![【小4「理科」「社会」】学びを深めるために、家庭でできることは?[教育評論家監修]](https://kosodatemap.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-content/uploads/2025/04/pixta_121992258_M_MOpK.jpg)
4年生の「理科」「社会」は、3年生で学んだことからさらに一歩先へ、学習範囲が広がります。ここでは4年生で実際に学ぶ「理科」「社会」の学習内容と、新学期が始まった今からでも家庭でできることを、教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。
取材・文/細川麻衣子
3年生→4年生は「理科」「社会」の授業時間が増える!
4年生になると3年生のときとくらべ、授業時数※1が増えます。全教科を合計すると1年間では980(3年生)→1015(4・5・6年生)に増加します。これによって子どもたちは「6時間目が増えた!」などという実感が出て、学校で過ごす時間が3年生の頃にくらべると、より長くなると言えるでしょう。
※1学校教育法施行規則に定める標準授業時数のこと。授業時数の1単位時間は45分。(参考URL:文部科学省 小学校・標準授業時数について)
この、980(3年生)→1015(4年生)に増えた“35時数”は、すべて「理科」「社会」に充てられています。具体的には「理科」が90→105時数に、「社会」が70→90時数となります。4年生になると、「理科」「社会」はますます学習の中でも重要度が増していくことがわかります。
4年生の「理科」学習内容は?
小学生の「理科」は主に“物質・エネルギー”、“生命・地球”という領域に分けられています。その中で4年生は、3年生の頃とくらべると、より難度の高い実験や観察を通して、科学的な思考を育てることが求められていきます。
【文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「理科編」】を参考にまとめ
※以下参考部分の表記は参考元に準じています
第4学年の目標及び内容(第3章 第2節より)
第4学年の目標は,自然の事物・現象について,理科の見方・考え方を働かせ,問題を追究する活動を通して,空気,水及び金属の性質,電流の働き,人の体のつくりと運動,動物の活動や植物の成長と環境との関わり,雨水の行方と地面の様子,気象現象,月や星についての理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにするとともに,問題解決の力や生物を愛護する態度,主体的に問題解決しようとする態度を養うことである。
特に,本学年では,学習の過程において,自然の事物・現象から見いだした問題について,既習の内容や生活経験を基に,根拠のある予想や仮説を発想するといった問題解決の力を育成することに重点が置かれている。
≪物質・エネルギー≫
・空気と水の性質
・金属,水,空気と温度
・電流の働き
≪生命・地球≫
・人の体のつくりと運動
・季節と生物
・雨水の行方と地面の様子
・天気の様子
・月と星
4年生の「社会」学習内容は?
小学校の「社会」では身近な生活のしくみからはじまり、日本の国土や政治、歴史、世界の国との関わりなどを学びます。3年生では主に“地域社会”に目を向けた学習に取り組んできましたが、4年生になるとこれまでの学習を基盤に、“都道府県”についてとその各地域の特色や、またそれに関わるさまざまな社会的事象について学習します。
【文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「社会編」】を参考にまとめ
第4学年の目標及び内容(第3章 第2節より)
第4学年においては,社会的事象の見方・考え方を働かせ,学習問題を追究・解決する活動を通して,資質・能力を育成することを目指す。
・都道府県の地理的環境の特色
・地域の人々の健康と生活環境を支える働き
・自然災害から地域の安全を守るための活動について
・文化財や年中行事、地域の伝統と文化について
・水,電気,ガスを供給する事業について
・廃棄物を処理する事業が果たす役割について など
【家庭での対策/理科】日常にあふれた「理科」の体験をたくさん積む!
4年生になるとますます学問的で科学的な視点から物事を捉える力が必要となります。学校では、フラスコや試験管を用いたり、電池などを使った本格的な実験も行われますが、一方で教科書や資料を用いた座学の時間も増えていきます。
座学も大切ではありますが“机上の空論”になってしまってはもったいないですし、子ども自身も座学ばかりでは学習がつまらなくなってしまいます。
なにより「理科」は、日常で体験できることにあふれた教科です。「もう4年生だから~」と「理科」を座学のみの“勉強”にするのではなく、常に普段の生活を「理科」に置き換えてお子さんと接してみてください。
オススメは料理です。これは「水の性質」を理解するために最も効果的です。学校ではフラスコに水を入れて沸騰させ、“変化する水の姿” “水の温度変化”を学ぶ実験を行います。このとき、普段から家の手伝いなどで、お湯を沸かして料理したり、製氷機で作った氷をジュースに入れたり……など、水の変化を普段から子ども自身が体験していることで、授業で学習したとき、感覚的に捉えていたものが知識となり、真の理解につながるでしょう。もちろん、火の扱いには注意が必要ですので、無理はせず料理の過程を見せるだけでもOKですよ。

