【秋こそサンマ!】サンマの秘密がいっぱい![栄養士監修]

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【秋こそサンマ!】サンマの秘密がいっぱい![栄養士監修]

「食欲の秋」「味覚の秋」と言われるように、秋に旬を迎える食べ物がたくさんあります。中でもサンマは、代表的な秋の味覚です。サンマに舌つづみを打ちながら、お子さんとサンマの話で盛り上がってみませんか。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

サンマはどんな魚?

刀に似た姿

サンマは漢字では「秋刀魚」と書きます。細長く、腹側が青白く光っている姿が刀に似ていることから、こう書くようになったと言われています。
まず、サンマがどのような魚かを調べてみましょう。
サンマはサンマ科に分類される海の魚です。近い仲間には、ダツ、サヨリ、トビウオなどがいます。大きいものでは約40cmほどに成長します。
北太平洋の広い海域にすみ、群れをつくって海の浅いところを回遊(海の広い範囲を移動すること)しています。
寿命は2年くらい。同様に回遊するマイワシが8年、マサバが10年くらいなので、短いほうだと言えます。
食べ物は小さな動物性プランクトンです。
特徴的なのは、胃がなくて腸が短いこと。驚きですね!

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サンマがとれる時期と場所は?

日本の近くのサンマは、主に太平洋側にすんでいます。
3~6月に三重県から四国沖辺りの黒潮周辺で生まれたサンマは、成長しながら、7~8月になると黒潮の流れに乗って北上します。これは、食料となる動物性プランクトンの多い場所がだんだん北へ移っていくからだと考えられます。
北上したサンマはオホーツク海に達し、海水温が下がり出すころにはUターンして南下を始めます。8月中旬から下旬には北海道沖に、9月には東北沖、10~11月には銚子沖と、南の海に移動していきます。
8月下旬から11月ごろまでに、サンマはじょじょに脂質の割合を増やし、おいしい時期がやってきます。このころにサンマ漁がピークを迎えるのです。

サンマをおいしく食べるには?

口先をチェックして、おいしいサンマを見つけよう

スーパーなどに並ぶサンマを選ぶとき、新鮮で脂ののったものかどうかを見極めるコツがあります。
まず、口の先端が黄色いこと。口先の黄色は、よく脂がのっていることを示しています。また、新鮮なサンマは、身にパリッとした張りがあり、ずんぐり太っています。そのほか、黒目の周りが透明で澄んでいること、腹が銀白色に光っていること、背が青黒くつやや張りがあることもおいしいサンマの目印です。
ただし、最近は冷凍技術が進歩しているため、解凍サンマでも品質のよいものが出回っています。

口先が黄色いサンマ
口先が黄色いサンマ

焼きサンマの香りが食欲を刺激

サンマ料理の代表はなんといっても塩焼きです。
網にのせたサンマを焼く香りは食欲をそそりますね。その香りのひとつは、サンマの皮に含まれるタンパク質の一種であるコラーゲンによるものです。コラーゲンに含まれる成分を加熱すると、香りのもとになる物質に変わるのです。
また、サンマの脂質がガス火などの炎に落ちると分解されて香りを出します。
網と違ってフライパンなどでは、脂質が落ちないため、網で焼いたときのような香りはあまり感じられません。

サンマの塩焼きをおいしくつくるコツ

続いて、サンマの塩焼きをじょうずにつくる方法です。
一般の家庭では魚焼き用のグリルで焼くことが多いでしょう。大きなサンマの場合、そのままではグリルに入りきらないかもしれません。その場合は2 つに切ってもかまいません。
焼く前にまず塩を振ります。かわいた手で塩をつまみ、20cmくらいの高さから振ると、均一に振ることができます。
グリルはあらかじめ温めておくと、皮がはがれにくくなります。グリルが温まったら、盛りつけるときに上になる側を下にして置いて焼きます。
初めは強火で焼き、焼き目がついたら一度だけ引っくり返します。何度も引っくり返すと身がくずれて見た目も悪く、うま味が損なわれてしまいます。引っくり返したら中火にして中まで火を通します。焼き過ぎると水分が減り、タンパク質が変化して固くなるので注意しましょう。
じょうずに焼き上がったら皿にとり、大根おろしやすだちをそえていただきましょう。

グリルで焼くサンマ
グリルで焼くサンマ

サンマの雑学あれこれ

わたもおいしいサンマ

焼きサンマの特徴は、ほかの魚と違って、わた(内臓)もおいしく食べられることです。
これは先述の、サンマに胃がなく、腸が短いことと関係しています。このために、食べたプランクトンが消化管にたまっていないのです。
わたはほろ苦く、焼きサンマ独特の味わいがしますね。

大根おろしの意外な効能とは?

昔から焼きサンマと大根おろしは名コンビでした。大根おろしには、脂っこいサンマを食べたあとに口をさっぱりさせる役割があるのですが、そのほかにも意外な効能があることがわかっています。
サンマを焼くと皮にこげ目ができます。皮のこげはパリッとした食感を出してくれるのですが、その中に発がん性物質が含まれています。ところが、現在では、大根おろしといっしょに食べるとその発がん性がおさえられることも明らかになっているのです。
日本人は、経験をもとにそのことを知っていたのでしょうか? それは、わかりません。

焼きサンマと大根おろしは名コンビ
焼きサンマと大根おろしは名コンビ

サンマのわたのおいしさは?

先ほど、サンマはわたもおいしく食べられると述べました。
「さんま苦いか塩つぱいか」という詩があるように、サンマのわたには苦みがあります。これは肝臓に含まれる成分のためです。新鮮なサンマの肝臓は甘みがありますが、少し時間がたつと苦みを持つ成分ができるのです。
ただ、最近のサンマはわたがおいしくないと言われることがあります。それは、サンマ漁の方法のためです。昔はサンマの多くは釣ってとっていましたが、近年は棒受網漁法という方法で一度に大量にとります。すると、サンマの鱗がとれ、口から内臓に入ってしまい、わたを食べたときにその感触がしてしまうのです。
これを防ぐため、わたを裏ごししてたれに入れ、はけでそのたれをサンマに塗って焼く料亭もあります。

水あげされるサンマ
水あげされるサンマ

身近な魚、サンマにもさまざまな秘密がありますね。家族の食卓の話題にしてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・執筆者

フードコーディネーター、栄養士 森野 恵子

「健康」をテーマに、料理とテーブルコーディネートの教室を行う。企業主催の親子クッキングや、住宅展示でのテーブルコーディネート、セミナー講師、TV番組の撮影、飲食店やホテルでのフードコーディネート、メニュープランニング、雑誌・広告での撮影(料理作成・フードスタイリング)、盛りつけ指導など”食”に関わるものをさまざまな角度からコーディネート。
平成16年からは、暮らしを楽しみながら食育を推進する団体「食育暮楽部(くらぶ)」を設立し、地域でできる食育に取り組み中。

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