【小3から始まる理科・社会】理社好きの子になるために、家庭でできることは?[教育評論家監修]

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低学年(1・2年生)と中学年(3・4年生)の違いといえば、学習量の変化です。「理科」「社会」は、まさに1・2年生の「生活」で体験的に学んだことを、ぐっと学問的にした教科。子ども自身が勉強の得意・苦手を感じ始める時期でもあるので、保護者もその準備を心得ておきたいものです。

ここでは3年生で実際に学ぶ「理科」「社会」の学習内容と、それにむけて今家庭でできることを教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。

取材・文/こそだてまっぷ編集部

目次

「理科」「社会」は1・2年生の「生活」が学問的に変化

3年生になると2年生のころと比べ、全体の授業時数※1がぐっとふえます。合計すると1年間では910(2年生)→980(3年生)に増加。理科・社会は3年生から加わります。この2教科は、2年生まで生活で体験的に学んできたことが、知識を含むより深い学びになったものです。また、これまではなかった総合的な学習の時間・外国語活動も新たに加わります。

※1学校教育法施行規則に定める標準授業時数のこと。授業時数の1単位時間は45分。(参考URL:文部科学省 小学校・標準授業時数について

各教科の時数※1にも変化があります。2年生の生活は105時数でしたが、3年生になると理科は90、社会は70に。算数は2年生と同じで引き続き1年間に175時数あり、国語は2年生の頃とくらべると70時数減ります。音楽や図工もこれまでより各10時数ほど減ります。

このように、理科・社会など、学問的な教科が加わって授業時数も増えることから、子どもたちが体感するのは「3年生になったら勉強の時間が増えた!」「6時間授業が多くなった」などでしょう。

3年生の理科、学習内容は?

3年生の理科は主に、これまで「生活」で体験的に学習してきた、生物や自然、エネルギーなどについてを、改めて学問の観点から学んでいきます。引き続き体験型の授業もありますが、知識を深めるため、教室での授業がメインとなるでしょう。

【文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「理科編」】を参考にまとめ

※以下参考部分の表記は参考元に準じています

第3学年の目標及び内容(第3章 第1節より)

自然の事物・現象について、理科の見方・考え方を働かせ、問題を追究していく。
物の性質、風とゴムの力の働き、光と音の性質、磁石の性質及び電気の回路、身の回りの生物、太陽と地面の様子についての理解を図り、観察、実験などに関する基本的な技能を身に付ける。そして、問題解決の力や生物を愛護する態度、主体的に問題解決しようとする態度を養う。

≪物質・エネルギー≫
・物と重さ
・風とゴムの力の働き(エネルギーの捉え方)
・光と音の性質
・磁石の性質
・電気の通り道

≪生命・地球≫
・身の回りの生物(植物・生き物など)
・太陽と地面の様子(地球の基本的な概念)

3年生の社会、学習内容は?

3年生の社会は、主に“地域社会”に目を向けた学びからスタートします。“自分の住んでいる地域はどんな所? そこで盛んに行われていることは? 今と昔の違いは? ”そういったことに触れながら、今後「社会」で学んでいく基礎的な知識を深めていきます。

【文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「社会編」】を参考にまとめ

第3学年の内容は、自分たちの市を中心とした地域の社会生活を総合的に理解できるようにするとともに、地域社会に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚を養うようにする。

・身近な地域や市区町村の様子
・地域に見られる生産や販売の仕事
・地域の安全を守る働き
・市の様子の移り変わり

≪関連記事≫【小3の算数】新学年の勉強を楽しく乗り切るため、親にできるサポート方法は?[教育評論家監修]

【家庭での対策/理科】日常の中で理科を楽しむ経験をたくさん積むこと

3年生になると“学問”として覚えることが増えるのが理科です。
例えば「虫」について。“チョウ・バッタ・トンボは頭、胸、腹の3つの部分からできていて、あしは必ず胸の部分から出ている=昆虫”、といったような定義を学びます。だから、ダンゴムシやクモは“昆虫”ではないんですよね。2年生までの生活では、ひとまとめに“虫”という扱いでもかまわなかったのですが、3年生では“昆虫である・ない”の区別がされるようになります。

このとき「難しい…」「ふ~ん」となるか、「おもしろい!」と興味を持つかは、体験の量で左右されるでしょう。幼少期を含め、これまで多くの虫に触れてきた子は、この分類に「確かにそうだな」「なるほど!そういうことか!」となり、理科のおもしろさを感じ、主体的に学ぶ姿勢を自然と身に付けられるはずです。でも、経験が乏しい子の多くは、教科書で勉強してもピンとこず、おもしろいと感じるに至らず「覚えなきゃいけないこと」として捉えてしまいがちです。

しかし今からでも「理科っておもしろい!」と子ども自身が感じるためにできることはたくさんあります。家庭で、動物や昆虫の飼育・観察、植物栽培などを、できることから実践してみるとよいでしょう。

磁石や電気についても3年生で学びます。これも普段の生活の中で、意識して触れておくことができます。例えば、文具店などで売っている磁石でクリップなどをくっつけて遊んでみたり冬の電飾でクリスマスツリーを飾る、というだけでも“電気”に触れることができます。家庭でできる日常の楽しい経験こそ理科に興味を持つきっかけになるでしょう。

【家庭での対策/社会】学校の勉強以上に詳しく学べる⁉学習マンガがオススメ

3年生の社会は、主に“地域社会”から学び始めます。そこでまずオススメしたいことは“実際に近隣地域を散歩しながらさまざまなものに触れ、親子で会話を楽しむ”ことです。

役所に行けば、地域のことが詳しく載っている地図があります。それを見ながら「ここへ行ってみよう」と、川沿いや商店街などを散歩したり、お寺や神社、資料館や博物館を訪れ、地域の歴史に触れてみるのもよいでしょう。
そうすることで、地域の地理的な特徴をはじめ、産業・農業の特徴、歴史的背景を知ることができます。これらの学びは5・6年生になると地域から日本全国に広がります。

ですので3年生のうちは、地域の身近なものに触れ、少しでも何かに興味を持つことで学ぶことの楽しさを感じられるとよいでしょう。

また学習マンガもオススメです。3年生くらいになると、大人が「まだ難しいだろう」と感じるようなマンガでも、けっこう読めたりするものですよ。
理科・社会に体験は大切ですが、時間的に難しい場合は、図鑑や学習マンガを用意することも良いでしょう。短時間で多くの情報を楽しく学ぶことができます。ちなみに、歴史マンガは、大学受験までカバーするほどの高度な知識が盛り込まれているので、挑戦してみるなら3年生という今は、良いタイミングでしょう。勉強があまり好きでない子でも、学習マンガなら読み進められて自然と覚えていた! というケースも多く聞きます。

“遊び”の中で触れておくと勉強が楽しくなる!

理科・社会ともに、「2年生までの生活は楽しかったのに、急に難しくなっちゃった」と、苦手意識を持つようになる可能性もあります。ただ知識を詰め込むだけの“勉強”として捉えてしまうとそうなりがちです。

そうならないためには、子どもの“興味”を絡めながら日常生活の中で楽しく学ぶことが大切。これまでお伝えした学び方は “遊び”にかえられます。これを私は『楽勉(らくべん)』と呼んでいます。ぜひ、この方法で子どもとのコミュニケーションを楽しみながら、3年生の理科・社会の学習に臨んでみてください。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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