【虹はどうしてできる?】“空のかけはし”のナゾに迫る!

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【虹はどうしてできる?】“空のかけはし”のナゾに迫る!

空に虹がかかっているのを見るとうれしくなる人も多いのではないでしょうか。
どうして虹が見えるのか、不思議ですね。
虹のような大気現象に目を向けることで自然への興味や関心が高まります。
虹について調べてみましょう。

文/こそだてまっぷ編集部 ・ 監修/武田 康男

目次

虹ができるわけ

水滴が太陽の光を分ける

虹がどんなときに見えるか思い出してみてください。虹は雨が上がったすぐ後に目にすることが多いですよね。雨はまだ近くで降っていて、空気中に水滴がたくさん浮かんでいます。そこに太陽の光があたり、光が水滴によって色分かれしてカラフルに見える現象を虹と呼んでいます。
太陽の光は、まぶしい白い光として認識されますが、実はたくさんの色の光が混ざっています。それぞれの色の光は、水滴に出入りするときに屈折(光が折れ曲がること)や反射をして私たちの目に届きますが、光の色によって屈折する角度が異なるために、多数の色に分かれて、紫色から赤色までの虹として見えるのです。

虹ができるしくみ
虹ができるしくみ

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虹の見え方

このように虹は、太陽の光が水滴によって分けられて見える現象なので、雨の前後によく見られるのです。また、太陽と反対の方向に見られます。
虹が雨の粒と関係があることは古くからわかっていたようで、英語で虹を表す「rainbow」は、「rain(雨)」と「bow(弓)」からきています。半円や弓のように見える虹の内側から外側に紫色から赤色の光が並んで見えます。
また、空気中の水滴が多いときは虹の色はあざやかになり、水滴が小さいときは色がはっきりしなくなります。

虹は何色?

虹の色はいくつでしょうか。よく「七色の虹」といわれるので、7色に決まっていると思うかもしれません。しかし、先ほども述べたように、太陽の光はたくさんの色の光が混じったものであり、色の数が決まっているわけではありません。
日本では虹の色を「赤橙黄緑青藍紫」の7色と覚えている人が多いようですが、虹の色をいくつとみなすかは、時代や国・地域によって異なります。日本で虹を7色とするのは、太陽の光をプリズムで分ける研究をしたニュートンが7色と記述したことが影響しているといわれます。
実際に空に見える虹は、3色から5色に見えるのが普通で、7色を見分けることはかなり難しいことです。

虹についての深い話

二重の虹がある!

たまに、はっきりした虹の外側にもうひとつ、光が弱めの虹が見えることがあります。このような場合、はっきりしたほうを主虹(しゅにじ)、外側の光が弱めの虹を副虹(ふくにじ)と呼びます。太陽の光が空気中の水滴の中で1度反射してできる虹が主虹、2度反射してできる虹が副虹です。
副虹は主虹の2倍くらいの幅があり、主虹とは色の並び方が逆になっています。

主虹と外側に見える副虹
主虹と外側に見える副虹

虹は半円形?

地上から見える虹は、大きいときはかまぼこの断面のような半円形ですが、元は円形をしています。しかし地面があるので、私たちは上の部分だけを見ていることになります。
高いタワーや山から見下ろしたり、飛行機などに乗ったりして見える虹は、かなり下の方まで丸く見ることができます。

雨上がり以外に見える虹

虹は雨上がりによく見られますが、それ以外にも見ることができます。滝が滝つぼに落ちたときの水しぶきや、海の大きな波から飛んだ水しぶき、噴水の水しぶきなど、水滴に太陽の光が当たれば虹が見えることがあります。
この原理を利用して、自分で虹をつくることもできます。晴れた日に太陽を背にして霧ふきを持ち、水をふき出すと、水滴が空気中に浮かんでいる間は虹を見ることができます。太陽の光がさしているときに、庭などで試してみてください。

珍しい月虹(げっこう)

虹は太陽の光でできるものだけではありません。月虹といって、満月前後の明るい月の光によってできるものもあります。通常の虹に比べてうすく、色はほとんどわかりません。
月虹はたいへん珍しく、ハワイでは「月虹を見ると幸せになる」という言い伝えがあるそうです。

虹のものしり話

虹が多いハワイ

アメリカのハワイ州は、よく虹が見られることで知られています。海からの風でできた雲からにわか雨が降りやすく、朝夕でも太陽の光が強くさすからです。
ハワイは「虹の州」と言われるように、虹が象徴的に考えられており、ナンバープレートにも虹が描かれています。

ハワイで見える虹
ハワイで見える虹
ハワイのナンバープレート
ハワイのナンバープレート

虹はヘビ?

「虹」という漢字は「むしへん」です。虹と虫は関係ないようですが、なぜ「むしへん」なのでしょうか。古代中国では、虹はヘビや竜だと考えられていたようです。主虹をオス、副虹をメスと考えていたようです。「むしへん」はヘビのような小動物を表す漢字に使われます。「虹」の「工」には「貫く」という意味があります。「空を貫くヘビ(竜)」というところから「虹」という漢字ができたとされています。
虹についての伝説は世界各地にあるので、調べてみるのもおもしろいですね。

雨上がりに見える虹にも、さまざまな科学的なしくみや文化が関わっています。身近な気象現象について、お子さんとともに話し合ってみるといいですね。

この記事の監修・執筆者

武田 康男

気象予報士・空の探検家。1960年、東京生まれ。東北大学理学部卒業。元高校教諭。第50次日本南極地域観測隊員として南極で越冬観測を行った。著書に『虹の図鑑—しくみ、種類、観察方法』『今の空から天気を予想できる本』(緑書房)など。

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