節分の豆まきにも使われる大豆は、古くから日本で食べられ、利用されてきました。
そのまま煮物などにするほか、加工してさまざまな食品や調味料をつくることができる大豆は、私たちの食生活を豊かなものにしてくれます。
また、日本の文化とも深い関係があります。
豆まきのときや大豆が食卓に上がったときなどに話題にすれば、食への関心と感謝の心を育むことにもつながるでしょう。
文/こそだてまっぷ編集部
Q1. 大豆って何種類あるの?
A. 日本だけでも約300種類あるといわれます。
大豆はマメ科の植物で、私たちが食べているのは種(たね)にあたる部分です。
東アジア原産で、現在は世界じゅうに広まっています。品種改良がさかんで、日本だけでも約300種類の品種があるといわれています。
このほかに、色による呼び方のちがいもあります。最もよく見かける黄色っぽい大豆は黄大豆と呼ばれ、そのほかに、青大豆、黒大豆、赤大豆、紅大豆、茶大豆などと呼ばれる大豆があります。
世界での年間生産量は約3億5000万tで、日本では約22万tが生産されています(2020年)。
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Q2. 大豆はいつとれるの?
A. おおむね10月~11月に収穫されます。
種まきをして4〜5日すると芽が出て双葉(子葉)が開き、やがて本葉が出ます。たくさんの葉が出て成長したあと、羽を広げたチョウのような形の花を咲かせます。花がしぼむとその後にさやができます。そのころに収穫した、未熟な大豆が枝豆です。
さやは、それ自体が養分をつくって種に送ることができます。やがて全体が茶色く枯れると、さやの中の豆が黄色く熟して乾燥し、さやを振ると音がするようになります。葉が全部落ちると収穫の時期です。
Q3. 日本ではいつごろから大豆を食べていたの?
A. 縄文時代からのようです。
以前は、日本の大豆は弥生時代に中国から伝わったものと考えられていました。
しかし、縄文時代の遺跡から出土するマメ類の研究が進んだ結果、現在では縄文時代の人々も大豆を食べていたことがわかっています。
自生する大豆(原種のツルマメ)を食べていただけでなく、すでに栽培もしていた可能性もあるとされています。
8世紀初めに成立した『古事記』には、オオゲツヒメという女性の神様のお尻に大豆がなったという話が出てきます。
節分に豆まきをするという記録は室町時代からあり、このころには豆まきの習慣ができていたと考えられています。大豆に生命力を感じ、邪気(鬼)をはらう神聖なものとしていたのでしょう。
このように、日本人にとって大豆は、身近で大切なものとされていたのです。
Q4. 大豆からできる食べものは?
A. もやし、豆腐、しょうゆ、みそなど、さまざまです。
大豆からはさまざまな加工食品がつくられます。
大豆が熟す前に収穫したものが枝豆、暗いところで発芽させたものが大豆もやしです。
水にひたした後につぶし、加熱してしぼると豆乳とおからができます。豆乳を加熱すると湯葉ができ、にがりを加えて固めると豆腐ができます。豆腐をもとにした食品は多く、焼き豆腐、高野豆腐、生あげ、厚あげ、がんもどき、油あげがあります。
大豆を発酵させると、納豆、しょうゆ、みそができます。
炒った大豆を粉にしたものがきな粉です。さらに、大豆をしぼると大豆油がとれます。
これらの加工食品は、いずれも日本の食生活に大切な役割を果たしてきました。
食事をするときに、大豆をもとにした食べ物を探してみるのも楽しいですね。
Q5. 大豆が「畑の肉」と言われるのはなぜ?
A. 豊富なタンパク質を含んでいるからです。
大豆は「畑の肉」と呼ばれることがあります。それはタンパク質をとても豊富に含んでいるからです。
牛肉や豚肉のタンパク質は100g中に20gほどで、大豆(乾燥した状態)も33.8gも含んでいます。
タンパク質は20種類のアミノ酸からできていますが、人が体内でつくれず食品から取り入れなければならない9種類を必須アミノ酸といいます。大豆はこの9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、豚肉(ヒレ)に近い組成をしています。
これらのことから大豆が「畑の肉」と呼ばれるようになりました。
また、大豆のタンパク質は、血中コレステロールを下げ、動脈硬化予防につながるといわれています。
Q6. 大豆にはどんな栄養素が含まれている?
A. 脂質をはじめ、豊富な栄養素を含んでいます。
大豆は、タンパク質のほかにも、脂質、糖質、ビタミンB群、葉酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、豊富な栄養素を含みます。ビタミンやミネラルが多いのも特徴です。
また、細胞膜の成分であるレシチンや、抗酸化作用などを持つサポニン、整腸作用や腸内細菌を増やす作用があるオリゴ糖などの機能性成分も豊富です。注目されるのがイソフラボンで、女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用をします。
このように、大豆には健康によい効果が期待できることから、厚生労働省も、大豆を他の食品とともにバランスよく食べることを勧めています。
大豆と大豆食品を食卓に〈大豆レシピ〉
「健康」をテーマにした料理教室や、食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」を運営する森野恵子先生に、大豆や大豆食品を使った簡単でおいしいレシピを紹介してもらいました。
酢大豆
栄養豊富な大豆とダイエット効果があるとされる酢のコラボです。
きゅうりや大根おろし、もずくと混ぜるなど、自分好みのアレンジも!
《材料》
乾燥大豆…100g
好みの酢…1〜2カップ半
《つくり方》
①乾燥大豆をよく洗い、ざるに上げて水気をとる。
②大豆をフライパンに入れ、弱火でこがさないように乾煎りする。
③大豆の薄皮にひびが入ってきたら火を止め、粗熱をとる。
④密閉できる容器に入れ、大豆の少し上まで酢を入れる。大豆が酢から頭を出しそうになったら酢をたす。
⑤冷蔵庫に入れる。翌日から食べられるが、4〜5日たったほうがおいしい。
※つけている酢もドレッシングや和え物の調味料として使いましょう。
もやしと豆苗の和え物
しゃきしゃきしたもやしをピーナッツソースで和えて。
食感と味わいを楽しめます。手軽さもうれしいですね。
《材料(4人分)》
もやし………200g
豆苗…………100g
ピーナッツ…40g
ごま油………大さじ1
酢……………大さじ1
豆板醤………小さじ1
砂糖…………小さじ1
《つくり方》
①もやしのひげ根をとり、よく洗う。
②豆苗の軸を切り、よく洗う。
③もやしを熱湯に入れ、少ししたら塩(分量外)をたし、豆苗を加えてさっとゆでる。ざるに上げ、湯切りをしたら皿に盛りつける。
④ピーナッツをみじん切りにし、ごま油、酢、豆板醤、砂糖と混ぜたソースで③を和える。
手軽でおいしくできるのでぜひ試してください。
大豆からパワーをもらって、家族みんな健康に過ごしましょう!
この記事の監修・執筆者
「健康」をテーマに、料理とテーブルコーディネートの教室を行う。企業主催の親子クッキングや、住宅展示でのテーブルコーディネート、セミナー講師、TV番組の撮影、飲食店やホテルでのフードコーディネート、メニュープランニング、雑誌・広告での撮影(料理作成・フードスタイリング)、盛りつけ指導など”食”に関わるものをさまざまな角度からコーディネート。
平成16年からは、暮らしを楽しみながら食育を推進する団体「食育暮楽部(くらぶ)」を設立し、地域でできる食育に取り組み中。
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