また、4年生では「電流のはたらき」について、2個の電池をつないで直列回路、並列回路の学習をします。なぜ、直列と並列では違いがあるのか? ということを、机上の学習だけではなかなか理解するのが難しいものです。そこで、市販されている専用の実験キットなど、おもちゃで遊ぶ感覚で原理を体験しておくと理解がしやすいでしょう。

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【家庭での対策/社会】家族のおでかけは絶好の学習タイミング!
4年生の「社会」は、都道府県を中心に、関連するさまざまな産業・歴史について学びます。そこでオススメしたいことは、家族のおでかけ時に「社会」を意識した関わり方をすることです。とはいっても滞在中にずっと勉強をするわけではなく、あくまで楽しく、訪れる場所について“何かひとつ知ってみること”をこころがけてみましょう。
旅行などで、住んでいる都道府県以外のところへ行く機会があるなら、地図やガイドブックを子どもと一緒に見てみましょう! 土地の特産品・工芸品や観光名所を知ることが「社会」の学びにつながるのです。
例えば、「愛媛県はみかんが特産品なんだね」「栃木県の日光東照宮には徳川家康がまつられてるね」など、産業・文化・歴史に触れる会話も楽しんでみましょう。土地の観光名所をはじめ、博物館、美術館、資料館などは絶好の学びの施設です。また、リサイクルについて学べる資源化処理施設や、防災のことを学べる消防署等の見学施設、水や環境に関して学べるダム、上下水道、浄水場などの見学施設なども、「社会」で学ぶことを実際に体感できるのでオススメです。

また、往復の電車の駅、道の駅、サービスエリアなども意外な学びのスポットです。大きな路線図や地図が必ずありますので、それを見ながら「今はここにいて、これから○○まで向かうよ」と会話して地理感を得たり、お土産コーナーがあるなら、ぜひ見てみてください。さまざまな特産品・工芸品に出合えるでしょう。
こうして出かける先々では、地域の地理的な特徴をはじめ、産業の特徴、歴史的背景を知ることができます。これらの学びは5・6年生にむけての学びにもとても役立ちます。
学習マンガで触れておくと勉強が楽しくなる!
また学習マンガもオススメです。4年生くらいになると、教科書や参考書だと気がのらないという子でも、マンガならどんどん読める! という場合もよくあります。「理科」「社会」に体験は大切ですが、時間的に難しい場合は、図鑑や学習マンガを用意することも良いでしょう。短時間で多くの情報を楽しく学ぶことができます。
ちなみに、歴史マンガは、大学受験までカバーするほどの高度な知識が盛り込まれているので、4年生のうちに読み始めることは良いことづくしです。
「理科」「社会」は、日常生活の経験が学びに直接結びつく教科です。子どもの“興味”を絡めながら日常生活の中で楽しく学ぶことが大切。これまでお伝えした学び方は “遊び”にかえられます。これを私は『楽勉(らくべん)』と呼んでいます。ぜひ、この方法で子どもとのコミュニケーションを楽しみながら、4年生の「理科」「社会」の学習に臨んでみてください。
この記事の監修・執筆者

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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