今年も流行が始まったインフルエンザ。
毎年、予防接種を受けたり、マスクを着用したりと、家族で気をつけているつもりなのに、発症してしまったということはありませんか?
インフルエンザウイルスやワクチンの特徴、普段からできる予防法を見直して、家庭でしっかり対策をたてましょう!
お話:有賀 晴之先生(立川内科クリニック 院長)
今季に多いインフルエンザは「A型」!
今季の傾向としては、A型インフルエンザに感染する人が多いです。
症状は、発熱、頭痛、全身の倦怠感、関節痛、のどの痛み、鼻水、咳などがみられます。
感染経路と潜伏期間
「マスク」からの接触感染に注意!
インフルエンザの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。
●飛沫感染…感染者の咳やくしゃみなどと一緒に、放出されたウイルスを口や鼻から吸い込む
●接触感染…感染者が口をおさえて咳やくしゃみをし、その手で触った所に触れてから、自分の口や鼻に触れると、粘膜から感染する
特に見落としがちなのが、「マスク」からの接触感染。
食事などでマスクを外す時に、マスクの外側についたウイルスに触れ、口や鼻に取り込んでしまったり、逆にウイルスが付着した手でマスクの内側を触って感染してしまったりすることも。
マスクのつけ外しの前後は、手洗いやアルコール消毒を心がけたり、マスク面を触らずに、耳掛けのひも部分を持ったりするのがよいでしょう。
こまめに新しいマスクに交換することも大切です。
潜伏期間中の人からも感染する恐れが!
ウイルスの潜伏期間は1~4日ほどで、個人差はありますが、平均して2日程度。
発症する1日前から感染力をもつとも言われており、兆候や症状がない潜伏期間でも、他の人に感染する恐れがあります。
予防接種の効果と持続期間、費用や副反応は?
ワクチンで「重症化」を予防する
インフルエンザワクチンには、確実に発病を予防する効果はありませんが、「重症化」の予防に最も大きな効果があります。
通常は1週間程度で回復するインフルエンザも、重症化すると肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院の必要や命にかかわることも。
予防接種で免疫ができるので、発症しても症状を軽くすることが期待できます。
効果の持続期間は約5か月
ワクチン接種後、2週間ほどで抗体が上昇し始め、1か月でピークに達し、その効果は約5か月間持続します。
13歳未満で2回接種する場合、通常は2~4週間隔で接種可能です。
1回目の接種から4週間で、抗体がピークに達します。
そこで追加接種すると、最も抗体が上昇します。
免疫効果を考えると、できれば4週間あけて接種しましょう。
費用は3,000~5,000円程度
予防接種は任意のため、自由診療です。
費用は医療機関によって異なり、1回3,000~5,000円程度と幅があります。
インフルエンザワクチンには、A型株(2種類)・B型株(2種類)があります。
専門家がそのシーズンの流行を予想し、製造する株の選定や量を決定して、その指示のもと、メーカーがワクチンを製造します。
使用しているワクチンのメーカーは、医療機関によって違いますが、どのメーカーのワクチンも有効成分は一緒で、効果に差はないと考えてよいです。
副反応が出るのは、全体の5~20%程度
予防接種は体調がよい時に受けることが原則です。
発熱や頭痛、腹痛、下痢、睡眠不足、過労、二日酔いなどの時は避けた方がよいとされています。
接種前に子どもの様子をきちんと観察し、具合が悪いときは日を改めましょう。
ワクチンの副反応は、
●接種した部位の赤み、腫れ、痛みなど…通常2~3日で消失(発生頻度は10~20%)
●発熱、頭痛、寒気、だるさなど…通常2~3日で改善(発生頻度5~10%)
です。
ごくまれに、ショックやアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難など)が、接種して比較的すぐに起こる場合があるので、接種後30分は医療機関と連絡がとれる場所で安静にしましょう。
また、ワクチンの製造過程において、わずかに卵由来の成分が残存します。
高純度に精製され極めて微量なので、ほとんど問題となりませんが、重篤な卵アレルギーの場合は、事前にかかりつけの医師に相談してください。
接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部位を強くこすらないように注意が必要です。
接種後24時間は、激しい運動は控えましょう。
家や外出先で普段からできる、予防法3つ
帰宅後の手洗い・着替えで、感染リスクを減らす!
