「そろそろ習い事を始めてみようかな?」「人気の習い事は?」「どう選んだらいいの?」「何歳くらいから始めたらいいの?」
そんな習い事に関する疑問に、幼児期の家庭教育にくわしい、田宮由美先生に答えていただきました。
お話:田宮 由美(家庭教育専門家)
第1位は「水泳」!定番人気の習い事4つと、そのメリットは?
満4歳から6歳を対象にした、学研教育総合研究所の「幼児の日常生活・学習に関する調査」(2019年8月)によると、就学前から習い事をしている子どもは約56.8%と、半数以上。
人気の習い事は、1位「水泳」(22.2%)、2位「英語塾・英会話教室」(11.8%)、3位「体操教室」(11.3%)、4位「音楽教室」(9.8%)でした。
この順位は、前回(2017年)調査と変わりませんが、それぞれ全体に占める割合が増えています。
では、なぜ「水泳」「英語・英会話」「体操」「音楽」の4つが、人気なのでしょうか?
1位:水泳 基礎体力の向上&心肺機能・免疫力もアップ!
「小学校でのプールの授業の時に役立つことを保護者の多くは願っていると思いますが、それだけでなく、海水浴やプールなどで水難事故にあった時、自らの命を守る大切な技術習得にもつながる、といったことも継続した人気の理由でしょう」
【水泳で育つ力】
- 水泳の技術や基礎体力の向上
- 全身の筋肉を鍛えることで、心肺機能の向上や免疫力も高まる
- 集中力や持続力
- 体温調整機能が強化され、かぜをひきにくくなる
2位:英語・英会話 ネイティブの発音に慣れ、小学校の授業もスムーズに
「グローバル化が進んでいる今、英語を身につけておくことが必要と考える人がより多くなっています。また、2020年度からは、小学校でも英語が教科として位置づけられ、評価がつきます。そうした状況をふまえ、早くから英会話や英語に慣れ親しんでおくことは、スムーズな英語学習への取り組みにつながるでしょう」
【英語・英会話で育つ力】
- 英語力だけでなく、対話力やコミュニケーション能力の定着
- 英語への関心が高まることで、小学校の英語(外国語)の授業にも抵抗なく取り組める
- 海外の言語や文化への理解
3位:体操 体の動かし方を知る 柔軟性やバランス感覚、瞬発力が身につく!
「サッカーや野球などは、自宅でも用具を用意しやすく、気軽に始められますが、マットや跳び箱、鉄棒などを用意するのはなかなか難しいですね。小学校に入って初めて見る、というお子さんもいるようです。体操教室に通うと、早くからいろいろな用具に慣れることができ、小学校の体育への不安がなくなり、得意になることも期待できます。専門家の指導のもと、走ったりジャンプしたりといった、運動する際の基本的な体の動かし方を体得することもできます」
【体操で育つ力】
- 体の柔軟性やバランス感覚、瞬発力の向上
- 指導者の話を聞く姿勢
- 「できた!」という感覚がわかりやすいので、達成感が得られ、自信にもつながる
4位:音楽教室 感性を育みながら、脳へのよい刺激にも
「小学校での音楽の授業に役立つだけでなく、音楽に触れることは、子どもの感性を豊かに育みます。将来、歌うことや楽器を演奏すること、音楽を聴くことなどを楽しめる基礎となり、音楽を通して人生をして豊かにしてくれるでしょう」
【音楽教室で育つ力】
- 楽譜を読み、演奏したり、音程をつけて歌ったりする力
- 脳から各機能に「歌う」「(楽器を)演奏する」などを伝達する動きにより、脳を刺激し、鍛える
- 脳の刺激により、学力やスポーツにもよい影響を与える
習い事を始めるのに、適した時期はいつ?
