【ニュースで聞く「ナフサ」って何?】くらしを支えるエネルギー❝原油❞について詳しく知ろう――燃料・化学製品・道路建物まで――
最近、特に「原油価格の高騰」「ガソリン代の値上がり」「ナフサの不足」などといったニュースが増えています。背景にはイラン戦争による中東地域の情勢不安・緊張があり、原油の供給が不安定になっていることが大きな原因のひとつです。このように原油はエネルギー資源として、私たちの生活に直結する存在です。そんな原油について、わかりやすく解説します。
イラスト/伊東ぢゅん子 取材・文/細川麻衣子
原油って何? どうやってできたの?
原油は、数千万年から1億年以上も前の海にいたプランクトンや小さな生き物の死がいがもとになっています。これらが海の底に積もり、土や砂に覆われていく中で、地中の強い圧力と高い温度を受け、長い時間をかけて少しずつ変化していきました。こうしてドロドロとした黒い液体である原油が生まれたのです。
原油は地下1000m~3000mほどの深い場所にあり、水を含んだスポンジのような岩のすき間にしみこんでいます。その上に無数の固い岩などが覆うように蓄積されているので、地中にたまっている状態なのです。このように原油が集まっている場所を油田(ゆでん)と呼び、地上から井戸のように深く掘ってくみ上げています。

つまり原油は、地球がとてつもなく長い時間をかけてつくった、とても貴重なエネルギー資源※なのです。
※エネルギー資源/電気や熱、動力を生み出すもとになる資源。ガソリンや灯油のもとになる原油をはじめ、石炭、天然ガスなどの化石燃料のほか、太陽光・風力・水力・地熱などの再生可能エネルギーや、原子力などがあり、発電や交通、生活のさまざまな場面で利用される。
原油は何に変わるの?――燃料編
くみ上げられた原油は、そのままでは使うことができません。まずは製油所で加工します。製油所では原油を高い温度で熱し、蒸留(じょうりゅう)という方法で重さや沸点の違いによって分けていきます。
軽いものから順にLPガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などに分かれ、それぞれ用途が異なります。たとえばガソリンは車、灯油はストーブ、重油は船の燃料などに使われます。
【原油からできる石油製品】
●LPガス(家庭用プロパンガスなどの燃料)
●ガソリン(自動車の燃料)
●ナフサ(プラスチックや合成繊維などの原料)
●ジェット燃料油(飛行機などの燃料)
●灯油(ストーブなどの燃料)
●軽油(バス・トラックなどの燃料)
●重油(船や発電所の燃料)
このように原油は加工されることで、私たちの生活に欠かせないさまざまな石油製品に生まれ変わるのです。(ちなみに「石油」は、原油を精製してできるさまざまな油の総称で、上記のガソリンや灯油、軽油などのことを指します。)
原油からできるものはこんなにある!――製品編
原油から作られるものは、ガソリンなどの❝燃料❞だけではありません。実は、私たちの身の回りの多くの❝製品❞に使われています。たとえば、ペットボトルや食品トレー、ビニール袋などのプラスチック製品をはじめ、洋服に使われるポリエステルなどの化学繊維、タイヤやゴム製品、道路をつくるアスファルトなども原油から生成されるナフサを原料として作られています。つまり原油は、「エネルギー」としてだけでなく、ものを作る「材料」としても大活躍しているのです。
【原油(主にナフサ)から作られる製品・日用品の例】
●学校・学習で使うもの
・下じき、定規、筆箱
・ボールペンやシャープペンの部品
・消しゴム
・ランドセルのバックル(留め具)
●遊びに関係するもの
・サッカー、バスケット、バレーボールほか、球技全般に使われるビニールボール
・ブロックやプラスチック類のおもちゃ
・ゲーム機(外側)
・シール・ビーズなどの製品
●その他くらしのなかにあるもの
・ペットボトルやお弁当の容器、食品トレー・レジ袋
・シャンプーや洗剤のボトル、歯ブラシ
・ポリエステルやフリース素材の化学繊維が使われた衣服類
・自転車のタイヤや道路のアスファルト
このように原油は、目に見えるものから気づきにくい部分まで、さまざまな形で私たちの生活を支えている大切なものなのです。
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日本と原油の関係――ほぼ100%が輸入
日本では原油はほとんどとれないため、海外からの輸入にほぼ100%頼っています。特に中東地域(アラブ首長国連邦やサウジアラビアなど)から輸入していて、大きなタンカー船で運ばれてきます。こうして運ばれた原油は、日本各地の製油所で加工され、私たちの生活に届けられます。
しかし、世界で戦争やトラブルが起きると、原油の供給が不安定になり、価格が上がることがあります。その影響はガソリン代をはじめ、食べ物や日用品の値段などに大きく関わってきます。原油を世界に頼っている私たちの生活は、世界の状況に応じて、大きく左右されてしまうということも、知っておくと良いでしょう。
原油の未来と私たちの生活
原油は今現在、生活に欠かせない大切な資源ですが、無限にあるわけではありません。使い続ければ減り続けますし、いつか無くなってしまうかもしれません。また、原油から出来た石油製品は燃やすと二酸化炭素(CO₂)が出るので、地球温暖化の原因のひとつになるとも考えられています。
そのため、太陽光・風力・水力などの「再生可能エネルギー」を使う取り組みが世界中で進められています。また、プラスチックごみを減らしたり、リサイクルを進めたりすることも大切です。
地球温暖化をはじめ、環境問題にも大きく関わってくる原油に対し、これからは頼りすぎず、上手に使いながら地球に優しいくらしを考えていくことが、今の私たちには求められています。
原油は、大昔の生き物から長い時間をかけてできた貴重な資源で、石油製品としての燃料や、プラスチック製品などに姿を変え、私たちの生活を支えています。身近な物の多くが原油とつながっていることを知り、これからの使い方についても考えていくことがとても大切ですね。
この記事の監修・執筆者
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