入学式はどうして4月なの? 世界標準は9月ってホント?

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小学校、中学校、高等学校などに入学する際に行われるセレモニーが「入学式」。
幼かった子が制服やスーツを着て、式に参加する姿を見ると、思わずじんわりしちゃいますね。
そういえば、日本の入学式は桜の咲く「4月」ですが、海外では「9月」の入学式が多いと聞きました。
もしかして、入学式が4月なのは日本だけ!? なのかも?
気になって入学式について調べてみました!

文/マムズラボ

目次

4月入学は日本だけ?

新型コロナウイルスの影響で休校措置がとられた時に話題になった「9月入学」。

あらためて海外の小・中・高等学校の入学時期について調べてみると、9月入学の国はとても多いことがわかりました。

また、12か月それぞれで入学月がある国があることや、むしろ4月入学の国は少ないことにも驚きますね。

1月 シンガポール、マレーシア、バングラデシュ、南アフリカ

2月 オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル

3月 韓国、アフガニスタン、アルゼンチン、ペルー、チリ

4月 日本、インド、パキスタン

5月 タイ

6月 フィリピン、ミャンマー

7月 米国

8月 スイス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、台湾、ヨルダン

9月 英国、アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ギリシャ、ロシア、カナダ、メキシコ、キューバ、中国、インドネシア、ベトナム、イラン、トルコ、サウジアラビア、エチオピア、ナイジェリア

10月 エジプト、カンボジア

※地域や学校によって違いがある場合もあります。

なぜ海外では9月が多いのかというと、昔、子どもが農作業の手伝いをしていた名残が理由です。

春から夏は、小麦の収穫や家畜の出産などで忙しいため、それらが落ち着いた秋に学校へ入学できるように9月入学になったようです。

日本にも9月入学の時期があった

なぜ、日本では学校の入学が「4月」なのでしょうか?

江戸時代、子どもたちが学ぶ場としては寺子屋や藩校、私塾などがありました。

入学時期は特に決まってはおらず、入りたいタイミングで入学できていたそうです。

進級も入学順に年齢で上がっていくのではなく、子ども一人ひとりの進度で進級したりしなかったり、地域などによっても異なっていました。

やがて明治維新が起こり、国が西洋の教育制度を導入したことで、日本でも「9月入学」が主流になっていきました。

え? 9月入学? そうなんです。日本も9月入学の時期があったのです!

しかし、明治19年(1886年)、日本政府は当時先進国の中心であったイギリスの会計年度の区切りにならって、「4月1日~翌年3月31日」を区切りにする「年度」(正式名は年度会計)を採用しました。

それに合わせて、当時の小学校や師範学校でも入学時期を4月に変更、大正時代には、高校や大学も同じく4月の入学に変わり、現在に至ります。

日本が9月入学にならない理由

日本では、明治時代の中ごろに4月入学が採用されて以降、現在までずっと4月入学が続いています。

なぜ多くの国で9月入学なのに、日本では9月入学にならないのでしょうか? 調べてみるとこれにも理由があるようです。

理由1■入学式=桜の咲く時期(4月)のイメージが強くあるため

入学式と言えば「ピンク色の桜」が思い浮かびますね。

お子さんの入学式のときに桜をバックに写真を撮った方も多いのではないでしょうか?

4月はだんだんと暖かい気候になってきて、桜の花が咲いたり、木の芽が芽吹き始めたりと「始まり」を感じる季節のため、日本では学校の始まりは「4月」という感覚が定着してしまい、なかなか変えられないのです。

理由2■国内の国家資格や司法試験、就職試験などが「春卒業」を前提にしているから

日本の国家資格などは、基本的に「春卒業」を前提に試験日程が組まれています。

そして就職試験も春卒業の学生を基準にしたスケジュールで行っています。これを変更するのは大変そうですね。

理由3■学校の会計年度の変更が必要なため

学校の会計年度は、明治時代に決まった「4月1日~翌年3月31日」になっています。

もし、9月入学になると、学校の会計年度を変更するか、調整しなければなりません。学校だけ会計年度が違うのは、予算等の手続きで支障が出そうです。

まとめ

新型コロナウイルスが蔓延し始めたころ、「日本でも9月入学に変更したら?」という動きもありましたが、結局は変わらず、4月入学が続いています。

国際化も年々加速し、海外の学生の日本留学や、日本人学生の海外留学が重視されています。もし日本の入学時期を海外の9月入学に合わせられたら、タイムラグがなくなり留学がしやすくなりそうです。

国の制度をすぐに変えることは難しいと思いますが、少しずつ柔軟に対応できるようになっていくといいですね。

<参考>
・文部科学省 世界の学校体系(ウェブサイト版)https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/detail/1396836.htm

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