【保育園は認可? 認可外?】 専門家が教える子どもに合った保育園の選び方

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【保育園は認可? 認可外?】 専門家が教える子どもに合った保育園の選び方

大事な我が子の保育園選びは悩みますよね。
公立・私立、認可・認可外の違いは? 保育園選びのポイントは?
そんな疑問について、保育園を考える親の会で代表を経て、現在は顧問を務める普光院亜紀さんにうかがいました。

お話/普光院亜紀(保育園を考える親の会 顧問)
参考図書:『後悔しない保育園・こども園の選び方』(普光院亜紀/著 ひとなる書房)

目次

1 認可保育施設は「国の基準を満たして自治体に認可された施設」

認可保育園の通う赤ちゃん

認可の保育施設と認可外の保育施設の大きな違いは保育料です。

認可の保育施設とは、ひと言でいうと国の基準を満たして自治体に認可された施設のこと。子ども・子育て支援新制度(内閣府)の枠組みで、以下の6つに大別されます。

  • 認可保育園(保育所)
  • 認定こども園(4種類)
  • 小規模保育
  • 家庭的保育
  • 事業所内保育事業
  • 居宅訪問型保育

細かい基準はありますが、まず、認可保育施設の特色を主にご紹介します。

認可保育施設の特色

  • 施設や職員の配置について国の基準がある
  • 保育料は市区町村が決め、同じ自治体の認可園は、どこでも同じ保育料
    ⇒3歳未満は所得に応じて金額が変わる/3歳以上は完全無料
  • 公立と私立がある
  • 申し込みは各自治体(役所)にまとめて行い、入園希望者が定員よりも多い場合は入園選考が行われる
  • 共働き・保護者が病気で育児ができないなど、「保育の必要性」が認められないと利用できない(基準は自治体によって異なる)

~知っておきたい豆知識~

認定こども園は4種類。
幼保連携型認定こども園/幼稚園型認定こども園/保育所型認定こども園/地方裁量型認定こども園に分けられ、公立・私立ともにあります。
認定こども園は、保育の必要性が認定されれば、保育園のように長時間利用することが可能です。また、保育の必要性を認定されない3歳以上の子どもが、幼稚園のように短時間利用することもできます。

2 認可外保育施設は「認可保育施設以外のすべての保育施設」

認可外保育園に通う赤ちゃん

認可を受けていない保育施設を、認可外保育施設といいます。

「認証保育所(東京都)」「横浜保育室(横浜市)」などのように、自治体が設ける基準を満たして、自治体からの補助金を受けて運営されている施設もあります。

大別すると、

  • 認証保育所、横浜保育室などの自治体の基準を満たした認可外保育施設(準認可とよばれる)
  • 企業主導型事業所内保育(企業主導型事業所内保育の基準を満たして、国が補助金を出している施設)
  • そのほかの認可外(ベビーホテルなど。補助金をまったく受けていない

に分けられます。

認可外保育施設の特色

  • 認可外保育施設も、自治体への届出が義務づけられている
  • 「保育の必要性」がなくても入園を申し込むことができる
  • 3歳以上の「幼児教育・保育の無償化」の対象にもなっていて、「保育の必要性」が認められる3歳以上児は、月に37,000円までの保育料の補助を受けることができる
    ⇒それを超える金額は、各家庭の負担
  • 入園申し込みや入園の決定は、施設ごと。定員以上の申し込みがあれば、認可外でも選考や抽選がある施設も
  • 準認可とよばれる、認証保育所や横浜保育室などは、認可外の保育施設ではあるが、一定の基準を満たして補助金を受けて運営しているため、比較的、保育の質が確保されている
  • まったく補助金を受けていない認可外保育施設も、認可外保育施設の基準はあり、保育士の配置などは決まっている
    ⇒保育士が有資格者でなくてもOKなど、認可保育施設とは大きく異なる

認可外保育施設を選ぶなら

保育料や基準の面から考えて、認可保育施設に入園したいと考える家庭が多いと思いますが、認可外の保育施設を選ぶ際には、どのようなことがポイントになるのでしょうか。

基準を満たして補助金を受けている施設が安心

自治体の補助を受けていなくても、熱心な保育者があたたかい保育をしている認可外の施設もありますが、一般的には、基準を満たして補助金をもらっている準認可の施設がオススメです。

