね。

参照:学研プラス『病気とケガの救急&予防マニュアル』

この記事の監修・執筆者

総合母子保健センター愛育クリニック 小児科部長 渋谷 紀子
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