小学校3年生になるとチラチラ目にするようになる「中学受験」や「塾選び」の文字。我が子には、整った環境で質の良い教育を受けてもらいたい! そう考える保護者は多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で「中学受験」に対して“大変そう”や“ついていけなさそう”、“うちの子には無理そう”といった不安の声も少なくありません。実際、学校では習わない“中学受験用”の勉強内容は、時に親をも頭を抱えさせる難題が多く、子ども自身の努力はもちろん、サポートする親の努力・協力がマストと言っても過言ではないでしょう。
それに加え、中学受験に挑むためにほとんどの家庭が子どもを中学受験専門の塾に通わせ、決して安くない授業料を納めます。高学年にもなると夕食代わりとなるお弁当を作って持たせ、子どもは週の大半を夜遅くまで塾で過ごすことになります。
そんな苦労をともなう中学受験を実際にしてみてどう思ったのか、受験をするならいつから準備を始めるべきなのか、中学受験経験者のママたちにそのリアルを聞きました。
「きっかけはさまざまでも、中学受験を最初に考えたのは“子ども本人”が多数」
何かしらのきっかけがないとかんたんには踏み込めない中学受験。今回のアンケートで中学受験を最初に考えたのは誰だったのかをうかがったところ、意外にも「子ども本人」という回答が過半数を占める結果となりました。
「塾に通う友だちの影響」という回答や「近所に私立中学があり、その生徒の様子を見て通いたい!と言ってきた」という回答、「◯◯をやりたいからそれに強い△△中学に行きたい!」といった意見が上位を占めた中で、受験というイベントは誰もが通らねばならない試練だということを知り、「早く終わらせて中学生以降をゆっくり過ごしたいと本人が決めた」といった回答も見られました。
しかし、どの家庭にも共通していたのは“中学受験という道があること”を子どもに伝えた、または、子どもが何かしらの手段でその選択肢を知っていたということ。親が“無理”だと決めてしまう前に、まずは子どもと話し合ってみることが大きな分岐点になりそうです。
「通塾開始時期は、小学校3年生の2月がダントツ!」
中学受験を考え始めるとともに通塾を開始するご家庭が多かった今回のアンケート結果では、小学校3年生の2月がダントツ上位という結果に。多くの進学塾では2月を学年の区切りとしているため、新小学校4年生として扱われる小学校3年生の2月に通塾=受験勉強をスタートさせたご家庭が全体の90%を占めました。
一方で、「小学校6年生の夏期講習」という回答や「小学校5年生の春」という回答があったのも事実。その多くは「子ども自身が突然受験したいと言い出した」という理由からでした。
いわゆる御三家と呼ばれる学校や難関校を目指した家庭の多くは、小学3年生の2月にスタートを切っているケースが大半でしたが、「小学5年生の秋から通塾し、難関校に合格した」という激レアなケースも! また、難度や偏差値で学校を測るのではなく、各学校が持つ特色を調べあげ、我が子に最適だと思える学校を見つけた上で中学受験に挑んだという回答も見られました。
近年は、その後者の受験者数が増加傾向にあり「ゆったり中学受験」や「のんびり中学受験」という名で注目されているそう。各学校の魅力をはじめ、親が中学受験および中学校の特色を“知る”ことがはじめの一歩になりそうだと、アンケート結果からもうかがえます。
「小学6年時の通塾回数は週4日。自宅学習時間は6〜8時間が最多!」
7日間しかない1週間のうち、本格的な受験生となる6年時は、「4日間、通塾していた」とほぼ全員が回答しています。前述の通りその4日間は、親が夕飯となるお弁当を作り塾への送迎をするわけですが、厳密にいうとその4日間は授業が行われる日数であり、授業がなくても塾の自習室を使って講師に質問をしながら自学の時間を過ごすことが多いそう。つまり塾自体が閉まっている日以外すべて通塾していたという回答が最も多いという結果になりました。
さらには、塾にほぼ毎日通っているにもかかわらず、自宅での学習時間も「6〜8時間」という回答が最多という結果に。登校前に1時間〜1時間半、帰宅後にその残りとなる時間をかけて復習や苦手箇所の克服に取り組むという毎日が6年生の日常だそう。