インフルエンザウイルスは手や衣類に付着して、家に侵入します。
衣類などの表面が凸凹した物に付着していると2時間ほど、ドアノブなどのつるつるした物だと8時間ほど、感染力を維持すると言われています。
まずは、帰宅したらすぐに手洗いや着替えをして、ウイルスに接触するリスクを減らすことが大切です。
その上で、ドアノブやテーブル、リモコン、電気のスイッチなど、家族がよく触る物は適宜消毒するとよいでしょう。
消毒用アルコールは、次亜塩素酸ナトリウムなどが有効です。
インフルエンザウイルスは寒冷乾燥を好み、高温多湿に弱いので、部屋は20~25℃程度、湿度50~60%に保つとよいです。
食事からビタミンA・C・Dとたんぱく質をとり、免疫力を高める
インフルエンザにかかりにくい体を作るために、免疫力を高めることも大切。
ビタミンA・C・Dやたんぱく質を、バランスよく摂取しましょう。
●ビタミンA…粘膜を強化(緑黄色野菜、レバー、卵など)
●ビタミンC…ウイルスに対する抵抗力を高める(柑橘類、イチゴ、キウイなど)
●ビタミンD…免疫細胞を強化する重要な役割(卵、キノコ類、紅鮭、サンマなど)
●タンパク質…免疫細胞の材料になる(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など)
また、免疫力を高めるには腸内環境を整えることも必要で、納豆やヨーグルトなどの発酵食品も効果的。
なにより、バランスのよい食事、十分な休養・睡眠がとても大切です。
外出時は、不特定多数が触る場所に注意
電車のつり革や手すり、ドアノブ、エレベーターのボタンなど、不特定多数が触る場所は、ウイルスが付着しやすい所。
それらに触ったあとに食べ物を手づかみしたり、口にしたりせず、手洗いをするか携帯用のアルコール消毒剤を使用しましょう。
マスクは顔にフィットする物を選ぶ
マスクはもともと「人にうつさない」ための物。
ウイルスを完全に遮断はできませんが、口腔内が保湿されて喉の粘膜の防御機能が守られ、ウイルスが侵入しにくくなります。
マスクを選ぶ時に一番大切なことは、鼻や顎が出たり、頬に隙間ができたりしないよう、顔にフィットするサイズ・形を選ぶことです。
また、インフルエンザは軽症だったり、症状が全くなかったり(不顕性感染)することもあるため、感染している人がそばにいてもわからない場合があります。
インフルエンザの流行時は、普段からマスクを活用したり、こまめに手洗いをしたりと、油断せず十分に気をつけましょう。
反対に、自分が感染していることに気づかず、周りにうつしてしまう可能性も。
咳やくしゃみが出ている時は、必ずマスクを着用(咳エチケット)しましょう。
一人ひとりが咳エチケットを心がければ、感染拡大が防がれ、結果的に感染するリスクを減らすことができます。
家族が発症したら、換気と加湿を徹底!
家族が発症した場合は、家の中でも全員マスクをし、看病したあとは必ず手洗い・うがいをします。
部屋はこまめに換気するとともに、空気が乾燥しないように加湿器を使用しましょう。
可能であれば、感染した家族を専用の部屋にうつして隔離します。
また、使ったマスクや鼻をかんだティッシュは、蓋つきのゴミ箱や、ビニール袋に入れてしっかり縛ってから捨て、嘔吐物を片付ける際は使い捨ての手袋をしましょう。
感染した家族が触った場所を消毒するのも、他の家族への感染予防に効果的です。
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