成長が著しい幼少期にスポーツをすることで骨や筋肉が刺激され身体の成長や発達を促すと言われています。体力や心肺機能が強化され、丈夫で元気な子どもに育つのです。
また肉体面だけでなく、「相手への敬意や思いやり」「仲間の大切さ」「勇気や自信」など精神面でも得られるものが多いです。
しかし、よいことばかりのように思える子どものスポーツ活動は、保護者のサポートあってのこと。特に母親の負担が大きいのではないでしょうか。
実情はどうなのか、どのような負担があるのか、笹川スポーツ財団が行った「小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究(2021)」から見てみましょう。
文/マムズラボ
子どものスポーツにはどんな負担があるの?
笹川スポーツ財団が2021年9月に、小学校1年生から6年生の第一子を持つ母親に子どものスポーツ活動への母親の負担感に関する調査を実施したところ、主に①「指導者や保護者の送迎」(66.7%)、②「練習や大会などでの指導者や保護者への飲食の用意」(64.4%)、③「観戦場所の確保」(62.2%)と、我が子のサポートや付き添いなどだけではなく、チーム全体の運営に関する負担もあることがわかりました。
チームの考え方や組織によっても違ってきますが、「会員の集金や管理を行う」(59.0%)、「団体のメーリングリストやSNS・ホームページの管理を行う」(57.4%)などのように、保護者が集金をしたり、メーリングリストやSNSを管理したりと運営に関わる事務関係を担うケースも高い割合を占めています。
スポーツ活動の負担は父親より母親の方が大?
同調査でさらにわかったことは、子どものスポーツ活動への関与は、父親より母親のほうが大きいということです。
指導者として父親が関わるケースもありますが、とりわけ「ユニフォームや練習着の洗濯」については約60ポイントの差を付けて母親の役割となっており、ほかに「スポーツ用具の購入」や「子どもの送迎」「子どものお弁当づくり」などでも母親が主に役割を担っていることがわかります。
同調査は2016年にも行われていますが、5年の経年変化を見ても変わらず母親中心に、子どものスポーツ活動に関与していることがわかりました。
また、子どものスポーツ活動に関わっている母親たちに自分自身の子どもの頃を振り返ってもらい、親の関与について尋ねると、今も昔も母親が中心であるという構造には変化がないことが見て取れます。子どものときの親の姿がそうであったように、母親が主に関与するものであると自然に受け入れているのかもしれません。
しかし、育児をしながら女性も働くことが一般的になった現在では、習い事やスポーツ活動への保護者の関与の仕方や役割分担を見直し、母親への負担を軽減できるやり方を模索する必要があるのではないでしょうか。
デメリットばかりではない! 子どものスポーツ
一般的に、本気でスポーツに打ち込める整った環境のチームであればあるほど、練習の付き添いや試合や遠征の車出し、地域行事への参加準備といった保護者の協力が求められます。
しかし、近年の保護者の負担軽減のニーズに合わせて、活動に関わる業務や配車、お弁当の準備まですべて運営側が負担してくれる「スクール」スタイルも増えてきています。月謝が高めであったり、対戦試合が少なかったりするなどの問題点はありますが、保護者の役割や実務などの負担を抑えながら、子どもにスポーツ活動を体験させることができます。
ただし、それでも飲み物の準備やユニフォームの洗濯などの親によるサポートは発生します。
得られる喜びには、負担を超える価値がある
母親の負担が増え、大変なことばかりに感じられる子どものスポーツですが、子どもたちはスポーツを通して、同じ目標に向かって喜びや悔しさを共有する仲間と厚い友情や信頼関係を築くことができ、強い絆で結ばれるというかけがえのない経験を得ることができます。
また、親がスポーツをする子どもを応援し見守ることで、親子の会話が増え、自然と深い信頼関係が生まれるというメリットもあります。さらに、親にとっても、子どもの頑張る姿、成長する姿を見ることができ、濃密な親子の時間が過ごせることは魅力のひとつでしょう。その上、同じ時間と経験を分かち合った親同士も貴重なつながりを作ることができます。
子どものスポーツ活動は確かに保護者への負担がかかりますが、そのときにしか体験できないような貴重な経験と時間を過ごせることは、負担を超える喜びかもしれません。今回ご紹介した「スクール」スタイルのように、子どものスポーツ活動のスタイルにはかつてよりも選択肢が増えています。「犠牲」というネガティブなイメージを覆すような、各家庭のスタイルにあった活動を模索してみるとよいのではないでしょうか。
DATA
公益財団法人 笹川スポーツ財団
「小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究2021(速報値)」
https://www.ssf.or.jp/thinktank/children_youth/2021_report1.html
調査対象:対象は小学校1年生~6年生の第1子をもつ母親。
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