![【小4の算数】学習目標と内容、そして家庭でできるサポートについて[教育評論家監修]](https://kosodatemap.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-content/uploads/2025/02/pixta_49352567_M_HjJ2.jpg)
4年生の「算数」は、3年生までに学習してきた基礎的な知識や単純な計算だけでなく、抽象的な思考を必要とする単元が増え、難度が増します。そのため、「10歳の壁」ともいわれ、学習面でつまずくお子さんも多くなります。
さらに、学習塾・受験塾などへ通い始めるお子さんがぐっと増える学年でもありますので、子どもたち自身が、学習環境の変化を感じ始めるでしょう。そして家庭だけでの学習フォローも、さまざまな面から難しくなってくる頃でもあります。
ここでは4年生で学ぶ「算数」の学習目標と内容、それに向けて家庭で今できることについて、教育評論家の親野智可等先生にお伺いしました。
ますます難しくなる「算数」、この先、興味を持って自ら学習に取り組める子に育てるには…⁉
取材・文/細川麻衣子
4年生になると5・6年生と同等の授業時数に!
4年生になると3年生のときとくらべ、授業時数※1が増えます。全教科を合計すると1年間では980(3年生)→1015(4・5・6年生)に増加します。これによって子どもたちは「6時間目が増えた!」などという実感が出て、学校で過ごす時間が3年生の頃に比べると、より長くなると言えるでしょう。
※1学校教育法施行規則に定める標準授業時数のこと。授業時数の1単位時間は45分。(参考URL:文部科学省 小学校・標準授業時数について)
3年生→4年生の具体的な時数の変化は、「理科」が90→105に、「社会」が70→90となり、より学習教科にかける時間が増えます。他の教科は3年生と同じ時数で、「算数」も引き続き1年間に175あります。
4年生の「算数」、学習内容は?
4年生の「算数」は、グラフや表の読み取り、角度・平行・垂直などの図形、四則計算の順序、分数・小数、面積、概数、数量の関係を表す式……など、とにかく3年生までに積み重ねてきたことの応用が増えてきます。
小学校学習指導要領 算数編の『学年の目標の一覧表』の“第4学年”の部分には、
――数学的に表現・処理したことを振り返り,多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考える態度,数学のよさに気付き学習したことを生活や学習に活用しようとする態度を養う――(一部抜粋)
とあるように、学んだ内容の意味や理解を深めることで、最終的には“自ら考えぬく力つけること”が、求められるようになっていくのです。以下は【文部科学省 小学校学習指導要領解説「算数編」】を参考にまとめました。
【文部科学省 小学校学習指導要領解説「算数編」】を参考にまとめ
学習内容
1.数と計算
・億、兆の単位について知る
・概数についてと、目的に応じた用い方を知る
・四捨五入を知る
・余りの出る割り算
・1・2桁÷2・3桁の場合の割り算、その筆算
・小数についてと、そのかけ算・割り算
・分数の応用で、同分母の分数のかけ算・割り算
・そろばんを用いた、たし算・引き算
2.量と測定
・面積の単位(平方センチメートル(㎠),平方メートル(㎡),平方キロメートル(k㎡))について知る
・正方形・長方形の面積の求め方
・角の単位(度( °))と、計算の仕方
3.図形
・直線の平行や垂直の関係について知る
・平行四辺形、ひし形、台形について知る
・立方体、直方体について知る
4.数量関係
・折れ線グラフの読み方やかき方について知る
・二つの数量の関係・変化の様子を折れ線グラフで表す
・四則の混合した式や( )を用いた式について理解し、正しく計算する
・公式についての考え方を理解し、公式を用いる
〔用語・記号〕
和 差 積 商 以上 以下 未満 真分数 仮分数 帯分数 平行 垂直 対角線 平面
このように、より深く考え、応用力が必要となる学習が増えてきます。
4年生の「算数」が始まるまでに、今、できることはどんなことがあるでしょうか。
【対策①】計算力の土台を強固に! 瞬時のかけ算&割り算をマスター!
4年生の「算数」をスムーズにスタートするには、新学期を迎えるまでに3年生までに学んだ、かけ算・割り算を、瞬時に答えられるようにしておくとよいでしょう。
九九はすでに2年生で学び、3年生でも反復して学習してきたので、定着度も比較的高いかと思います。引き続き、繰り返し九九カードやプリントで順番をバラバラに出題して答える、“64問バラバラ九九”などの方法で確実に答えが出せるよう、くり返し練習してみてください。
≪関連記事≫【小3の算数】新学年の勉強を楽しく乗り切るため、親にできるサポート方法は?[教育評論家監修]
ポイントは3年生で学んだ割り算です。1桁÷1桁、2桁÷1桁、2桁÷2桁、の簡単な割り算は、暗算で瞬時に答えられるようにしておくことが大切です。
例えば「8÷4=2!」「72÷8=9!」「30÷10=3!」と、パッと答えることができればOK。これに苦戦すると、4年生で学ぶ、余りの出る割り算や小数のかけ算・割り算でつまずいてしまいます。
3年生で学んだ内容をより正確に素早く答えられる状態にしておくことが大切です。

