手洗い、うがい、歯みがき、早寝早起きなど、お子さんに身につけて習慣にしてほしい“体のケア”はたくさんありますね。
一つひとつのケアを、お子さんが正しい方法で自分からできるよう導くことは子育てにおいて大切です。
とはいえ、日々の生活の中では、「早く手を洗いなさい!」「歯みがき終わらせて!」など、強い口調で無理やりやらせてしまう場面が多いかもしれません。
「お子さんが“体のケア”を自発的に行うために、活用してほしいのが絵本です」と話してくださったのは、幼稚園・小学校での教諭経験もある千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生です。幼児にオススメの4冊の絵本を紹介していただきました。
自分の体に向き合う知識を身につけよう
どうして“体のケア”が大切なの?
お子さんに“体のケア”について伝える際は、ケアの方法といっしょに、なぜそのケアが必要なのか、その理由も伝えるようにしましょう。
たとえば、外出から戻ったら、手洗いやうがいをするのはなぜなのか、それをおこたるとどうなるかを理解すれば、お子さんも自主的に取り組むようになります。
「手を洗うと、病気のもとになるばいきんを洗い流せるよ」「うがいをしてのどをしめらせると、ばいきんがのどで増えないよ」など、繰り返し伝えましょう。
さらに、絵本で視覚的に訴えることが、お子さんの理解の助けになります。
体をケアして健康を保ち、病気を防ぐための基本的な知識が幅広く紹介されている絵本を紹介します。
『一生つかえる!おまもりルールえほん びょうきのよぼう』
手洗いやうがいはもちろん、バランスのよい食事をとること、夜ふかししないでよく寝ること、運動することなど、病気にまけない体をつくるためのルールも書かれています。親子でひとつひとつ確かめながら読んでみてください。
“体のケア”の必要性がわかると、お子さんの中で「自分の健康のために、自分で体を大切にしよう」という気持ちが育ち、能動的に取り組むようになるでしょう。
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けがなどに冷静に対応できるように
毎日の“体のケア”に加え、お子さんに身につけてほしいのが、ハプニングの時の“体のケア”です。
転んだり、熱いものを触ったりと、お子さんの生活にはさまざまなことが起こります。出血や痛みでパニックになってしまうお子さんも多いでしょう。
けがややけどをしたとき、泣いて大人が手を貸してくれるのを待つのは自然なことですし、すぐに大人に知らせるのも大切なことです。しかし、長い目で見て成長を考えると、毎回ショックを受けてパニックになるのではなく、ある程度は冷静に自分で応急処置を考えられるようになることも必要です。
痛い目にあったとき、自分の体に起こっていることを感じながら、どうすればいいのかがわかる絵本があります。
『かがくのともの きゅうきゅうばこ 新版』
擦りむいて傷ができたら、ばいきんが入らないよう傷口を洗う、やけどをしたら水で冷やすなど、思いがけないことが起きた場合に、どうしたらよいかという知識が身につきます。鼻血が出たらどうするか、とげが刺さったらどうするかなど、大人に助けてもらうことを前提としても、自分で対処する方法を知っていれば、冷静に状況をとらえることができます。
ドアに手を挟んだ際や、骨折したかもしれない場合の応急処置など、おうちのかたにも役立つ内容がたくさん紹介されています。
正しい歯みがきは、一生の宝
ただみがくのではなく、正しくみがく方法って?
“体のケア”の中でも、歯みがきは大きなテーマです。乳歯のときから気をつけ、虫歯のリスクを減らし、健康な永久歯が生えるよう導きたいものです。
虫歯の原因になるばいきんや、穴が開いた歯など、視覚的なインパクトも強いので、歯みがきを扱う絵本は多いですね。
今回紹介するのは、「歯をみがいていても、虫歯になってしまうのはなぜか」がわかる絵本です。
『知ってびっくり!歯のひみつがわかる絵本 じょうずな歯みがき』
歯に関する正しい知識がよくわかる絵本のシリーズの1冊です。同じシリーズに、『むし歯のしょうたい』『歯いしゃさんはこわくない』があります。
歯ブラシできちんとみがいているつもりでも、歯の隙間に食べかすが残っていたら、そこから虫歯になります。ただゴシゴシとみがくのではなく、歯ブラシの正しい持ち方ややさしく丁寧にみがく方法がわかります。
鼻呼吸を習慣づけよう
鼻呼吸と口呼吸
お子さんが鼻で呼吸をしているか、口で呼吸をしているか意識したことはありますか?
鼻呼吸では、鼻毛などの働きで、吸った空気からウイルスやばいきんが取り除かれ、加温・加湿されて肺に送られます。一方、口呼吸では、ウイルスやばいきんを含んだ空気が、乾燥したままのどを通って肺に入るので、鼻呼吸に比べて病気になる可能性が高まります。
もし、お子さんが口を開けていることが多いなら、口呼吸をしているかもしれません。お子さんに鼻呼吸の習慣をつけることも、大事な“体のケア”です。
鼻呼吸の重要性がわかりやすく伝わる絵本があります。
『はないきおばけと くちいきおばけ』
鼻で息する「はないきおばけ」と、口で息する「くちいきおばけ」が山のてっぺんまで競争します。最初の勢いは「くちいきおばけ」がまさっていましたが、徐々に疲れが出始めて、「はないきおばけ」に抜かれてしまいます。
鼻呼吸と口呼吸の違いや、鼻呼吸の仕方、口呼吸から鼻呼吸へ変えていくための「あいうべ体操」も紹介されているので、ぜひ手に取ってみてください。
お子さんが、積極的に自分の“体のケア”に取り組む助けになる絵本を紹介しました。
おうちのかたの健康にも役立つ情報が詰まっています。お子さんといっしょに読んでみてくださいね。
この記事の監修・執筆者
富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。
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