【現役の先生が感じる】「男の子」と「女の子」の差とは?

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【現役の先生が感じる】「男の子」と「女の子」の差とは?

子育てをしていると男の子と女の子の「違い」を感じることがあるという方も多いと思いますが、学校の先生も感じることがあるようです。「男の子は○○」「女の子は○○」と決めつけることは避けるべきですが、「違い」を知れば、子どもの良さを伸ばすことにつなげられるかもしれません。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

目次

自分に興味のあることに気を取られる男の子

脳の生物学や、生理学・心理行動学などでも「性差」という言葉は専門用語としても出てくると思いますが、学術的なことはともかく、現場の1人の教員としての「印象」で言えば「性差」はあると感じます。

では、どういうところに差があるのか、低学年に限った場合でお話していきますが、まず前提としてお伝えしておきたいのは、低学年では特に、女子のほうが男子よりも2~3歳上に感じることが多いということです。

男女の大きな違いの1つとして挙げられるのは、周りの状況を理解できているか、と言う点です。
授業中、女子の多くは「今は先生の話を聞くべきだ」という表情をして話を聞いていますが、男の子の中には「自分の興味のあること(=友だちのこと・筆箱の模様・窓の外の風景など)」に気を取られている子がけっこういます。話を聞くべき時間だとわかっていても、それを上回る興味関心に心を奪われるのです。よく「空気を読む」という言い方をしますが、低学年の男子で空気を読める子は稀です。

しかし、逆に言えば、新しいものや珍しいものにすぐに関心をもつ、というのは子どもの特性であり、それが子どもらしさとも言えます。「興味をもったものに積極的に挑戦する」「果敢に接触しようとする」「興味を持ったものを徹底的に追求する」というのは、女子には無い男子の優れた点と言えるでしょう。

しかし、それは同時に「興味があるものにしか反応をしない」「怖い物知らず」「飽きっぽい」ということにもなります。そう言った子どもならではの特性が現れやすいために、男子は女子に比べて子どもっぽいと言われるのだと思います。

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器用さや言語力は、女の子が優位

「器用さ」「適応力」という点でも、女子に軍配が上がります。文字を書いたり、絵を描いたり、ほうきを使ってそうじしたり、ひもを結んだりと、学校でのさまざまな場面で、女子のほうが「うわて」です。生活力がある、ということも言えるでしょう。

そのほかに体育での「跳び箱」などは男子のほうが怖がらないので、できる子が多いのですが、なわとびについては、特に低学年では女の子のほうが早くできるようになる傾向があるようです。

言語感覚・語彙力でも全体的に女子が優位です。大人の言葉をよく聞いているらしく、まるでお母さんのような言い方で男の子を言い負かしている子がいます。
1年生の作文では、よく「先生、あのね…」という書き出しで、一文のものから始めますが、すらすら書けなくて困っていることが多いのは男子です。けれども、そんな子がやっと書いたその一文が、なんとも言えない味を出していて、作文の優劣を飛び越えた「よさ」があるものです。

「記憶力」「優しさ」に見える男女の違い

それから、記憶力。これは「記憶」のシステムが「状況を理解する力」や「語彙力」と関係があるためか、まんべんなく覚えているのは女の子で、自分の興味のあることをよく覚えているのが男の子という印象があります。

たとえば、卒業を控えた6年生に、1年生からの6年間で印象に残っている出来事(担任名・遠足の場所・運動会の演目・学芸会の題名や役名など)を、作文にする機会があったのですが、おもしろかったのは、男子のある割合の子どもたちが、1~2年の頃の記憶がない、ということを書いていたことです。「男子はきっと、その日その日を一所懸命生きていたのだねえ」という笑い話にして教室で話しました。まだ、自我のようなものが発達していなかったためでしょう。

性質の違いで言うと、「優しさ」もそのひとつ。女の子の優しさは、どちらかというと母性的な優しさで、「あらあら~」と言いながらお世話する優しさです。「自分なら相手にこうしてほしい」と思うことをほかの人にしている感じです。

しかし男の子は、考えて行動する優しさではなく、その場でとっさに出てしまうような優しさです。見返りを求めないというか、自分が優しいことをしたとも思っていない感じです。よくお母さんは、息子に甘くなるということが言われますが、「女子」であるお母さんは、自分の感覚にはない「優しさ」を息子から受けると、たまらない気持ちになるのでしょう。

男女の違いを活かすのが学校の役割

ただし、学習面・生活面でのいわゆる「トップクラス」でいうと、男子・女子の割合の差はないと思いますが、おもしろいことに、本当にできる子!というのは、男子のほうが目立つように感じます。女子は自分の能力を謙遜しがちなので、前に出てこないことがあるからです。

とはいえ、低学年ではおしなべて女子のほうが男子よりもしっかりしているものですが、それは学校だけでなく、ご家庭でも同じなのではないでしょうか。

人間は男女に関係なく、本来苦手なことと得意なことがそれぞれにあり、成長とともに苦手が解消されたり、得意な部分が伸びて、苦手な部分が見えにくくなってくるものですが、男子は、女子と比べて成長がややゆっくりな分、その苦手なことが学校の活動の中で目につきやすいのではないかと考えています。低学年の今は女子に分がありますが、男子も次第に心と体の成長が追いついてきて、勉強でもスポーツでも自分の得意な分野で活躍するようになっていきます

いずれにしても、学校は「多様性」があってこそのもの。こうした「違い」や「差」を「こういうものだ」と決めつけたり、押し付けたりすることなく、そのよさを伸ばし、活かして成り立たせていかなくてはならないと思っています。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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