小規模な集団で過ごしたい場合

認可外保育施設には、小規模なところが多いです。

認可の保育施設でも小規模保育、家庭保育などは3歳未満児を対象として、こぢんまりしているため、落ち着いて過ごしたいタイプの子には、よいかもしれません。ただし、小規模ということは募集人数も少なく「保育の必要性」が求められる認可保育施設への入園が困難な場合も。

そこであえて、少人数でゆったりと過ごせる、認可外の保育施設を選ぶ家庭もあるようです。

頭に置いておきたいのが、子どもが成長して思いきり外遊びをさせたいと思ったときに園庭がなかったり、3歳以上の子がほとんどおらず、友だちが下の年齢の子だけになってしまったりするケース。

同じような発達段階の子どもどうしで遊ぶことは、子どもの発達にとっては大切な環境ですので、3歳以上(同年齢の子がいないような年齢)になったら、それがかなう環境の園に転園することも視野に入れて、園を決める一助にしてください。

認可保育施設といっしょに申し込む

認可保育施設に申し込んでも入園がかなわない場合に備えて、準認可の認可外保育施設に、同時に入園申し込みを行う方法もあります。

~知っておきたい豆知識~

認可外保育施設」と「無認可保育施設」は言い方が異なるだけで、同じ意味です。
なんとなく「無認可」というと印象がよくないこともあり、だんだんと「認可外」という呼び方が定着してきました。

3 保育園選びのポイントと、園見学で見るべき点

保育園選びに悩む保護者

地域によって、どのような制度の園があるのかはさまざまです。

認可保育園がたくさんあったり、ほとんどが認定こども園に変わっていたり、小規模保育や家庭的保育はなかったりする地域もあります。

それを踏まえて、園を選ぶ際に大切なポイントを4つ紹介します。

(1)どのような保育施設が地域にあるかを調べる
(2)制度(認可・認可外など)の違いを確認する
  …受け入れ可能な月齢や、何歳まで受け入れているかは園によって異なります
(3)家庭の生活スタイルを条件に、利用可能な施設を絞り込む
  …保育時間や通園距離を確認します
(4)保育の中身と園の環境からさらに絞る
  …実際に園に見学へ行き、確認しましょう

