【課題解決力が身につく!】子どもの“片づける力”を養う方法とは⁉[専門家監修]

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【課題解決力が身につく!】子どもの“片づける力”を養う方法とは⁉[専門家監修]

年末の大掃除シーズン。「子どものものが散らかって片づかない」は悩みの種ですね。どうしたら自分で片づけられる子どもに育つのか、片づけのスペシャリストである中矢くみこ先生にお話をうかがいました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

なぜ、片づけなくてはいけないの?

「子どものものが散らかって部屋が片づかない」と悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。そもそも「なぜ、片づけなくてはいけないのか」と考えたことはありますか。

大人は「ものが散らかっていたら、必要なものが見つからなくて困る」「床に散らかしたものを踏んで、けがをしたり、ものを壊したりすると困る」など、先を見通すことができるため、部屋を片づける必要性を知っています。

ですが、このような経験が少ない子どもは「なぜ片づけが必要なのか」理由がわからないので、結果として大人から見ると“片づけない子ども”に見えてしまうのです。むしろ、大好きなおもちゃなどが手の届く範囲にたくさん広がっている光景は、子どもにとってパラダイスともいえるでしょう。

子どもが自分で片づけられるようになるには、まず、本人に「片づけのメリットや必要性」に気づいてもらうことが第一歩です。

子どもが困ったタイミングが学びのチャンス!

「いざというときに必要なものが見つからないと困るでしょう? だから片づけなさい」と片づけの必要性を口頭で説明しただけでは、子どもは実感がわかず、なかなか理解してくれません。理解してもらうように伝えるには、本人が実際に困ったタイミングがチャンスです。

たとえば、友だちと遊びに行く約束をしているのに、自転車のカギがどこにあるか見つけられずに、さがしているとします。「早くカギを見つけないと、約束の時間に遅れてしまう」と子どもが困った経験をしたら、帰宅後の落ち着いた時間などをねらって「自転車のカギの置き場所を決めて、使ったあとは決めた場所に戻したら、さがすことはなくなるんじゃないかな?」などと声をかけます。子ども自身が「そうか、片づけておいたほうがいいんだ」と片づけの必要性に気づくことが重要なのです。

このような経験は「急いでいるのに、必要なカギが見つからない」という困り事に直面したときに「これからはカギを○○に置くようにしよう」といった子どもの課題解決力を育む土台にもつながります。

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子どもに合った方法で片づけ方を伝える

子どもが自分から片づけられるようになるには、まず、保護者が日常的に片づけをやってみせることも大切です。

たとえば、子どもに「ランドセルを片づけなさい」と言っているご自身は、外出先から帰宅したときに、自分のカバンを決まった場所に片づけているでしょうか。保護者が毎日、きちんと自分のカバンを定位置に片づけている行動を見ることも「ああやって片づけるんだ」と子どもにとっての学びにつながります。

また、見るだけでなく、耳から入った情報のほうが印象に残りやすい子どももいます。このような場合は、保護者が帰宅したときなどに「ただいま~。さて、カバンは、ここに片づけるんだよね」などと、独り言で実況中継をするようにつぶやきながら子どもに聞かせるという方法もあります。

ほかには、行動(体の動きなど)を通して学ぶのが得意な子どももいます。その場合は、保護者がいっしょになって「学校から帰ってきたら、ランドセルはここに置くようにしようか?」と体を動かしながら行うと片づけ方を身につけられるようになります。

得意な学習様式は人それぞれですので、その子どもに合った方法で片づけ方を身につけていきましょう。

防災という理由は子どもに伝わりやすい

子ども部屋(寝室)に関しては、防災の観点から、夜寝るまでには床の上のおもちゃなどを片づけておくことが重要です。なぜなら、就寝中に地震などの災害があった場合、停電になるおそれもあるため、床にものが散らかったままだと避難の妨げになるからです。

夜寝る前に部屋が散らかった状態を前にして、子どもに「寝ているときに地震が起きたら、逃げられるかな?」と聞いてみると「地震が起きたら危ない」といった身の危険も想像しやすくなります。子どもも自分事として受け止めると、片づけの必要性に気がついて、自主的に片づけるきっかけになります。

片づけは中学生までにできればOK

「子ども自身が困ったとき」を見つけてジャストタイミングで声をかけ、気づきを促す、という取り組みは、すぐに効果が出るものではありません。あせらずにゆっくり時間をかけて、子どもの片づける力を育むことが大切です。

子どもにもよりますが、一般的には、「自分のものは自分で片づける」という力は、保護者との関りが徐々に減ってくる中学生くらいまでを目安に身につけておくとよいでしょう。

たとえば、机の上が散らかっていたために、宿題を学校へ持っていくのを忘れたとします。このような失敗や困り事を重ねていくうちに「宿題を忘れないようにするために、机の上を片づけよう」と本人が気づくようになりますので、保護者は先回りをして忘れものに気づかせるようなことはせず、グッとがまんして様子を見守ります(場合によっては、学校の先生にも事情を話して、忘れものをすることがあるかもしれないということを、あらかじめ伝えておきます)。小さな失敗や困り事は、本人が問題解決力を養うチャンス、と思って大らかにかまえましょう。

片づけは、子どもが将来自立して生きていく力につながります。困ったときにどうしたら解決できるかを自分で考え、試行錯誤をするのもそのひとつです。あせらずじっくり、子どもの「片づける力」を育んでいきましょう。

この記事の監修・執筆者

ライフオーガナイザー 中矢くみこ

日本ライフオーガナイザー協会所属。ICD※認定ADHDスペシャリスト。片づけ脳力トレーナー(初級)。
長年にわたり、片づけに悩むクライアントのサポートに尽力。ものが多くてもスッキリ片づくワンアクション収納に定評があり、雑誌など数多くのメディアで活躍中。自身も小・中学生4人の子育てママ。
※ICD:アメリカの研究機関Institute for Challenging Disorganizationの略称。

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