【閉門、監視カメラ、さすまた】現在の小学校の不審者対策とは?

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ママパパの時代と今とで、事情が大きく変わっていることのひとつが、学校のセキュリティの問題でしょう。今まさに小学校に通う子どもを持つ方にとっては、決して無関心でいられないことです。
現在の学校で行われている不審者対策やセキュリティの状況について、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

目次

閉じられるようになった学校の玄関や校門

お子さんの通う学校では、ふだんのセキュリティはどの程度行われているでしょうか。

現在の小学校では、全国的に見て、登下校以外で児童が学校にいる時間は校門を閉めているところが多いのではないかと思います。校門が閉まっていれば、それだけで心理面で「壁」となり、不審者侵入などへの抑止効果があるからです。

東京都の学校では、インターフォンや監視カメラが設置されている所が多く、日中、部外者が学校に入るときは、インターフォンを押して解錠してもらって入るようになっています。

20年ほど前まで、多くの学校では、子どもがいる時間に校門や玄関が閉じられることはほとんどありませんでした。でも、ある時期を境に、いつでも、どの学校も日中は校門を閉じるようになりました。そのきっかけが、2001年に起きた大阪府の池田小学校の事件(※)です。

小学校の現場にいる者にとって、あれはとてもショックな事件でした。校門も玄関も開放されていて、誰が入ってきてもよいという、いわば性善説に基づいた環境の小学校に入り込んで犯罪を犯す人が現れたということが信じられませんでした。

事件以降は、閉門以外にも、学校では様々な不審者対策が行われるようになっています。例えば、東京都の学校で行われているのは「不審者訓練」です。不審者が学校に入り込んだことがわかったら、学校独自の符丁(例:△△からおこしの○○さんが、玄関におります)などで、不審者を刺激しないように校内放送をして、児童はすみやかに避難したり、隠れたりする練習をしています。

また、都内の学校では、どの教室にも「さすまた」が備えられており、教職員は、警察の協力のもとで使い方の研修もしています。もちろん私も研修を受けています。

保護者からは、「監視カメラ設置だけでは安全ではないから、それを常にチェックしている人が必要では?」という声もあります。しかし、学校の教職員はそれぞれ仕事があり、カメラのチェックに専念できる人員は学校にはいないというのが現実です。

それに、捨て身で悪事を働く者は、どんなに防犯を堅くした状況でもやり遂げようとするもの。そういう意味では、100%完璧なセキュリティを求めても、実現するのは難しいと感じます。

※大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男性が侵入し、8人の子どもが亡くなり、教師を含む15人が重軽傷を負った事件。

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「わが子が通う場所」から「地域にとって大切な場所」へ

昨今の状況を考えると、子どもの安全を守るための対策やセキュリティは必要でしょう。ただ、学校を閉じることがあまりに行き過ぎると、かえってデメリットになる面もあるのではないでしょうか。

学校、特に公立の学校は、地域とともにあるものだと思います。子どもが集まるということで、物理的にも心情的にも地域の核になる場所と言ってもいいでしょう。地域の人たちがかかわり、たくさんの目に見守られていることで、犯罪が抑制されている部分もあるはずです。

その意味で、朝、登校した子どもたちが学校に入るまで、何らかの形で見守りをしてくれるといった地域の皆さんのご協力は、本当にありがたく感じられます。

今は「保護者」として、学校にかかわっている皆さんにも、日ごろから、「自分の子どもが通う場所」だからというだけではなく、「学校は地域にとって、なくてはならない場所」と考えていただければと思います。

そして、少し話が早いかもしれませんが、子どもが卒業して学校とは直接かかわりがなくなってからも、「地域の人」となって、学校の子どもたちを見守っていってください

例えば、自治体からの交通安全指導員の派遣や保護者による交通指導や登校班の付き添いはもちろんのこと、小学生の子どもがいない家庭でも、路地に出て、そうじをしたり、植木に水をやったり、犬の散歩をしながら、子どもの登下校を見守ってくださる地域があります。

このように、それぞれができる範囲で、学校に通う子どもを育てていくという意識を持っていくこと、それが学校のセキュリティのひとつの方法ではないかと思います。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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