何よりも大切なことは、信頼できる「保育士さん」がいるか

園の見学に行くときに最も見たいのは、保育士さんが子どもとどのように関わっているか、です。

同じ制度(認可・認可外など)の園でも、中身が同じ園はひとつとしてありません。

園のつくりなどの「物的環境」はもちろんのことですが、とくに「人的環境」とよばれる保育士さんによって、園の保育は大きく変わります。

そこで、見学のときには、保育士さんが一人ひとりと丁寧に関わっているか、目を合わせて話しているか、子どもたちが保育士さんを信頼して甘えているかをぜひ見てください。

物理的な安全も大切ですが、保育士さんが見守りかかわってくれることが、一番子どもの安心感につながります。

子どもの能力は、安全で安心した環境でのびのびと遊んだり、好奇心をもって積極的に自分から気になることを探索したりしているときが一番伸びるもの。

つまり、子どもが楽しく主体的に活動できることが、この時期の教育としては重要なのです。これは、規模や制度の種類にかかわらず、大切なことです。

戸外遊びの時間が確保されているか

基本的な運動能力(歩く・走る・投げるなど)は、8歳ごろまでに決まるといわれています。

乳幼児期には、日常生活にも必要なこの基本的な運動能力を養うために、戸外遊びが欠かせません。

最近は、園庭がない園も増えていますが、それを補うために天気のよい日はお散歩をしているか、戸外で遊ぶ環境が確保されているかはしっかりと見ておきたいポイントです。

個別に対応してくれるか

子どもにアレルギーがあったり発達に課題があったりする場合など、個別に対応が必要な場合は、見学に行ったときに確認しておきましょう。

入園が決まったあとに「対応できません」では困りますね。

受け入れ態勢が整っていることを伝えてくれたり、対応方法をいっしょに考えてくれたりする園が安心です。

見学が難しい場合は代替案を聞こう

コロナ禍で、見学を断っている園もあります。

その場合は、見学の代わりに何か行っていないか聞いてみましょう。

園の説明会や、園の中には入れなくても対面で話をしてくれるケース、ホームページに詳細を掲載してくれているケースもあるようです。

大切な我が子を預ける保護者の不安にきちんと向き合ってくれる姿勢が見られる園なら、信頼できますよね。

または、園庭開放や保育体験を行っている場合は参加して雰囲気を見てみるのもよいでしょう。

なかなか機会がない場合は、お散歩で公園などにいるときに、そっと様子をうかがってみるのもひとつの手です(決して不審者にはならず、あくまで見守る程度に!)。

~知っておきたい豆知識~

見学に行くために園に電話をかけるのは、少々の勇気と労力がいることです。
園側にも気持ちよく対応してもらうためにも、10時を過ぎてからの電話がオススメです。
保育園では9時ごろまでに登園することになっているため、朝の時間帯は子どもの受け入れやお休み連絡などで忙しくしています。10時ごろには一段落して、順次お散歩や自由遊びをしていることが多いので、連絡しやすいでしょう。見学も午前中に当てられていることが大半で、子どもたちも落ち着いて、体力もあり活発に活動している姿が見られることと思います。
11時半ごろには乳児クラスからお昼の準備が始まるため、もし見学の時間帯を選べるのであれば、10時ごろからお昼前に見学に行くのがよいでしょう。

4 園選びの気になるQ&A

赤ちゃんをだっこしているパパとママ

我が家に合う保育施設は?

やはり園によってさまざまのため、見学に行って一つひとつ見ていくことを前提としてほしいのですが、考え方のひとつとして参考にしてみてください。

乳児は少人数の落ち着いた空間が過ごしやすいケースが多い

ゆったりと落ち着いて1対1に近い対応を取ってもらえる少人数の保育は、家庭に似た環境になり、落ち着けるというメリットがあります。

そのため、乳児や1歳児の保育室を低い棚などで区切っている園もあります。一方、あんよ前の0歳児は、安全にハイハイがきるスペースも必要です。

これらの観点から、保育室の使い方が工夫されているかも大切なポイントです。

早生まれさんは、縦割り保育(主に3・4・5歳児の子がいっしょに過ごす)が合っていることもある

3歳以上のクラスを縦割り保育にしている園もあります。

年齢別クラス・縦割りクラスはどちらも一長一短ありますが、早生まれのお子さんは、縦割りクラスの方が月例差を感じずに、マイペースで過ごせる場合もあります。

こども園を選ぶときは、何を基準にした園かも確認する

認定こども園は4種類に分けられるとお伝えしました。

幼稚園からこども園に移行した園などもありますので、行事や保護者活動が平日に組まれているなど、共働き家庭に理解が乏しいやり方になっていないかはチェックした方がよいでしょう。

見学のときに質問してもいい?

不安に思うことや気になる点は、基本的に何を聞いてもかまいません。

あとから「思っていたのと違った!」とならないように、どんどん質問しましょう。

なにを聞いたらよいかわからないという方は、こんな質問でもよいと思います。

SIDS対策

園長先生や主任、見学担当の保育士さんが案内してくれることが多いため、保育内容や教育方針を把握しているはず。そこで聞きたいのが「SIDS(乳幼児突然死症候群)の対策」について。

とくに0・1歳児では、数分置きに顔色や呼吸チェックをしているのが基本中の基本対応です。

万が一、「なんですか?」と答えたりけげんな顔をされたりしたらたいへん危険です。

離乳食の進め方、トイレトレーニングの進め方など、不安に思っていること

「一人ひとりの発達に合わせて」「○か月ごろにはこんな発達なので、こうしています」など、専門的なことに触れつつも、子どもの姿に合わせるという回答が欲しいところです。

「ご家庭の方針に合わせます」と言われても、とくに第一子では家庭の方針が定まっていないという家庭も多々あります。

子どもの発達を知っている専門職としての見解をもってきちんと答えてくれるか、子どもに愛情をもった話しぶりがうかがえるかを確認しましょう。

感覚的であっても、「なんだか冷たいな」「事務的かも…」と思う保護者の直感も信じてよいのです。信頼関係を築けそうな園と感じられることが必要なのですから。




小さな子を抱えて、または出産前から保活や園の見学をされる方もいることでしょう。

それはとても骨の折れることですが、入園すれば、子どもは1日10時間前後も園で過ごすことになるのでできる限り足を運んで見学することをオススメします。

信頼できる園や保育士さんと出会えることを、応援しています。

この記事の監修・執筆者

保育を考える親の会 顧問 普光院亜紀

ジャーナリスト。保育園を考える親の会 代表を経て、現在は顧問アドバイザーとして、執筆活動、調査研究、相談支援活動などを行うほか、大学講師も務める。おもな著書に『保育園は誰のもの』(岩波書店)、『保護者のホンネがわかる本』(ひかりのくに)、『後悔しない保育園・こども園の選び方』(ひとなる書房)など。

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