ここだけを知ると「やっぱり中学受験は大変」と思ってしまいます…。が、6年生になる頃には子ども自身が「苦」の状況ではなく「絶対、合格したい!」というプラスの気持ちで溢れていたという意見も多く見られました。現に受験期を振り返ると「子どもと一体となって”中受と戦っている感覚”があったので、受験が終わったあとは親子どもと共に“ロス状態”になった」という方もいたほど。
親のサポートが必要なのが中学受験なのではなく、子どもとひとつの目標に向かって共にがんばることができるのが中学受験だと考えることができる結果でした。
「中学受験に挑んで良かった! が99%‼︎」
受験が終わるまでは、休日のレジャーだけでなく、塾以外の習い事はセーブするまたはやめるという選択をしがちな中学受験。それでも受験を終えた方を対象に行った今回のアンケートでは、「その合否にかかわらず中学受験をして良かったと思っている」、または、「大変良かったと思っている」という回答が寄せられました。
「途中で中学受験をやめようと考えた」というご家庭も見受けられましたが、結果として継続の道を選んでいるご家庭が多く、やめようと悩んだ主な理由には下記の意見が上位にあがりました。
・成績が伸び悩み、がんばっているのに偏差値が上がらないことに親子そろって心が折れかけた
・子どもなのに遊ぶことを我慢させることにそもそもの疑問がうまれた
・本人のやる気が失せ、塾の宿題をこなせなくなった
そして、続けるよう声かけしたご家庭からは
・途中で投げ出すことはさせたくなかった
・結果はともあれ、一度始めたことは、最後までやり通してほしかった
という意見が散見しました。
「中学受験、完遂するには何が大事!?」
小学3年生の2月(塾では新4年生になるタイミング)に入塾し、年齢にするとわずか8・9歳の小学生が受験勉強を始めていたことがわかった今回のアンケート。
本番という名の受験日まで3年間も走り続け、ゴールテープを切った受験生と併走した親たちは「困難を乗り越える精神力が鍛えられた」「やればできるという自信をつけてあげられた」と、その3年間を振り返ります。
最後は、そんな保護者たちが明かした“中学受験を完遂するために必要だと思ったこと”と“最も苦労したこと”のエピソードをご紹介します。
完遂するために必要だったと思うこと
- 成績が伸びなくても、下がっていないだけで子どもは十分努力していると気づくこと
- 子どもへの声かけは、親ではなく塾の先生を頼る!
- 成績の上下に振り回されることなく、気持ちの切り替え方を子どもと共に習得すること
- 子ども本人の意思は常に確認すること
- 余計な口出しをしないようにすること。模試などのテスト結果については、責めることもしなければ、ものすごくほめることもしなかった
- 周りに合わせるのではなく自分の子どもに合った学習方法や学校選びの情報収集をすること
- 塾からの電話や周りからの圧力に負けず、常に子どものペースを見て親が判断すること
- 塾は近いに越したことはないが、体験制度を使って我が子に合った塾選びをすること
最も苦労したこと
- 兄弟のフォローに苦労した。受験する子に合わせたスケジュールになりがちだった
- 勉強が教えてあげられないほど難しかったので、自分も一緒に勉強した
- 塾代が思った以上に高額だった。オプションについては、冷静に判断すべき
- 偏差値が最後まで届かなかった学校に対して、無理と判断すべきか挑戦させるか夫婦の話し合いに苦労した
- 今となれば子どもといっしょにで同じ目標に挑める貴重な時間だったと思えるが、つきっきりでの家庭学習は、時間と気力をかなり削られつらかった
- わからないことは、恥ずかしいことではなく、知ったかぶりが取り返しのつかない事態を招くということを本人に自覚させるのに苦労した
- 子どもの“わからない”に寄り添えるよう、自分も同じ問題をひたすら解いたこと
- 息抜きは必要だと頭でわかっていても、つい「勉強しなくてだいじょうぶ?」と声をかけてしまいそうで葛藤した。
子どもが3年間通い、1日の大半を過ごすことになる「中学校」という環境。中学受験をするかしないか迷った場合は、まず中学校の中身を知ることが大切なポイントになります。中学受験をしたご家庭のリアルを参考に、子どもがどのように成長してほしいのか、子ども自身がどのような環境で過ごしたいのか、子どもといっしょにしっかりと話し合ってみることもおすすめです。
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