みなさんは、夫や妻、子どもたちから「よく頑張ったね」「すごいね」などと褒められることはありますか? ないという方は、せめて自分で自分をほめてあげてください。
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
「親になって初めてほめられた」と言ったお母さん
私が教師だったとき、あるお母さんをほめたことがありました。
すると、そのお母さんから「親になって初めてほめられました」と言われました。
それで、私は、「たしかに、親としてほめられるというのはめったにないことなんだ」とあらためて思った次第です。
親はしっかりやって当たり前。
子どものためにがんばるのが当たり前。
しっかりやらなければ文句を言われる。
ちょっとサボれば文句を言われる。
夫に文句を言われる。
妻に文句を言われる。
おじいちゃん・おばあちゃんに文句を言われる。
親戚に文句を言われる。
先生に文句を言われる。
近所から文句を言われる。
当の子どもからも文句を言われる。
世間の偉そうなおじさんやおばさんから文句を言われる。
テレビのコメンテーターから文句を言われる。
いわゆる専門家、有識者、教育評論家から文句を言われる。
自分で自分をほめよう。コツの1つめは部分をほめること
これでは切ないですね。
ですから、せめて自分で自分をほめてあげてください。
ほめるコツの1つめは部分をほめることです。
全体を漠然と見ていてはほめられません。
少しでもできている部分を見つけ出して、ほめましょう。
そのためには、できていない部分を責めないで、そこは目をつむることが大切です。
たとえば、細かいしつけができないからといって、自分を責めないでください。
(そもそもそんなことは必要ないですし)
その分、できない子どもを許すのは得意かもしれません。
そんなあなたをほめましょう。
片づけができるようにさせられないからといって、自分を責めないでください。
その分、子どもと一緒に盛り上がって楽しんだりするのは得意かもしれません。
そんなあなたをほめましょう。
勉強をやる気にさせられないからといって、自分を責めないでください。
その分、子どもがやりたがることをたっぷりやらせて応援しているかもしれません。
そんなあなたをほめましょう。
2つめのコツは一歩下がり法
ほめるときのコツの2つめは、一歩下がり法です。
人は誰でも理想を追い求めて、現実よりも勝手に一歩進んでしまっています。
勝手に進んだ分を一歩下がって、ありのままの姿をほめましょう。
たとえば、子どもにとって栄養たっぷりの理想の食事が準備できないからといって、自分を責めないでください。
手抜きをしたからといって自分を責めないでください。
食べられるものを準備していること自体、立派なことです。
3つめのコツはリフレーミング(短所言い換え法)
ほめるときのコツの3つめは、リフレーミングです。
これは固定したフレームだけで見るのではなく、別のフレームで見直してみるという意味です。
短所言い換え法ともいいます。
たとえば、「だらしがない」は「大らか」だということです。
ですから、子どもをしっかりしつけられないからといって、自分を責めないでください。
それは、子どもをのびのび育てているということなのです。
あなたはすでに十分よくやっています
紆余曲折ありながらも、ここまで育ててきました。
そんなあなたをほめてあげてください。
どれもこれも簡単なことではありませんよね。
あなたはすでに十分よくやっています。
あれこれ厳しい条件の中で、精一杯やってきています。
ですから、そんな自分をほめてあげましょう。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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