幼児期の“オススメおもちゃ”が育む「子どもに必要な能力」とは?

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いざおもちゃを買おうとしても、たくさんのおもちゃの中から「今」の我が子に合ったものをどう選べばよいのか迷ってしまうこともありますよね。子どもが欲しがるものをそのまま与えてもいいのか? それとも、テレビやネットで話題のものを与えたらいいのか? 保護者としては何かと気がかりなものです。そこで、おもちゃが子どもにどのような影響を与えるのか、成長を促せるおもちゃの選び方について、小児神経学、発達神経学が専門の榊原洋一先生(お茶の水女子大学 名誉教授)にうかがいました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

【1】工夫・発見力は「自由度」の高いおもちゃで育てる

“子どもは遊ぶことが仕事”などといわれるように、たくさんの遊び体験は、子どもの成長をサポートします。一見、ただ楽しんでいるだけのように見えますが、実は、遊びを通して多くのことを学んでいるのです。

「遊びのよさは、子ども自身が自発的に行えて、自由度が高く、学習のような正解がないこと。たとえば、学習では、必ず答えがあり、答えを出すことがゴールとなります。でも、多くの遊びには正解もゴールもありません。そのため、子どもは、何もないところからどうすれば楽しくなるのか、どんなふうに遊ぶともっとおもしろいのか、など、自由に発想して思いのまま行動します。時には、失敗しながら、また工夫して、楽しさを見出していくのです。子どもは、こういった経験から、思考力、探究心、創造力、行動力など、生きていくことに大切な多くの力を育んでいきます

【2】物事に革新をもたらすイノベーション思考には「遊びの心」が必要

子どもの発想力や創造性を育むのは、目的に制限がなく、子どもが思うまま、自由に遊べるおもちゃがおすすめです。

子どものころの遊び体験は、大人が思っている以上にとても重要です。自由に楽しくたくさん遊ぶほど、子どもは伸びるといわれています。

「アメリカのイノベーション教育の研究家であるトニー・ワーグナー氏は、“イノベーションのためには遊びが大切だ”と語っています。イノベーションとは直訳すると『革新』となりますが、わかりやすく言うと『今までの常識を壊して新しいものを作り出すこと』。そして、新たなものを発明したり、発想したりするイノベーションに必要なことは、『遊びの心』だというのです」

近年では、ただ問題を解いて知識を詰め込んでいく教育よりも、新しいものを作り出す力、問題を解決する力といった、イノベーションにつながる能力を育てることに注目が集まっています。

【3】知識を活用できる能力は「子ども自身の主体的な遊び」で育てる

幼少期から杓子定規に『知識』を詰め込むようなことばかりしていると、発想力が乏しい人間になる恐れがあります。知識というのは、ただ持っていることが重要なのではなく、その知識をちゃんと使いこなせるかどうか、知識を活用して“何ができるか”がとても重要。思考が硬くなってしまうと、知識に引っ張られてしまい、新しく答えを探そうとせず、既存の中に答えを見つけ出そうとしてしまうのです。そうなってしまうとイノベーションは生まれません。

子どものころの遊び体験は、探究心や発想力、創造力を養い、イノベーション能力を育むことにつながります。保護者が必要以上に誘導するのではなく、子どもの主体性に任せて、できるだけ自由に、そしてたくさん遊ばせてあげることがポイントです

【4】「発想力や創造性」は「自由に遊べる」がカギ

子どもの発想力や創造性を育むためには、目的に制限がなく、子どもが思うまま、自由に遊べるおもちゃがおすすめです。

保護者は、おもちゃを提供するなど、子どもが遊びへと動き出すようなきっかけを、そっと与えてあげるのもよいでしょう。ただし、このときに、見本を示して「これを作りなさい」とか、「こう遊びなさい」などと、必要以上に誘導すると、イノベーション能力は育ちにくくなります。我慢強く見守って、子どもの好きなようにさせてあげましょう。

子どもの能力を伸ばすオススメおもちゃ【5選】と選ぶ基準

好奇心・探求心、創造力は使うおもちゃによって異なる傾向が

●【ブロック】で指先を鍛え、工夫する力と0から1を生み出せる力を養う

●【積み木】で根気強く取り組む力やバランス感覚を養う

●色のついた【粘土】で指先を鍛え、自発的な創造力、色彩感覚を養う

●【音の出るおもちゃ】で五感を刺激し、情緒面を養う

●【パズル】で観察力や集中力、記憶力を養う

おもちゃは「子どもの発達」に合った「子どもが興味を示したもの」or親も楽しめるもの

「子どもが夢中になって長く楽しく遊んでくれるものが望ましいので、まずは、いっしょにおもちゃ屋さんへ行き、興味を示したものを買うのがよいでしょう」と榊原先生。

ただし、おもちゃは、子どもの発達段階に合わせて選ぶのが大前提。遊び方が簡単すぎるとすぐに飽きてしまうし、反対に、難しすぎると意欲を失って遊ばなくなってしまいます。また、前述のように、自由度が高く、ゴールがないおもちゃもオススメです。完成してしまったら、あとは鑑賞するだけといったものだとそこで終わってしまうので、子どもの自由な発想で、いつまでも遊べるものを選びましょう

とはいえ、保護者もいっしょに楽しめるものであれば、なおよいといいます。

「子どもだけでなく、保護者が欲しい・おもしろそうと思えるものを買うこともひとつの方法です。特に、いっしょに遊ぶ場合、保護者も楽しんでいることを感じることで、子どもは幸福感を得ることができるのです。おもちゃを通した保護者と子どもの触れ合いは、自己肯定感を高めたり、他者とのコミュニケーション能力を養うことにも役立つでしょう」

★参考記事:幼児期に与えたいおすすめのおもちゃとは?

この記事の監修・執筆者

お茶の水女子大学 名誉教授 榊原 洋一 先生

1951年東京都生まれ。東京大学医学部卒業。お茶の水女子大学大学院教授、理事・副学長などを経て、現職。医学博士・小児科医。現在は、発達障害の臨床的研究、発達障害児の保育、子どもの生育環境とその発達への影響、国際医療協力を主な研究対象としている。専門は、小児神経学、発達神経学などで、「子どもの心と体の発達」に関する著書を数多く執筆し、それらは高い評価を受けている。『発達障害のある子のサポートブック』(学研)など著書多数

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