【専門家がアドバイス】小学校入学準備に勉強よりも大切な力とは? 第4回「読解力の基礎」

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【専門家がアドバイス】小学校入学準備に勉強よりも大切な力とは? 第4回「読解力の基礎」

「国語の読解力をつけたい」

「読解力がなくて、問われていることが分からない」

「短い文章の内容は理解できるけれど、長い文章は理解できない」

「文章を声に出してスラスラと読めるが、意味を理解していない」など、

“子どもの読解”に関するお悩みは、小学生の子どもがいる保護者、また塾や学校の先生方にも多いといいます。では、“読解”する力を伸ばすには、どのようなことが必要なのでしょうか。

今日からできる“読解力”を伸ばす自宅での関わりについて、今回も幼児・児童教育の専門家である野瀨愛未先生にお話をうかがいました。

お話/野瀨愛未先生(一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会 理事・上級インストラクター )

目次

「読解」とは

“読解”とは、字面の理解ではなく、文章を読んで、書いてある内容や意味を理解したり、書き手が読み手に何を伝えたいのかを把握したりすることです。“読解”の力は、学校教育においても、主要な学習目標となっています。

主に学校では、読解力をつける学習は、国語の授業で行われます。しかし、学年が上がるにつれて、算数や理科、社会など、全ての教科においても必要な力となります。“読解”をする場合、文字や漢字が読めること、また文章を構成していることばの知識があることは大前提となります。

また読み進めて行く上で、読んだ先から得た情報を忘れてしまうと何度も読み直すことになります。このとき読み進めながら情報を記憶し、思考する上で必要となる脳の働きが「ワーキングメモリ」です。

読解と「ワーキングメモリ」

“読解”するときに使われる「ワーキングメモリ」とは、情報を覚えながら考える脳の働きのことです。人間が何か目標を遂行するときに、目標となる情報を覚えておきながら、どうしたら目標を達成できるのかを考えるといった役割を果たしています。

「ワーキングメモリ」は、情報を一時的に覚えながら、考える「脳の黒板」のようなものです。黒板には、大小さまざまなものがあるように、「脳の黒板」であるワーキングメモリも、個人によって大きかったり、小さかったりします。

一般的に、年齢が小さい子どものワーキングメモリは小さく、年齢と共に次第に大きくなっていきます。しかし、同じ年齢でも個人差があり、ワーキングメモリが大きい子どももいれば、発達が遅く、まだ小さい子どももいます。

この「ワーキングメモリ」という脳の働きが、近年、学習と密接に関連していることが広く知られるようになりましたまた、ワーキングメモリと国語の成績に高い相関があることや、小学校入学以前のワーキングメモリの成績から、後の国語の能力を予測できることも、研究結果より明らかになっています。

例えば、「りんごが木から落ちました。」という文章を読むとき、下記のプロセスをたどります。

①文字(文字を認識)

②音(文字を読む)

③意味を考える

1文字ずつ文字を音に変えて、それを「ワーキングメモリ」に覚えておかなければなりません。また、音を覚えておくだけでなく、同時に音声の組み合わせから「意味」を考えることが必要になります。です。このようなプロセスをたどりながら、複数のことばの意味をつなげて文の意味を理解し、複数の文章を読解することになるのです。

文章に書かれた背景や状況をイメージする

複数のことばの意味をつなげ、個々の文の意味を理解し、それを関連づけながら、複数の文章を読解するためには、子どもの持っている知識に基づいて、背景や状況をイメージすることが求められます。特に長い文章の場合、文を読み進めながら、その一連の変化する背景や状況を漫画のように心の中に描いていきます。

背景や状況を漫画のようにイメージするためには、物語の場合、登場人物の気持ちや動機を推測することが求められます。漫画は最初から絵(イメージ)があるため、子ども自身で背景や状況をイメージする必要がなく、その絵(イメージ)から気持ちなどを推測することによって、お話を楽しむことができます。一方で、文章だけの場合はそうはいきません。

例えば、以下の3つの文の関係から意味(背景や状況を)を理解する場合

りんごが木から落ちました。

サルがそこにやってきました。

そしてサルがそれを食べました。

文章の背景や状況をイメージするためには、1つ目の文の背景や状況を(を覚えている、または思い出せること)が土台となります。これを土台に、2つ目、3つ目の文の背景や状況をイメージするというように、順番に文を読み進めながら状況をイメージしていきます。

イメージできるからこそ、「そこ」や「それ」が何を示しているのか理解できるのです。文章を読み進めているうちに前の状況を忘れてしまうと、「そこ」や「それ」が何を示しているのか理解できず、文章全体をイメージすることは難しくなります。

読解をするにあたり、文字・漢字が読めること、ことばの知識や経験・体験からの知識などがあることと合わせて「背景や状況をイメージする力」がとても重要となってきます。

幼児だけでなく、小学生でも間に合う!
“読解”の土台作り

ことばのや体験・経験からの知識と合わせて重要な「状況をイメージする力」。

この力は、親子や幼稚園・保育園などさまざまな場所における、絵本や児童文学などの「読み聞かせ」を通して身につけることができます。絵本や児童文学の多くは、ストーリーの流れに一定のパターンがあります。

例えば、主人公がいて、主人公が困難に遭遇し、その困難を乗り越え、最後は、ハッピーエンドになると言ったパターンです。子どもは、絵本や児童文学をたくさん読むことで、そのパターンを知識として身につけます。そして、その知識にもとづいて、今度は、新しい絵本や児童文学の展開を予測し、より深く物語の背景や状況をイメージできるようになります。

この「状況をイメージする力」は、小学校入学後、国語の授業の時に物語や説明文を読んで理解する土台となります。」

ぜひ、幼児の子どもだけでなく、小学生の子どもも一緒に、「読み聞かせ」を通して文章読解の土台作りをしていきましょう。

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この記事の監修・執筆者

一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会 理事・上級インストラクター 野瀨 愛未

株式会社インフィニットマインド/同協会代表理事で広島大学大学院教授の湯澤正通先生が開発した「アセスメントHUCRoW」の分析レポートを国内で唯一担当し、その分析を通して「子供の個性」を見出す活動に従事している。現在、「ことばパーク」のカリキュラム制作にも携わる。

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