例えばご家庭で、九九の答えを除数(割り算で割る方の数)とし、九九の式の一方の数を被除数(割られる方の数)にした“割り算クイズ”を、会話の中で楽しんでみるのはいかがでしょう。割り算と九九の関係も楽しく頭に入れながら、3年生の復習をしてみてください。
【対策②】概数は日常生活にあふれている! スーパーへ買い物にGO♪
4年生で新たに学ぶ概数は、まさに4年生の「算数」の難しさを表している単元のひとつです。「約~」「およそ」「四捨五入」は、大人にとっては身近で、日常の中でも難なく使っていると思いますが、子どもたちは4年生になってはじめてこの“概数=抽象的な数”を学びます。整数のように単純な数の答えが出るものではないので、混乱してしまうことがよくあります。
そこで、概数を学習する前に、日常生活の中でその感覚を捉えておくと、理解につながりやすくなるでしょう。おすすめは、スーパーなど、価格が見やすく表示されているお店の買い物です。
(例)
保護者「このお菓子は1袋198円だね。1の位を四捨五入すると?」
子ども「200! だから約200円だね!」

このように実際の生活に置き換えてみると、とてもわかりやすく理解がすすみます。
いざ授業で“概数”を学んだとき「こういうことか!」とスムーズに頭に入ってくるでしょう。
【対策③】小数は、2~3年生で学んだ“単位”を活用!
小数の性質を理解するためには、これも日常生活の中で具体的に実感しておくことが大切です。会話をひと工夫し、少数の感覚を身に付けておきましょう。
これには、2・3年生で学んだ単位(長さmm・cm・m・km、重さg・kg・tなど)を活用することがおすすめです。
(例)
保護者「この段ボールの高さは80㎝だね。これをmにすると?」
子ども「100㎝が1mだから…0.8mだね!」
生活の中には小数で表せるものがたくさんあふれています。まずは小数の概念について、3年生までに習った“単位”に置き換えてみて「これが小数」ということを実感できる経験を積んでみましょう。
「算数」が楽しいと思える “楽勉”を!
4年生の算数は数学的要素がぐっと増えるので、学校や学習塾などではますます座学の時間が増えることでしょう。そのとき「勉強しなきゃいけない…」と、子ども自身が思ってしまうと、勉強自体が苦しくなり行き詰まってしまうかもしれません。
そこで、より意識的に実践してほしい、おすすめの学び方が“楽勉(らくべん)”です。ここまでにお伝えしてきた日常生活を楽しく学習に結びつける方法です。これは、今この時期の子どもたちにとってとても有効です。

4年生になると、学校の授業対策や中学受験のためなど、学習面へのさまざまな考えから、通塾を検討するご家庭も増えてくることでしょう。そのときこそ、「算数」をはじめとした勉強が“楽しい”と子どもが感じられる学びの場かどうかを、意識してみてください。子ども自身が楽しいと感じられれば、おのずと学習意欲が増して主体的に学ぶようになるでしょう。
まずは、日常生活の中で「算数」を取り入れたコミュニケーションを楽しみながら、4年生に向けた準備をしてみてはいかがでしょうか。
この記事の監修・執筆者

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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