【葉っぱに毒!? 色が変わる!?】アジサイのひみつに迫る!

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【葉っぱに毒!? 色が変わる!?】アジサイのひみつに迫る!

梅雨時に色とりどりの花を咲かせて私たちの目を楽しませてくれるアジサイ。
公園や寺院など、各地にアジサイの名所もあり、人気の花のひとつといってよいでしょう。また、おもしろい特徴もあります。
梅雨のひととき、お子さんとともに、アジサイに目を向けてみてはいかがでしょう。

目次

アジサイはどんな植物?

アジサイの種類

日本には、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイなどの種類が自生し、多くの園芸品種がつくりだされ、栽培されています。セイヨウアジサイと呼ばれるものもありますが、これはもともと日本に自生していたアジサイがヨーロッパに持ちこまれて品種改良されたのちに再び日本に持ちこまれたもので、日本原産のアジサイと特に異なる特徴があるわけではありません。

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ガクアジサイからつくられたアジサイ

ガクアジサイの花は、中央に細かい花の集まりのような部分があり、その周りを大きめの花が囲んでいるように見えます。中央にある花は、両性花という花で、おしべとめしべがあり、小さな花びらとがくが5枚あります。一方、周りを囲む花は、がく片が大きく発達して花びらのようになったもので、装飾花と呼ばれます。飾りのような花という意味ですね。おしべやめしべはありますが、めしべが成熟しないので実をつけることもありません。
品種のひとつとしてのアジサイ(ホンアジサイとも呼ばれる)は、自生するガクアジサイからつくられた園芸品種です。ガクアジサイからつくられたアジサイは、両性花がまったくないか、ほとんどなくなっています。

寺院で栽培されているアジサイ
寺院で栽培されているアジサイ

昆虫をおびき寄せる花

ガクアジサイの周りの装飾花は、よく目立ち、私たちの目を楽しませてくれます。装飾花は、昆虫たちにとっての食べ物である花粉があることを知らせる役割をしています。目立つことで両性花に昆虫をおびき寄せるのです。ガクアジサイには、ハナバチやハナアブ、甲虫などが花粉を集めたり食べたりするために寄ってきます。ただし、蜜は出さないので蜜を吸うチョウはやってきません。
一方、ガクアジサイからつくられたアジサイは、両性花がほとんどなく、人間には目立ちますが、花や蜜を目当てにする昆虫たちはやってきません。

中心の両性花を装飾花が取り巻くガクアジサイ
中心の両性花を装飾花が取り巻くガクアジサイ

アジサイのおもしろい特徴

花の色の七変化

アジサイの花の色は、よく変わることで知られています。これには、アジサイが育つ場所の土壌の酸性度が関係しています。土壌の酸性度が高いと花が青く、アルカリ性に近くなると赤くなることがわかっています。花の色は、土壌に含まれるアルミニウムが吸収されるかされないかで決まるからです。酸性の土壌ではアルミニウムがとけだし、アジサイが根からそれを吸収するために青くなります。アルカリ性寄りの土壌ではアルミニウムがとけず、アジサイに吸収されないので花は赤くなります。
同じ株でも青い花と赤い花があるのは、花の咲く位置によって根から送られてくるアルミニウムの量が違うからだと考えられます。
また、通常は青い花が咲くアジサイが、コンクリートの建物の近くだと赤くなることがあります。コンクリートの近くでは土壌がアルカリ性になるからです。

日本とヨーロッパでは異なる花の色に

日本の土壌は弱い酸性であることが多く、ヒメアジサイは、青い花をつけます。ところが、ヒメアジサイをヨーロッパに植えると、赤い花が咲き、「ロゼア」という名前で出回っています。これは、ヨーロッパにはアルカリ性の土壌が多いためです。
鉢植えのアジサイを地面に植えると花の色が変わることがあるのも土壌の性質の違いによります。
ただし、花の色は、花がもともともつ色素にも左右されるため、土壌の性質の影響を受けない品種もあります。

ヒメアジサイの花
ヒメアジサイの花

葉に毒をもつアジサイ

アジサイ類の葉は卵のような形をしており、肉厚で光沢があります。緑の色が鮮やかなので、料理に添えてもよく引き立つように思います。しかし、これは好ましくありません。なぜなら、アジサイの葉には毒性のある成分が含まれているからです。食べると吐き気やめまいがするといわれています。厚生労働省のホームページでも注意を呼びかけているので、お子さんなどが誤って葉を口にしないようご注意ください。

アジサイの文化

和歌や絵画とアジサイ

園芸品種のアジサイのもとになったガクアジサイは日本原産で、古くから日本人にはなじみがありました。『万葉集』には、大伴家持と橘諸兄が1首ずつの歌をよんでいます。しかし、梅や桜ほど歌にはよまれておらず、平安時代以降の和歌に登場するのは数えるほどです。安土桃山時代から江戸時代にかけては絵画に描かれるようになりました。江戸時代後期の著名な浮世絵師である葛飾北斎もアジサイにやってくるツバメの絵を描いています。

人気になったのは第二次世界大戦後?

江戸時代は庶民にも園芸が広まり、多くの園芸書も書かれています。ツバキやキク、ボタンのように多くの品種が解説された書物がありましたが、アジサイに関する園芸書はほとんどといってよいほどありません。花の色が変わることが、心移りにつながってよく思われていなかったためとする説もあり、あまり人気のある花ではなかったようです。この傾向は、明治時代、大正時代も続いていました。アジサイの人気が高まるのは第二次世界大戦後になってからのようです。

ヨーロッパに渡ったアジサイ

日本のアジサイを初めてヨーロッパに紹介したのは、18世紀に長崎の出島に滞在したスウェーデンのツンベルクとされています。さらにドイツの医師で博物学者でもあったシーボルトも、アジサイをヨーロッパに持ち帰ったといわれます。こうして持ちこまれたアジサイはヨーロッパで人気を呼び、さかんに品種改良が行われました。これらのアジサイはセイヨウアジサイとして日本にも逆輸入されることになったのです。

身近な草花にもいろいろな見どころがあり、科学的な興味もそそられます。植物の不思議について、お子さんとともに話し合ってみるといいですね。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

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