【適切な耳掃除の頻度って?】医師監修、子どもの耳掃除の仕方や頻度、知っておきたい耳の病気

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【適切な耳掃除の頻度って?】医師監修、子どもの耳掃除の仕方や頻度、知っておきたい耳の病気

子どもの耳の中は、皮膚も薄く、とてもデリケート。じっとしてくれない子どもの頭を押さえての耳掃除はちょっと怖い・・・。でも、耳掃除をしないのは不衛生? 耳の聞こえにも影響するのでは? 耳が痛そうだけど、もしかして中耳炎? など、いろいろ疑問に思うママパパも多いのではないでしょうか。

今回は、そんな子どもの耳のケアと気になる耳の病気について、耳鼻咽喉科の浅香大也先生にうかがいました。

お話:浅香 大也
イラスト:わたいしおり

目次

耳掃除の頻度は2週間に1度が目安! 耳の入り口付近をぬぐうだけでOK

「耳あか」は古くなった皮膚や分泌物の塊などで、耳あかには殺菌作用や外耳道の乾燥を防ぐ作用、虫などの侵入を防ぐなど、耳の穴を守るバリアの役割もしています。

耳あかは本来、皮膚や毛の働きなどによって、自然と耳の奥から外へと押し出されていく仕組みになっています。耳掃除をしすぎると、かえって耳あかを奥へ押し込んでしまい、耳あかが固まって、耳の聞こえにも影響してしまうことも。

また、力の加減によっては、耳の穴や皮膚を傷つけてしまう恐れもあります。

特に、皮膚が薄くデリケートな子どもの場合は、耳の入り口付近に見える汚れを、綿棒などでそっとぬぐい取るだけで大丈夫です。

ベビー用の綿棒を使うと、子どもの耳の穴に入りやすく、皮膚を傷つける恐れもなくて安心です。奥まで入れてしまわないように、短めに持ち、そっとなでるようにしましょう。

耳掃除の頻度は2週間に1回くらいでいいでしょう。特に、入浴後は耳あかが湿って柔らかくなっていてとりやすいです。

無理をせず、耳鼻科を受診してもOK!

取りにくい耳あかがあったり、子どもが動いてうまくできなかったりする場合は、無理にやろうとせず、耳鼻科を受診してお医者さんにとってもらうことをおすすめします。

「耳掃除だけで耳鼻科に行ってもいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、耳あかの除去は立派な医療行為です。定期的に受診している方も多いので、お気軽に受診してください。

耳の中で、外に出る前に耳あかが皮膚からはがれて、カサカサと音がするのを子どもが気にすることも。また、子どもは新陳代謝が激しく、耳あかが大量に出ることもあり、耳あかが大きいと難聴の原因になりますし、鼓膜が見えにくく、放置すると中耳炎の診断が遅れることもあります。

以上のような兆候があった場合は、早めに耳鼻科を受診した方が安心ですね。

耳あかのタイプは2種類 カサカサタイプ? ネバネバタイプ?

耳あかには、カサカサと乾燥したタイプと、ネバネバと湿り気のあるタイプの2種類あります。これは遺伝体質によるもので、日本人に多いのは乾燥タイプで7~8割くらい。欧米の人の場合は、湿り気タイプが多いと言われています。

でも、どちらだからいい・悪いというわけではありません。

湿り気タイプの場合、綿棒でケアした際に耳あかを奥に押し込んでしまうことがあるため、耳掃除のしすぎには気をつけましょう。

気になる子どもの耳の病気について

【外耳炎】

原因や症状など
耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道の炎症で、かゆみや痛み、耳だれ(耳の穴から出てくる分泌物の総称)などの症状があります。耳掃除のしすぎや爪などでひっかいたりすることで起こります。

治療やケアなど
耳鼻科を受診して治療を受けましょう。また、着替えをする際などに耳に当たるのも痛がることがあります。薬を塗る際以外は耳に触れないよう気をつけてあげてください。

【中耳炎】

耳と鼻は耳管という管でつながっていて、鼻水のウイルスや細菌が耳に入って炎症を起こすのが中耳炎。子どもの場合、耳管(じかん)の長さが大人に比べて短く、鼻水のウイルスや細菌が耳に入りやすいため、中耳炎を起こしやすいです。子どもの約8割が一度は中耳炎を起こすといわれています。

●急性中耳炎

原因や症状
かぜなどが原因で、鼻水のウイルスや細菌が耳管に入り、耳の奥で炎症を起こした状態。うみがたまり、耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状があります。乳児の場合、機嫌が悪くなったり、ぐずったり、耳を気にして触るといった様子も見られます。

治療やケア
抗菌薬や痛み止めの処方、耳だれの処置や鼻水の吸引などを行います。痛みなどの症状は早めに治まりますが、うみを完全に出し切るには1~3か月ほどかかることもあります。ここでしっかり治療しておかないと、中耳炎が慢性化して、何度も繰り返してしまうことも。鼻水をすすり上げると中耳炎になりやすいため、鼻をかむようにしたり、上手にかめなければ、鼻吸い器でとってあげましょう。

●滲出性(しんしゅつせい)中耳炎

原因や症状
鼓膜の内側に水がたまった状態で、耳の聞こえが悪くなります。急性中耳炎の後や、鼻水をすすったことで起きやすいようです。発熱や痛みなどがないため、子ども自身が症状を訴えることはありません。テレビの音が大きかったり、呼んでも返事がないなど、よく聞こえていないような様子が見えたら耳鼻科を受診しましょう。そのままにしておくと、難聴の原因にもなります。

治療やケア
投薬治療を行いますが、症状が改善しない場合、鼓膜の切開や、鼓膜に小さなチューブを通して、鼓膜の後ろにたまった貯留液の排出、換気をするなど、外科的な治療が必要になることもあります。鼓膜は再生しますが、外科的治療を行った場合は、耳鼻咽喉科での定期的診察が必要です。

鼻水をすすり上げない! こまめに鼻をかむ習慣を!

子どもの耳の病気には、鼻水が大きく影響しています。

普段から、子どもには鼻水をすすり上げないよう声をかけてあげてください。子どもの年齢によってうまく鼻をかめないときは、親が拭き取ったり、鼻吸い器などで吸い取ったりして、鼻水がたまらないようケアしてあげることが大切です。

また、呼んでも返事がない、聞き返すことが増えた、耳を触られるのを嫌がる、耳をしきりに触る、声が大きくなった、など、少しでも気になる様子が見られたら、ちゅうちょせず、耳鼻科を受診してください。

耳の病気や不調は、子ども自身で具体的に症状を言えないことが多いです。気になることがあったら、定期的に受診されることをおすすめします。

この記事の監修・執筆者

浅香耳鼻咽喉科クリニック院長 浅香 大也

1997年、東京慈恵医科大学卒業後、同大学病院に勤務。2018年に東京都世田谷区に浅香耳鼻咽喉科クリニックを開業。

「みみ、はな、のど」に関するさまざまな病気について、乳幼児から年配のかたまで安心して受診できる、地域のかかりつけ医としての役割を果たすこと、そして、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの炎症性鼻疾患に対して、免疫療法や日帰り手術など、専門的かつ総合的医療を提供していくこと、質の高い医療の提供、患者にとってわかりやすい説明、大学病院などとの緊密な提携を柱に、信頼できるクリニックを目指している。

また、キッズスペースも完備した「子どもの耳鼻科」として、乳幼児へのていねいな診察・対応も特長のひとつとしている。

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