その習い事に子どもが興味をもった時が、習わせるよいタイミングだといえます。それが、習い事のスキルを上げ、楽しく長続きさせる秘訣です。
また、子どもの成長や発達には個人差があり、一概に習い事を始めるのは何歳から、とは言い切れません。次に示した年齢は、あくまで目安として、お子さんの様子をよく見て考えましょう。
【水泳】親子一緒なら生後半年。1人でならば4、5歳頃から
生後半年くらいから、親子一緒にプールに入る「ベビースイミング」もありますが、1人で水に入るレッスンは、指導者の話を聞くことができて、指示に従えるようになる(幼稚園などにも慣れた)4歳~5歳頃からが目安でしょう。
【英語・英会話】ネイティブの発音に慣れるならば、2歳頃から
早くからネイティブの英語の発音に慣れることは、英語の習得にも効果があるといわれています。遊び感覚で、2歳頃から始めてもよいでしょう。
【体操】子ども1人で参加するならば、4歳頃から
親子で触れ合ったり、体を動かしたりするクラスのある教室もありますが、子どものみで行う場合は、これも指導者の話を聞くことができ、指示に従って行動できる4歳頃からがよいでしょう。
【音楽教室】音楽を楽しむなら2歳頃、楽器演奏は5歳頃から
音楽に慣れ親しむことを目的にするのなら、2歳頃からでも。楽器演奏となると、楽器の種類にもよりますが、先生の指示に従って行動でき、ある程度指がしっかり動かせるようになる5歳頃からがよいでしょう。
始める前に確認! 子どもたちの様子、教室や指導者の様子etc.
習いたい事が決まったら、まずは、体験や見学に行って、その場の雰囲気を確認しましょう。
【チェックポイント】
- 子どもたちは、イキイキと習い事に取り組んでいるか?
- 教室や施設内の掲示物は、季節に合った最新の物か?
- 指導の理念や、指導計画に無理がないか?指導者の様子や雰囲気はどうかも
- 親の負担は?(送迎時間や月謝、その他の諸費用など)
また、クラスが上がったり学年が変わると、曜日や時間帯がどう変わるのかについても確認しておくと安心です。
親の負担については、スポーツ系のクラブなどでは、親のお茶当番や、保護者会などの活動を活発にしている所もあるようです。そのあたりも、最初に確かめておきたいですね。
嫌がった時は、理由を尋ねて、解決方法を一緒に探す
実際に習い事を始めると、行くのを嫌がることもあるでしょう。嫌がる習い事を無理やり続けても、身にはつきません。
かといって、すぐにやめさせたのでは「やめグセ」がついてしまうことも懸念されます。親としては、対応に迷うところだと思います。
以下の点について確認してみましょう。
- なぜ嫌なのか、子どもに尋ねる。すぐに答えられなかったり、はっきりわからなかったりする場合もあるため、焦らずに子どもの気持ちに寄り添うことが大事。
- 嫌な理由がわかったらそれを解決する方法を考える働きかけをする。
- それでも嫌なら、目標を設定して、それを達成できたらやめることを約束する。水泳なら「クロールができるようになるまで」、音楽なら「次の発表会まで」など。
- 運動系で、体力的についていけないケースは、少し期間をあけてお休みをする。体力的な成長を見てから復帰することも可能。
習い事は、経験値を増やし、人生を豊かにするためのもの
子どもの習い事は、単にそのスキルを高めるだけでなく、挑戦する気持ちやがんばる力、忍耐力などを育みます。将来の豊かな人生につなげていけるようにしましょう。
そのためには、親が「もっとがんばれ!」とか、「しっかり習ってきなさい」などと、叱咤激励の意味で子どもにかけた言葉が、プレッシャーになってしまうことも…。
お子さんの上達が遅いと感じられて、ため息が出てしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、周囲の子どもたちと比べるのではなく、過去のお子さん自身と比べましょう。成長している部分が、しっかりと見えてくるはずです。
そうしたら、「前より上手になったね。今度ママにも教えて」などと声をかけてあげてください。子どもの意欲ややる気も高まり、スキルアップへとつながるでしょう。
親は子どもの習い事を上手にフォローして、習い事を通して伸びる能力を育んだり、親子の絆を深めたりしていってくださいね。
この記事の監修・執筆者
小学校教諭・幼稚園教諭・保育士資格を持ち、幼児教室指導者、幼稚園、小学校勤務、小児病棟への慰問や子どもの声を聴くボランティア活動などを通し、多くの親子に関わる。2010年に、「子ども能力開花くらぶ」を開設。執筆活動や講演会、個別教室など、幅広く活躍中。日本子育て学会所属。著書に『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(中経出版)。
All About子育てガイド
https://allabout.co.jp/gm/gp/1662/
家庭教育協会「子育ち親育ち」
https://kosodate-ai.com/
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