【おばけ・妖怪がテーマの絵本】/こそだてまっぷの絵本棚

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【おばけ・妖怪がテーマの絵本】/こそだてまっぷの絵本棚

夏の風物詩には、「おばけ」や「妖怪」もありますね。
今回の絵本棚では、ちょっぴり怖かったり、なんだかかわいかったり、少し懐かしかったり。そんな絵本を紹介します。
絵本のセレクトは、絵本専門士でNPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。

目次

8月2回

おばケ・妖怪がテーマの絵本

◆2~3歳向け! 『こわくない こわくない』

文/内田麟太郎 絵/大島妙子 990円(税込) 童心社

【あらすじ】

まーくんは、このごろ反対のことばばかり言っています。
お父さんが、「はとが いるよ」と教えても「いない」。
お母さんが「ねんねしよ」と誘っても、「ねんねしない」。
夢の中に出てきたおばけが「こわいか こわいか」と言っても、「こわくない こわくない」と答えるのですが…。本当はどうかな?
怖がらせたいおばけと、「こわい」と言わないまーくんの攻防戦が見どころです。

 

【オススメポイント】

子どもたちは、反対ことばが楽しい年齢なので、すぐにまーくんになって見ていました。「あったかいね」と読めば、「あったかくなーい!!」という声がすかさず飛んできました!
夢の中におばけが出てきたときにも、「こわくない こわくない」と言っていたまーくんでしたが、「こわい」と言わせたいおばけは、姿をどんどん怖く変えていきます。
まーくんといっしょに「こわくない」と言っていた子どもたちのなかにも、思わず「こわ~い」ということばが出てしまった子もいましたよ。
まーくんと同じように、子どもたちからもドキドキが伝わってきました。
そんな気持ちを和らげる最後の展開には、子どもたちからも笑みが出て、楽しい気持ちで絵本を閉じました。

 

◆3~4歳向け! 『おばけだじょ』

作・絵/tupera tupera 1,320円(税込) Gakken

【あらすじ】

「おばけだじょ」「たべちゃうじょ」「つかまえちゃうじょ」と、どこかかわいい語り口とは裏腹に、開いた口からは尖った歯が見えていて、怖さを倍増させています。
おばけと思っていたら実は…。予想を超えたその正体にくぎづけです!

 

【オススメポイント】

表紙に描かれたおばけはもちろんのこと、見開きや扉ページからも、おどろおどろしい雰囲気が!
子どもたちからも、「こわいおばけだ~」と声が出ていました。
「おばけだじょ」「たべちゃうじょ」というおばけのことばや、見開きいっぱいに描かれたおばけが口を開けている場面に、「きゃー」と反応してきた子どもたち!
おばけの正体がわかると、一気に顔が緩んでホッとしていましたよ。
安心したのもつかの間、別のおばけが再び登場! ドキドキを思い切り楽しめる1冊です。

◆4~5歳向け! 『さんまいのおふだ』

再話/水沢謙一 画/梶山俊夫 1,100円(税込) 福音館書店

【あらすじ】

山へ花を取りに行った小僧が、迷ってたどり着いた一軒の家。
それは鬼婆の家でした。夜中に食べられそうになっていることに気づいた小僧は逃げ出します。便所の神様にもらった3枚のお札を使って、無事に逃げられたのでしょうか?
さまざまな地域で語られている話ですが、この絵本は新潟の昔話が再話されています。

 

【オススメポイント】

昔の語り口調で進むお話と、その世界にピッタリ合っている梶山俊夫さんの絵が、「さんまいのおふだ」のハラハラドキドキをより倍増させていて大好きな1冊です。
方言や昔のことばも、子どもたちは気に留めることなくスーッとお話の世界に入り込んでいました。
もし、「~ってなに?」と疑問が出てきたときには、その場でさらっと答えてもいいかもしれません。
「こぞう まて、こぞう まて」と、怖い形相で追いかけてくる鬼婆から、お札の力を借りて逃げるやり取りや、やっと寺へ逃げ帰ったのに、和尚さんがゆっくりしていて、なかなか扉を開けてもらえない展開。子どもたちは本当にハラハラドキドキしながら見ていました。
ぜひおうちのかたもお子さんといっしょに、ドキドキの展開を楽しんでくださいね。

 

◆大人向け! 『くろいの』

作/田中清代 1,540円(税込) 偕成社

【あらすじ】

ひとりで かえる いつもの みち。
へいの うえに みつけた くろいの。
周りの人には見えていない「くろいの」のあとについて行くと、家に案内されます。
いっしょにたくさん遊んで楽しい時間を過ごす女の子。
くろいのと、女の子の交流があたたかく描かれています。
たくさん遊んだあとには、元の世界へ…。行きて帰りし物語です。

 

【オススメポイント】

ファンタジーの世界で思いきり遊んで、現実の世界へ戻ってくる。
小学校のころ、裏の雑木林はジャングルになり、怪獣を探して探検したり、友だちと夢中で遊んだりした日々が思い出されました。
小さなころには、見えないものを感じて、こんな体験をたくさんしていたなぁ…と懐かしく感じた絵本でした。
女の子が出会った不思議な生き物「くろいの」は話しません。けれども、おうちへ招待してくれたり、楽しい遊び場でたくさん遊んだり、ことばはなくとも2人の楽しそうな交流が描かれています。
銅版画で描かれたモノクロの世界ですが、音や色、感触まで伝わってくるような雰囲気がすてきなお話だと思います。
女の子とくろいののあたたかな交流を感じながら、小さなころの「くろいの」の世界を思い出してみませんか?

 

次回の「こそだてまっぷの絵本棚」は9月。「おじいちゃんおばあちゃん」をテーマにした絵本を紹介します。お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

絵本専門士・保育士  遠藤裕美

絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。

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