【専門家監修】ガミガミは逆効果!/ガミガミ言わなくても、進んでやる子になるための言い換え術①

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【専門家監修】ガミガミは逆効果!/ガミガミ言わなくても、進んでやる子になるための言い換え術①

「早く宿題やらないと、寝る時間がなくなるよ!」「ちゃんと片づけないから忘れ物やなくし物が多いのよ」などなど、保護者目線だと何かとストレスになる子どもの行動。何度言っても同じことを繰り返すからイライラして、つい強い口調になってしまいますよね。よかれと思って注意しているのに、なかなかこちらの言うことを聞いてくれないことも…。
そこで、ガミガミ言わなくても、子どもに伝わる方法について、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子先生にうかがいました。3回連載でご紹介します。

目次

ガミガミ言ってしまう理由

ついガミガミ言ってしまう背景には、保護者の思う「理想の子」になってほしいという純粋な思いがあります。たとえばスキルをあげたいとか、勉強やスポーツに対して積極的な子に育ってほしいとか、学校で恥ずかしい思いをしてほしくないなどなど。

その理想と目の前にある現実にギャップが生じると、「なんでできないの?」「どうしてそうなの?」という気持ちになってしまうのです。

また、鼓舞したり、はっぱをかけたりするつもりで言った言葉が「ガミガミ」になってしまうことも。さらに、よくないことですが保護者自身のメンタルがイライラしていて、子どもに当たってしまうケースもあるのではないでしょうか。

一概に「ガミガミ」と言っても、その背景はいろいろなのです。

ガミガミ言っても、効果はゼロ

たとえ親が「子どものことを思うからこそ」と思っていても、ガミガミ言ってしまっては、効果ゼロ。ガミガミ言えば言うほど子どもは萎縮するし、言い続ければやがて反応してくれなくなってしまいます。

保護者自身が感情的になっているときは、しつけはできません。感情のままに、言わなくてもいいことを言ってしまったり、必要以上に強い言葉を投げかけてしまったりするからです。子どもは、言われた言葉の内容ではなく、語気や、親の表情など、非言語を見ています。これらの迫力に圧倒されて親が伝えたい内容はまったく届いていないことがあります。

もし、「今、感情が高ぶっているな」と自分で思ったら、言わないという選択肢を考えてみてください。今言わなくては危ない、周りに迷惑をかける、という場合以外では、自分の感情が落ち着いて、冷静になるまで時間をおくのです。よく「その場でしからないとだめ」と言いますが、感情的にガミガミ言ってしまうくらいなら、時間をおいて落ち着いてから話したほうが有効なのです。

ガミガミ言ってしまう人にありがちな「ダブルバインド」

口うるさく言ってしまうときに陥りがちな現象に「ダブルバインド」があります。ダブルバインドとは、二つの相反することばを相手に投げかけることです。たとえば「勝手にやっちゃだめ」と言っておきながら、いざ子どもが「○○をやってもいい?」と聞くと「それぐらい自分で考えなさい」と言ってしまう…など。子どもは混乱しますよね。勝手にやっちゃいけないのに、自分で考えなきゃいけないのですから。そうすると、子どもは何がよくて何が悪いのかわからないので、ひとつひとつ親の指示を待つことになってしまうわけです。

漢字の書きとりの宿題を「ていねいに書きなさい」と言っておきながら「早くしなさい」と急かしていませんか? これがダブルバインドです。自分の言っていることがダブルバインドになっていないか、今一度振り返ってみましょう。

ガミガミ言わなくても、進んでやる子にするためには

「宿題をやってほしい」「片づけをちゃんとしてほしい」など、親の要求は数多くありますが、まずは、子どもといっしょにルールづくりをしてはいかがでしょうか。

このときに大切なのは、親の都合だけで決めるのではなく、子どもの意見も聞くことです。

「夕飯の前に宿題を終わらせる」というルールを決めたくても、子どもが「夕飯のあとにやりたい」と言えば、譲歩しましょう。子どもが自分で決めたことなら、より守ろうという気持ちが働くからです。

そして、一度決めたルールは、親が率先して守りましょう。たとえば、「夕飯のあとに宿題をする」というルールを決めたならば、夕飯のあとにおもしろいテレビがあっても、録画しておくなどの対策をして、見ないようにします。「今日だけね」とうやむやにしてしまうことが増えると、親の機嫌がいい日はOKで、機嫌が悪いとNG、といった印象を与えてしまいます。ルールを守る子にするためには、親も一貫性をもち、忍耐が必要です。

もちろん、定期的に親子でルールの見直し会議もしましょう。実際にやってみたら、ちょっと難しいこともあります。子ども自身のやる気が出るタイミングがルールに合っていないこともあるでしょう。一度決めたことは必ず守る、という固定観念にとらわれず、臨機応変に調整していくことも、ルールを守る秘訣です。

ルールを視覚化して楽しく守る工夫を

ルールを視覚化すると明確です。このとき、子ども自身がルールを画用紙に書いてはったり、カレンダーを用意して、達成したら好きなシールをはったりするなど、子どもが楽しくできるような工夫があるとより効果的。ノートを作って丸つけしたり、ハンコを押したりなど、なんでもOKです。お子さんと何がよいか話し合ってみてください。間違っても親が書いて壁にはらないようにしてくださいね!

内発的動機づけが自分から進んでやる子の基本

ルールを守る、自分から進んでやる、という行動には「内発的動機づけ」が基本です。親に強制されたものではなく、自分で興味をもち「知りたい」「やってみたい」という意思が行動のもとになっているということです。たとえば「お母さんに言われるから、ピアノの練習をしなくちゃ」は外発的動機づけ。「この曲を上手に弾いてみたいから練習しよう」が内発的動機づけ。行動は同じでも、全然違いますね。

内発的動機付けを実践するには、子どものことをよく見て知っていないとできません。何に興味があって、どんなふうになりたいのか。子どもが興味をもったことを、親も同じように興味をもち、いっしょにやってみることが大切です。子どもの興味・関心がわからないと、集中して何かをやっているのに、「絵本読んであげようか?」などとありがた迷惑なことばをかけてしまい、結局集中力が途切れてしまうことも。ここでも、親の都合だけで考えず、子どもの今の姿をきちんと見極めることが大切なのです。

次回は具体例「勉強や習い事に関するガミガミを改善する方法」をご紹介します。

この記事の監修・執筆者

一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事 大野萌子

一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャⓇ資格認定機関)代表理事、公認心理師。防衛省初のハラスメント教育担当。著書「よけいなひと言をわかりあえるセリフに変える親子のための言いかえ図鑑」(サンマーク出版)、「1ステップで気分があがる 気持ちのきりかえ事典」(扶桑社)など。そのほかメディア出演多数。https://japan-mental-up.biz/

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